【ss】ポケモンバトルなんて大嫌いだ！

ｽﾞﾄﾞｰﾝ
俺「ヒラヒナ！大丈夫か！？」
ヒラヒナ「ヒ、ヒナァ…」
ジャッジマン「ヒラヒナ、戦闘不能！よって勝者、カナタ選手ｯ！！！」
カナタ「戻れ、セグレイブ。なぁ、お前本気で俺に勝とうとしてたのか？」
俺「くっ…本気になったらダメなのかよ！」
カナタ「いいか、ポケモンバトルはトレーナーのやる気だけで勝てるような甘い世界じゃない」
俺「…！！」

俺はヒラヒナを抱きかかえて、急いでポケモンセンターに向かった
負けた悔しさなのか、アイツに言い返せなかった悔しなのか分からないが目に涙が浮かぶ…
俺「ヒラヒナ、俺がもっと優秀なトレーナーだったらお前はもっと強く美しく育ったのかもな…」
ヒラヒナ「ヒナァ？」

あと1ヶ月、それが俺に残された時間だ
トレーナーなら誰しもが知っている5年に1度しか開催されないバトルの大会 "パルデアプレミアムリーグ"
俺はこの大会に出て名を挙げたい
今の実力じゃチャンピオンになるなんて大層な夢は語れないが、せめてベスト8に残って全世界に俺とヒラヒナの熱いバトルを見せつけてやりたいんだ

俺は1ヶ月間、ヒラヒナと猛特訓をした
ポケモンバトルはトレーナーのやる気だけじゃ勝てない。
だからヒラヒナにも頑張って特訓してもらわなきゃならない
でも舐めちゃいけないぜ？
小柄なヒラヒナだけど、エスパータイプの技を使わせたら物凄いパワーなんだからな
この前だってロースト砂漠のドンファンを倒したばっかりだ
俺の家はマリナードタウンにある
そこでは競りが毎日開催されていて、バトル向けのアイテムや体づくりに必要な食べ物だって売っている
近くには無限のようにも思える広大なロースト砂漠、バトル相手には困らなかった

だけど、やり過ぎは禁物だ
俺「はぁ…結構歩いたし特訓したなぁ」
ヒラヒナ「ヒナヒナ〜」ﾋﾟｮﾝﾋﾟｮﾝ
俺「おいおい、まだ元気なのかよ！俺はもう歩け…」
ﾄﾞｻｯ

あれっ、ここは… 家？

クエスパトラ「ﾌｨｴｰ!」ﾊﾞｻﾊﾞｻ
俺「うおっ！なんだなんだ！」
妖艶な雰囲気、美しい翼、そして鍛え抜かれた脚
そして俺を見つめる優しい眼差し
すぐに分かった、ヒラヒナだ
俺の相棒が進化したんだ！

あの小さかったヒラヒナが、俺を運べるくらいに逞しくなるなんて…
クエスパトラになった俺の相棒は、今までとは段違いにパワーがあり素早くそして賢くなっていた

そして、遂に明日はパルデアプレミアムリーグの予選日だ

俺「クエスパトラ、ルミナコリジョン！！！」
クエスパトラ「フィエー！」ﾊﾞｼｭﾊﾞｼｭ!
名も無きトレーナー1「くっ、俺のカラミンゴが！！」

俺「相棒！電光石火だｯ！」
クエスパトラ「クエクエクエー！」ﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞ

名も無きトレーナー2「は、速すぎる！僕のモトトカゲより速いなんて！」
モトトカゲ「グゥゲェー！」ｽﾞﾄﾞﾄﾞ

名も無きトレーナー2「よく耐えた！いけ！ドラゴンクローで反撃だ！！！」
モトトカゲ「カゲェ！」シュパッ

俺「ふっ、俺の相棒はタフネスさが売りなんだ。特に直接攻撃に対しては自信がある。たくさん特訓したもんな、相棒」
クエスパトラ「ﾌｨﾘﾙﾙﾙリーリー」ﾊﾞｻﾊﾞｻ

こんな調子で、俺とクエスパトラの戦績はうなぎのぼり！
戦う度に強くなる俺たちはまるで特性「加速」みたいだ

無事に予選を勝ち抜けた俺はベスト32まで上り詰めていた
ベスト8になれば明確に強者と認定され、名も刻まれる
次勝てれば、ベスト16 夢へと大きく近づける

だがその相手は…アイツだった

カナタ「噂は聞いている…ふっ、いい面構えになったじゃないか。だけど俺だってあの頃から更に成長している」
俺「よく喋るなぁ、もしかして緊張してるのか？」
カナタ「緊張？ははっ、お前ごときにするわけがない」

ジャッジマン「ちょっとちょっとお兄さん方、煽り合いは試合の後にしてくださいね」
俺「邪魔しないでください！」
ジャッジマン「！？」
カナタ「あぁ、そいつの言う通りだ。既にポケモンバトルは始まっているからな」

俺「ところでお前、未だにセグレイブを使っているのか？」
カナタ「使っている？ポケモンを物の用に例えるな。」

俺「揚げ足取りしかできないのか？普通に会話してくれよ」
カナタ「ﾁｯ…俺のセグレイブに何か問題でもあるのか？」

俺「いや、別に。ただカッコよくはないなって」
カナタ「は？今なんて言った？俺のセグレイブを悪く言う奴は絶対に許さないぞ」…ｸﾞｯ

よし、作戦通りだ アイツは拳を握り込んで怒りを抑えている
実はパルデアプレミアムリーグのルールは結構厳しい
トレーナーが相手に暴力を振るえばもちろん失格
対戦における不正ももちろん禁止だし、覚えさせてはいけない技まで存在する(一撃必殺技や地震等)

だその厳しいルールブックには"暴言禁止"なんて書かれていない
ジャッジマンが非紳士行為と認め試合を止めた際には、失格になる事もあるらしいが前例はまだない

正直、アイツのセグレイブは強かった

俺のクエスパトラも成長したが、今のクエスパトラは昔のアイツのセグレイブと同等かそれ以下かといった感じだ
アイツのセグレイブが昔より成長しているなら勝ち目はない

俺「なんというかさ、ベスト8になったらテレビでも放映されるんだぜ？」
カナタ「だからどうした！それより俺の相棒を侮辱したことを謝罪しろ！」

俺「相棒がダサくてハゲてるなんて、俺だったら恥ずかしくてテレビに映れないぜw」
カナタ「コイツ…！！！殺す！殺してやる！」ｶﾞﾊﾞｯ

ｸﾞｷﾞｭｰｰｰ

怒りに身を任せ俺の首を絞めるアイツ、俺はもちろん抵抗はしなかった

ジャッジマン「オーベム！サイコキネシス！」
オーベム「ﾌｧｧ」ﾌｫﾝﾌｫﾝﾌｫﾝ

カナタ「辞めろ！離せ！俺はコイツを殺さなきゃならないんだ！許さない！絶対に許さない！」

ジャッジマン「カナタ選手、暴力行為によって失格！よって勝者、俺選手！！！」

俺(計画通り…！)ﾆﾔｯ
カナタ「こんな事が許されると思うな！絶対に許さないからな！！！！」
俺「『ポケモンバトルはトレーナーのやる気だけで勝てるような甘い世界じゃない』って教えてくれたのはお前だろ」
カナタ「…！」
俺「勝てないと思った相手には頭も使う、がむしゃらに頑張るだけじゃダメってことなんだろ」
カナタ「……解釈の仕方はお前の自由だ。俺も冷静さが欠けていたし、セグレイブがハゲているという言葉に効いたのも俺の責任だ」
俺「よく分かってんじゃん」

こうして俺はベスト16まで進んだ

だが、ベスト16からは3vs3のバトルになるためクエスパトラしか手持ちに居なかった俺は当然のごとく敗退。

苦い思い出となったが、初出場でベスト16という記録は非常に稀らしく学校では一躍人気者になった

次の大会は5年後、その時は俺は20歳丁度だ
それまでに手持ちを増やして、ベスト8を目指しやるぜ！
俺達は止まらない！加速し続ける！！！

～完～

ぶっちゃけ普通にポケモンバトルさせーや、クレオパトラに対セグレイブ対策の技を覚えさせとくとか盛り上げ方あるやん。レスバで勝ったところで……って感じ