「捕食者」とその「養分」……投資最前線のリアルな現実
こうしたシステムの所有者が圧倒的優位性を持つのが、最先端の投資の現実だ。この「捕食者」を前にすれば、個人投資家は無抵抗な「養分」に過ぎない。
一連の問題点を私が分析できる理由は、自身がCEOを務める投資顧問会社「NEKO PARTNERS INC」が、機関投機家に匹敵する「システム」を装備しているからだ。
コンピューターを担当しているのは、暗号資産の分野からスカウトしたロシア人と中国人のエンジニアだ。
コンピューターの購入に当たって、ロシア人から「核爆弾をシミュレーションできる」という数十億円単位の見積もりを手渡された。さすがに断ったものの、SBI証券が使用しているものと同程度の性能のあるコンピューターを入手し、同程度以上のアルゴリズムとAIの開発に成功した。
回線については通信速度という「質」はもとより、取引所からの「距離」も考えて、23区内のある場所に「NEKO」のセンターを構えた。機関に匹敵するほどの資本量があることは言うまでもない。
現在の私が企業の成長力やトレンド、チャートなどを精査する「王道の投資」を楽しめるのも、「捕食者」としての立場を確保しているからだ。人間なので失敗もするが、それを埋め合わせる担保なしに株取引を楽しむほど、私は勇敢ではない。
「ボラ」の高い銘柄こそ、「捕食者」の生息域
コンピューターとエンジニアと莫大な資本が支配しているのが、現在の株取引のシビアな現実だ。
では個人投資家は諦めなければなければならないのか――
答えは半分「イエス」だ。生き残るために第一に考えなければならないのが、「捕食者」の生息域だ。
ミリ秒単位で「銭」を積み上げるということは、短期間で株価が乱高下する必要があるということだ。狙われるのは投資用語で言う「ボラ(ボラリティ=変動幅)が高い」銘柄だ。
父と娘が揉めに揉め資金調達困難になった時の「大塚家具」、あるいはCEOだったカルロス・ゴーン氏が金融商品取引法違反容疑で逮捕され時の「日産」など、スキャンダルが生じた企業は「捕食者」が群れる場所だ。開発中だった私のシステムが「捕食者」の存在を伝えてきたので間違いない。
そこは「銭」を求めて「捕食者」が「捕食者」を食い合い、法規制が追いつかないということで、「無法地帯」となっている。