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「江戸時代には概念なかった」郡代夫婦の行列再現、同性カップルや事実婚除外…その是非は

大分の日田天領まつり

 大分県日田市は3日、江戸幕府の直轄地として栄えた様子を再現する11月の「日田天領まつり」の行列で主役を担うカップルの公募について、市民の応募条件を「結婚3年以内の夫婦か年内に結婚予定の男女」とし、性的少数者のカップルと事実婚を対象から外す方針を明らかにした。性的少数者のカップルを公的に認めるパートナーシップ宣誓制度を1月に導入したが、「江戸時代の再現に同性カップルはない」などとして宣誓しても対象外とした。識者は「排除されていると傷つく人が出る可能性があり、配慮が足りない」と指摘する。

「ジェンダーレストイレ」早すぎた?

 行列は、市などでつくる日田まつり振興会が主催する日田天領まつりの主要イベント。江戸期の郡代が日田に着任する様子を再現する。2011年以降、振興会は主役の「郡代と奥方」の男女1組を市民から募集してきた。「結婚の記念にしてほしい」として、当初から応募条件を「結婚3年以内の夫婦か年内に結婚予定の男女」としてきた。

 市は今年1月、パートナーシップ宣誓制度を導入。宣誓したカップルはいないが、結婚や性自認を巡る社会の価値観が変化しているため、市は今回、あらためて応募条件を議論。「江戸時代(の郡代夫婦)を再現するにあたって、当時はそういったもの(同性カップルなど)はない」との意見が出た。「郡代」と「奥方」の衣装を1着ずつしか用意しておらず「同性カップルに対応できない」との声もあり、最終的に条件を従来のままとした。

 この日の定例記者会見で椋野美智子市長は「応募条件の案を見たときに『ちょっと…』と考えないでもなかったが、江戸時代の再現ということで了承した」と説明。「市民からの要望があれば十分に検討していく余地があると思う」として、来年度以降に条件拡大を検討する可能性を示唆した。

 (中西是登)

「悪意ない差別」気付かない危うさ

 大阪公立大人権問題研究センターの新ケ江章友教授(文化人類学)の話 江戸時代を再現するにしても、現在の多様性を意識した祭りのあり方を検討する余地はあったのではないか。今回の応募条件を見て、排除されていると傷つくカップルがいる可能性があり、日田市は配慮が足りない。地域には多様な人々が暮らしているという意識が足りない。行政が、悪意なく差別をしていることに気付いていないこと自体に危うさを感じる。

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