岸田文雄内閣の支持率が急落した。背景にあるのは安倍晋三元首相の国葬や「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」をめぐる対応のまずさ。小出しで遅く、さらなる批判を招くという悪循環が続いている。事態を打開しようと首相自ら国会で説明したが理解は得られず、裏目に出た。参院選の勝利から2カ月。政権の状況は一変した。
朝日新聞社が10、11の両日に実施した世論調査で、岸田内閣の支持率は41%に続落し、不支持率は47%に達した。8月27、28の両日に実施した前回調査からわずか2週間で、支持と不支持は逆転。政権はこの間、支持率の下落傾向に危機感を強め、首相主導で手を打ってきたが、いずれも奏功せず、批判は逆に拡大した。
「私が先頭に立ち、政治への信頼回復に取り組まなければならない」。首相は新型コロナウイルス感染の療養から復帰した8月31日の記者会見の冒頭で、こう力をこめた。安倍元首相の国葬をめぐる閉会中審査に「私自身が出席し、質疑に答える」と踏み込み、旧統一教会問題では「自民党総裁として率直におわびを申し上げる」と陳謝。教団との関係断絶も宣言した。
政権は記者会見後も事態の改善に動いた。国葬にかかる警備費などを含む費用の総額は終了後に示すとしていたが方針を転換し、6日に16・6億円という概算を公表。8日にあった国会の閉会中審査では、首相自ら国葬への参列を予定している海外の要人の名前を列挙し、「弔問外交」の意義をアピールした。首相は周囲に「淡々と言うべきことは言えた」と手応えを語った。
しかし、局面打開にはつながらなかった。
首相は閉会中審査で、安倍元首相と旧統一教会との関係を調べないのか問われ、「お亡くなりになった今、確認するには限界がある」と否定的な姿勢に終始した。8日に自民党は党所属国会議員と教団との関係を点検した結果を公表したが、「疑念は解消されていない」との批判を招いた。
官邸幹部は「国葬は旧統一教会問題と関連づけられており、政府としてこれ以上やれることはない」と漏らす。「弔問外交」や新たな経済対策を念頭に「必要な政策を一つひとつやっていくしかない」と言う。
歯止めのかからない内閣支持…
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- 【視点】
支持率が急落してすぐに政権が倒れたのは、2000年代のポスト小泉から民主党政権の時代でした。あのときの世論の振れ幅はとても大きく、就任して1年すると支持率は地に落ち、すぐに「投手(党首)交代」となりました。 今から思えば、ずいぶんと乱
…続きを読む - 【視点】
菅内閣の頃は、新型コロナ感染者数が増える一方で支持率が下がる負の相関があるように見えました。岸田内閣になって感染者数がぐっと増えたのに支持率が上がり続ける正の相関?の謎が解けないうちに、今度は支持率が下がり始め、それは安倍元首相の国葬への反