都心では見たことない「意外な光景」が…埼玉県川口市や蕨市に移り住んできた「ワラビスタン」たちの「リアル」
前編記事『埼玉県川口市、蕨市…通称「ワラビスタン」!日本に暮らす2000人以上のクルド人をまとめる「ビッグボス」の正体』では、クルド人を率いるビッグボスの存在について解説した。後編記事では、クルド人を取り巻く環境について紹介する。
独自のコミュニティをつくるクルド人
ここ蕨市は、隣接する川口市や戸田市とともに在住外国人の数の多いことで知られている。統計上、全人口の約1割強が外国籍の住民ということになるため、街中ではごく自然にその姿が視線に入る。
スーパーの店内には子供を抱っこした若い外国人が牛乳を品定めしている。商店街でベビーカーを押して歩く外国籍女性の集団は楽しげに笑い合っている。
街中を駆け抜ける自転車に乗っているのは、日本人と外国籍の少年グループ、そして炎天下の公園でサッカーをしている少年の一群にはアジア系に混ざって中東系の男の子もいる。
コンビニの外国人店員は流暢な日本語を話し、建設工事の現場では日本人とともに多くの外国籍の男性が汗を流している。人口減少の影響で人手不足の状態は慢性化しているが、ここ川口エリアではその傾向が顕著なのだろうか。
昭和の時代、軍需物資の需要が上昇し、鋳物工場が立ち並んだ川口では、人とモノが行き交い活況を呈したが、その後の産業構造の変化と高齢化により在住人口が減少していった。
経済レベルを維持するためには、海外からの労働力が必須となる。中小の工場では多くの外国籍の人材が働くようになった。彼らは周辺地域に居住し、独自のコミュニティをつくるようになった。