行政書士試験は過去問だけで合格できる?効率的に実力をつける活用法3つ
- 2021.03.12
資格試験では過去問が重要とよくいわれています。
「過去問だけで合格はできないの?」と思うこともあるかもしれません。
特に、行政書士試験のように試験科目が多いと教材選びにも困ることもあるでしょう。
過去問だけで合格できるのであれば勉強方法に悩む必要もなくなります。
実際のところどうなのか、解説していきます。
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行政書士試験は過去問だけで合格できる?
結論からいうと、過去問だけで合格するのは困難です。
確かに、過去問だけで行政書士試験に合格することができるのであれば、テキストやその他様々な教材を買う必要がなくなります。
どの教材をどのように使って勉強をすればいいのか、勉強方法で悩むことも少なくなるでしょう。
しかし、残念ながら「法学部で法律を学んだ」「別の法律系資格を持っている」などといった事情がなければ厳しいでしょう。
初学者はテキスト等も併用する必要があります。
過去問だけの勉強では合格が難しい理由
それでは、なぜ過去問だけで合格するのが難しいのか、その理由について以下で説明していきます。
1 体系的に学ぶことができず非効率
過去問そのものが重要であることに変わりはありませんが、過去問は基本的に知識の確認・アウトプットとして利用するものです。
要は、すでにある程度の知識が頭に入っていることを前提に利用するものなのです。
もちろん、いきなり問題を解きつつ解説を参考にして知識を入れていくことも可能ですが、この場合、効率があまり良くありません。
特に初学者の場合、まずは学習範囲の大枠を把握することが重要とされています。
全体像を把握することで各分野の勉強を効率的に進めやすくなるからです。
しかし過去問だけでは流れのない部分的な学習にとどまり、体系的に知識を入れることが難しいです。
これでは「木を見て、森を見ず」という、点ばかり見て全体像を見ることできない学習になってしまいます。
効率の悪さは勉強期間を長期化させ、モチベーションの低下にも繋がり、最終的には受験を諦めるという最悪の結果を招いてしまいます。
2 事前知識がないと解答の解説が理解しにくい
試験の実施機関である「行政書士試験研究センター」では、毎年試験結果分析を公表しています。
合格率について見てみると、例年およそ10%前後で推移しています。
つまり、簡単に合格できる試験ではないということです。
そして専門性も高く、特別な背景がない限り法令に関する知見を持っているということもなかなかないでしょう。
この状況下で、過去問だけで学習する方法方法では、とても厳しい戦いになります。
なぜなら過去問題集だけの学習では、短い解説文だけで理解を深めなければならず、正しい理解ができないおそれがあるからです。
過去問題集の解説は、用語などを一つ一つ説明していたのでは解説文が膨大になってしまうことから、通常は簡潔に記載されています。
過去問題集は、基本的には最低限の勉強をした人に向けて作られているのです。
比較的簡単な試験であれば解説だけで疑問を解消できるかもしれませんが、憲法や民法、行政法などの専門性を有する領域に対しては、解説だけでは理解ができない可能性があります。
これだけで学習を続けていくのはかなり困難と言えます。
3 最新情報への適応ができない
過去問はその名の通り、過去に出題された問題です。
そのため常に改正に対応した改題された最新版の過去問題集を使わなければ、最新情報には適応できません。
つまりご自身で法改正がいつあるのかアンテナを張り続ける必要があり、「過去問題集が改正に対応しているか」ということも自身で判断しなければなりません。
これは常に不安を抱えることになり、多大なるストレスとなります。
近年、民法や個人情報保護法で大きな改正がありました。
その他法令も改正がなされることがもちろんあります。
そうすると改問されていないかぎり、純粋な過去問では間違った知識を仕入れることになってしまいます。
また、一般知識に関しては、時事問題も多く出題されます。
出題範囲もかなり広く、過去問で出題傾向を掴むことも難しいので、過去問を使うことのメリットが他の分野に比べて薄れてしまいます。
行政書士試験では一般知識で一定以上の点数を得なければならないため、過去問だけの勉強では基準点を突破できない可能性も出てきます。
4 記述式対策が難しい
記述式の問題は、合計60点の配点がなされています。
満点が300点の試験であるため、記述対策は怠ることができません。
しかしながら毎年3問しか出題されておらず、10年分の過去問を使ったとしても30問しか解くことができません。
そのため対策しきれない可能性が出てきます。
加えて、自分の解答が合っているのかどうかの判断も難しいです。
この点、通信講座等であれば添削をしてもらえるなどその他様々なメリットがありますので、不安な方は利用を検討しましょう。
効率的に実力をつけるための過去問活用法3つ
過去問だけでは合格が難しいということを説明してきましたが、優れた教材であることに違いはありません。
そこでその良さを活かすためには、具体的にどのような使い方をするのがいいのでしょうか。
- 理解度チェックに利用
- 時間配分を身に付けるために利用
- 出題傾向を知るために利用
以下で解説していきます。
1.理解度チェックに利用
テキストをすいすい読み進めることができても、試験を受けてみると思いのほか問題が解けないということもあります。
知識が定着しておらず、自分の頭の中で上手く解釈できていなかったり、暗記ができていなかったりするからです。
そこで、テキストを一読して終了するのではなく、本当に理解できているのかどうか過去問を使ってチェックしてみましょう。
復習にも繋がり、知識の定着も期待できます。
2.時間配分を身に付けるために利用
知識レベルが高くても、試験対策をしていなければ不合格になってしまう可能性があります。
特に時間配分は重要です。
解答した問題の正答率が高くても、全ての問題に解答できないと合格するのは困難でしょう。
そこで、時間配分を体で覚えるためにも過去問を使います。
時間を測定しながら問題を解き、1問あたりどれくらいのスピードで進めなければいけないのか、体感しておきましょう。
3.出題傾向を知るために利用
過去問は、上述の通り最新情報に弱い一方で、出題傾向・出題形式が把握できるという強みを持ちます。
どんな問題がどのように出題されるのか把握すれば、効率良く勉強できます。
極端な例ですが、出題可能性の高い問題を把握することで、そこを重点的に学べば余分な勉強をする必要がなくなり、高い効率が実現されます。
逆に出題範囲も傾向もまったく分かっていないと広範に学ばざるを得なくなり効率は落ちてしまうでしょう。
このように、過去問を解くということはより実践的な試験対策になるのです。
できるだけ正確な傾向を掴むためにも数多くの過去問に取り掛かるといいでしょう。
関連コラム:行政書士試験における過去問の重要性!10年分解いた方がいいのか?
この記事の監修者 相賀 真理子 講師
家業の不動産業にも深く関わり、現在、不動産専門行政書士としても活動中。
元アナウンサーの表現力で「つまらない・わかりづらい」を「面白い・聴きやすい」に変え、最小の努力でしっかり合格を目指す「リケ女ならではの」合理的な講座を提供します。
Twitter:@marikoaiga
ブログ:相賀 真理子のブログ
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