故 岡正治氏から「性暴力」 平和運動継承のNPO、女性に謝罪 資料館は10日から一時休館

2023/10/08 [12:00] 公開

第2次世界大戦中の旧日本軍の戦争加害をテーマに展示する岡まさはる記念長崎平和資料館=長崎市西坂町

 朝鮮人被爆者の実態調査などに取り組んだ平和運動家で元長崎市議の故岡正治氏(1994年7月死去)から「約30年前に性暴力を受けた」と証言する女性に対し、岡氏の遺志を継ぎ運営しているNPO法人「岡まさはる記念長崎平和資料館」(同市西坂町)が謝罪し、10日から一時休館する方針が7日、複数の関係者への取材で分かった。
 岡氏は牧師で、反戦反核運動などに取り組み、65年に「長崎在日朝鮮人の人権を守る会」を結成。潜在化していた朝鮮人被爆者の掘り起こしなどに尽力した。同館は岡氏が死去した翌年の95年10月に開館。市民有志が中心となり、戦時中の日本による強制連行や慰安婦問題、外国人被爆者などをテーマに、日本の加害責任に着目した展示を続けている。
 女性によると、94年に岡氏の自宅を訪れた際、突然抱きつかれるなどする被害に遭ったという。女性が2020年、インターネットの投稿サイトで岡氏の名前などを伏せて被害を告発。その後、投稿を把握した同法人は、関係者を通じて女性と接触して被害状況を聞き取った上で、文書で先月謝罪した。岡氏の名前を冠した資料館を運営する法人として、女性の告発から対応までに時間を要した点などを陳謝した。
 同法人は7日、非公開で会合を開き、会員や支援者に経緯を説明。複数の関係者によると、同法人は「いかなる性暴力も容認しない」として、資料館の名称や岡氏の活動に関する展示内容などを見直すため、10日から休館する方針を示したという。一連の経緯は資料館のウェブサイトなどで近く公表される見通し。
 被害を訴える女性は本紙の取材に応じ「性暴力の被害者の声が無視されることが多い中、国際的なテーマを扱う平和資料館が、著名な平和運動家による過去の性暴力を認めて反省し、二次加害防止に取り組む姿勢を示したことは画期的。女性蔑視や性差別をなくすきっかけになることを願っている」と語った。