牛田東地区でのトンネル掘削開始に抗議する市民団体のメンバーたち

 広島高速5号二葉山トンネル(広島市東区、1・8キロ)の建設で、事業主体の広島高速道路公社(東区)は5日、東区牛田東地区の直下で掘削工事を始めた。約1年かけて550メートルを掘り進める予定。住宅街がある牛田東地区では住民が、工事に伴う地盤沈下への懸念からトンネル建設に反対してきた経緯がある。地元の理解を得られていない中、工事はヤマ場に入る。

【動画】これが二葉山トンネル工事現場

 公社によると、牛田東地区手前で止めていた大型掘削機を動かし、工事を再開した。地下水がしみ出して地盤が下がる恐れがあるため「極力避ける」としてきたカッターの交換は、防止策を取りながら、住宅地直下で3回予定していると説明している。

 住民はこのカッター交換などに反発している。この日の着工に合わせて、市民団体「二葉山トンネルを考える市民の会」と牛田東1丁目町内会の住民たち計16人が、掘削工事の起点となった東区二葉の里地区の歩道に立ち、抗議活動をした。パネルを手に「住民との約束を守れ」「掘削はやめよ」などと訴えた。

 トンネル建設を巡っては、住民が着工前から地盤沈下を懸念。公社などは15年10月、工事の影響で25ミリ以上の地盤沈下が起きた場合、宅地を県土地開発公社(中区)が買い取る方針を明らかにしている。高速道路公社は2・4ミリ沈めば掘削を中断すると決めており、地表面の変化を常時計測している。(長久豪佑)

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