旧統一教会問題第一人者が語る「空白の30年」 なぜ日本で対カルトの法律ができなかったのか
安倍晋三元首相の銃撃事件をきっかけに、カルト宗教の問題がクローズアップされました。高額献金、児童虐待、さらに政治との関係など、さまざまな問題が議論されています。30年以上も前からカルト宗教の問題に警鐘を鳴らし、被害者に寄り添ってきた紀藤正樹弁護士。ようやくカルト問題が社会問題化し、法整備の段階に至った今、その思いを著書『カルト宗教』から一部引用・再構成して紹介します。
カルト宗教の問題は今に始まったことではない
2022年7日8日、参議院選挙における街頭演説中に安倍晋三元首相が銃撃されて殺害されました。その犯行の動機に、「世界基督教統一神霊協会」(現「世界平和統一家庭連合」。以下、「統一教会」)が関係しているのではないかとされたことをきっかけに、カルト宗教の問題がメディアなどで大きく取り上げられるようになります。
統一教会は以前から問題が指摘されていた宗教団体です。安倍元首相銃撃事件以降、さまざまなメディアで統一教会の実態が報じられ、霊感商法、高額献金、家族破壊、政治への浸透など、カルト宗教の問題に世間の目が向けられました。日本社会に大きな波紋が広がっていったのです。
カルト宗教における労働収奪、性的収奪、児童虐待などの問題が表面化するにしたがって、そうした人権蹂躙の負の連鎖を断ち切るための社会的、法的、行政的なしくみを構築する必要があるとの声が強くなっています。
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