政治家の「二股」を黙認してきた宗教団体の末路 2022年の夏は日本宗教史の大転換点になる

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 一般有権者が憤る以上に、各宗教団体は自分たちが政治家から都合よく〝二股、三股〟をかけられている現実に怒るべきであろう。もし仮に、自民党が統一教会から言われるがままの政治を行っているのだとしたら、創価学会にとっては「自民党との連立を解除せよ」と公明党に指示する理由にもなるはずだ。

にもかかわらず、現在「政治と宗教」の問題について明確な意見表明をする宗教団体はほぼない。なぜなら、政治家も宗教団体も「もちつもたれつ」の関係にあることを互いによく知っているからだ。政治家が宗教団体に近づくのは信仰心などではなく、票や選挙運動支援をアテにしているからであり、宗教団体が政治家をイベントに招いたり祝電を要請したりするのは「自分たちはこんな国会議員とつながっている」という箔付け、広告塔に利用できるからだ。だから、宗教団体は政治家のいい加減な態度を黙認してきたのだ。

「宗教票」は着実に減っている

 政治家のいい加減な態度を黙認してきた果てに、とでも言っていいのだろうか、日本の宗教界は「国の政治を支配して操っている」どころか、足下の基盤が崩れかかっている。10~20年後、果たして宗教界がどのような惨憺たる姿になっているか、想像もつかない状態だ。

1つのメルクマールとして、7月の参議院議員選挙結果を見てみよう。公明党が今回の選挙で全国から集めた比例票は618万票だった。公明党が国政選挙で集める比例票の数は2005年の衆院選における898万票を頂点に低落傾向にあるが、600万台前半に落ち込んだのは今回が初めてのこと。党本部が目標に掲げていた800万票には遠く及ばなかった。

自民党の一部から「公明票は昔ほどあてにならない」という声も上がるなか、岡山選挙区では自民・小野田紀美候補が公明の推薦を断って勝利。また京都選挙区では公明票のかなりの割合が野党側に流れるなど、自公連立のゆがみが、かつてなく見られた選挙でもあった。

また創価学会に次ぐ国内第2位の規模を持つとされる立正佼成会は、比例代表で推した白眞勲候補(立憲民主党)、藤末健三候補(自民党)のいずれもが落選する事態となった。立正佼成会が参院選比例で推薦した候補が全滅するのは、現行制度になって以降初めてのことである。

幸福の科学を母体とする幸福実現党も党勢の衰えが目立つ。今回の比例代表で集めた票数は14万。幸福実現党は2009年の結党以来、国政選挙で一度も当選者を出したことはないが、20万~30万程度の比例票を集めてきた経緯がある。10万台前半にまで落ち込んだのは、やはり今回が初めてだ。

衰退傾向にあるのは伝統宗教も同じだ。前述した自民党の山谷参院議員(比例)は神道政治連盟の組織的なバックアップを受けてきたが、今回の選挙で彼女が獲得した票は17万。当選はしたものの2016年の前回選挙で得た24万票から7万票も減らした。

「宗教票」は着実に減っているのだ。

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