サークル合宿の夜、突然集められ… 元信者が語る大学での勧誘
安倍晋三元首相の銃撃事件をきっかけに注目が集まる「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」。各地の大学では教団の「友好団体」が活動しており、教団との関係を伏せた形での勧誘に注意するよう、学生に呼びかける大学もある。ある国立大に通っていた10年ほど前、キャンパス内で勧誘され、約4年間所属していた元信者の30代男性が当時の経験を語った。
向かった先はアパートの一室
大学1年の夏休み明けのことだった。講義後に帰宅しようとしていた男性は、大学構内の駐輪場で突然話しかけられた。
「少し時間あるかな?」
相手は初対面の男性。3年生の男子学生という。
ちょうどアルバイトも友人との約束もなかったため、話を聞いた。
様々な大学の学生と一緒にボランティア活動をするサークルに所属しているという。
「もし良かったら活動紹介をするけど、一緒に来ない?」。優しい雰囲気で丁寧に話す姿に好感を持ち、誘いに乗った。
記事後半では、宗教と関係のある団体による学生への勧誘をめぐり、各大学がどんな呼びかけをしているかを紹介します。
向かった先は大学近くのアパートの一室だった。
部屋で男子学生はパソコンを取り出し、活動の紹介を始めた。
地域の学童保育で子どもと遊んだり、大学周辺で清掃活動をしたり――。
活動の様子を記録した写真を眺めるうちに、社会貢献のできる魅力的な活動に思え、その場でサークルへの入会を決めた。
団体の名称は紹介されなかったが、特に疑問には思わなかったという。
活動は週1~2回程度。親切な先輩と過ごす時間は心地よかった。もともと別の部活に入ってたが、次第に、このサークルの活動に専念するようになった。
入会して3カ月ほどたち、活動に慣れてきたころ。先輩に冬休みを使った1週間の合宿に誘われた。
合宿には他大学の学生も参加。バレーボールなどのレクリエーションに汗を流した。いつも通りのサークル活動に感じた。
しかし宿舎に戻った夜、突然、会議室に全員が集められた。
団体名は……
「講師」を名乗る中年の男性が現れ、見ず知らずの高齢の男性の顔写真を示した。
講師は「聖典」を片手に、こ…
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