ネット記事で、オートバイに
乗るのに下に白い色合いのズ
ボンを履いているのはど素人
丸出し、とかいうのを見た。
曰く、乗車走行では汚れるか
ら黒が玄人だ、と。
思わず失笑した。
いや、そう思うほうがど素人
そのものでしょうよ、人の世
の歴史にも昏い、と。
オートバイの原形は自転車だ
が、さらに根源は馬である。
乗馬はライディング。オート
バイもライディング。
乗馬では白いジョッパーズは
スタンダードセオリーであり、
格調高い正式色だ。
分かってないなぁ、と思う。
乗馬でも外を走るのだから
汚れる。荒れた馬場なら泥
まみれだ。
そして、病院もいろいろ汚れ
る。
なのに、医師やナースはなぜ
白衣を着るのか。
昔、整備工の布ツナギは真っ
白だった。
これは元々ブルーだったのを
ブルーカラーと呼んで差別的
に世間が観るのを黙らせよう
と労働者側が純白のツナギを
1960年代に着用し始めた事
による。「もうナッパ服とは
言わさないさ」と。
1970年代初期に、その労働者
の専用服の真っ白な布ツナギ
をまとって宇崎竜童はダウン
タウンブギウギバンドでデビュー
した。
白は汚れが目立つ。
だからこそ、そこに意味がある
のだ。
汚れたら綺麗に洗濯すればいい。
そして、常に白く汚れていない
服を着用しているのは清潔を保
つ姿勢の表れともなる。観てす
ぐその人の心構えと衛生感覚の
質性が判る、というような。
オートバイでも、下にベージュ
や薄色のサンド色のパンツを
履くのはかつて一般的だった。
だが、いつのまにか黒が主流
となった。汚れが目立たない
からか。
私は思う。
目の前の事だけを視野狭窄的
に見て、それが全てと思い込
むのはどれほど世界観を狭め
る事か、と。
そして、歴史を俯瞰して全体
像を観たり、過去の事象を知
ろうとしないのは、未来さえ
も見えない事だ、と。
自分で自分にブリンカー着け
てりゃ世話ないよ。おまけに
目には鱗。
それだと、未来という前には
進めないよ。