安倍晋三元首相銃撃事件の後、一斉に統一教会批判キャンペーンを展開したマスコミ。国会議員が教団のイベントであいさつしている写真や動画、教団内部の資料など、あまたのデータが「動かぬ証拠」として報道されてきた。それらの情報の多くはジャーナリスト、鈴木エイト氏により提供されたものだった。
事件後、本誌を含め多くのマスコミ関係者は鈴木氏にコンタクトを取り、情報やデータの提供を求めた。この10年、統一教会の動向を継続的に取材してきたのは鈴木氏ほぼ1人だったからである。
「悪質な霊感商法や高額献金、2世たちの苦悩。目を背けてはならない現実があるのに、なぜ政治家はこの教団と関わりを持つのか。そんな疑問を抱きながら、私は第2次安倍政権が発足した翌年の2013年から首相官邸と教団の関わりを調べ、記事を書いてきました。
しかし残念ながら私と同じ問題意識を持って取材、報道するメディアはほとんどありませんでした。今年7月に安倍さんが銃撃される事件が起きるまでは」
政治家の戸惑い
事件後、マスコミ各社は「教団と接点を持っていた政治家」の洗い出しに奔走し、深い関わりを持ってきた政治家は釈明に追われた。ついこの間まで問題視してこなかったマスコミの豹変ぶりにいら立ち、戸惑った政治家は少なくない。鈴木氏は、政治家による2つの発言に着目する。
1つ目は自民党の福田達夫総務会長(当時)による「何でこんなに騒いでいるのか正直わからない」という発言。2つ目は東京都八王子市の教会との関わりが指摘された萩生田光一政調会長の「正直申し上げて、統一教会の昭和の時代の関連(霊感)商法のことなどは承知をしておりましたが、その後、悪い噂を聞くこともなかったですし、そういった報道に接する機会もなかった」という発言だ。
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