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精神科の虐待と死亡退院は滝山病院が特別だからではない

「ルポ死亡退院」(NHK)が告発した虐待事件

衝撃的な映像による告発によって、連日報道が耐えない八王子市の精神科病院での虐待事件。
放送された番組では、職員による暴行や暴言が生々しく「ここね、人が人を殺すとこなんです…」という一言が療養環境の劣悪さをストレートに伝えていました。

警視庁は看護師と准看護師の四名の男性を入院中の方への暴行容疑で立件。入院中の方へ退院や転院の意向があるかの調査がありましたが全員が対象ではなく、約120人の入院中方のうち、生活保護受給中で自治体の意向調査があった方を除いたおよそ80人が対象です。
個室で行われた聞き取り調査では転院や退院を希望した方も複数いたとのことでした。(日テレNEWS 2023年5月15日)

東京都の改善命令を受けて病院が提出した改善計画は、全病室や廊下などにカメラ計50台を設置、第三者委員会による事件の検証など含む内容でした。
しかし、退院をサポートしている相原啓介弁護士は、次のような問題点を指摘しています。

・事件への病院管理者の関与などが不明なまま、虐待防止の中心的役割を負っていること
・被害者らへの説明会開催や賠償の計画がない
・事件を検証する第三者委員会の中立性や
・人工透析での人員配置も疑問視し
・致命的な問題があり、同様の事案が再発するおそれがある

貧困ビジネスとしての精神科病院

この事件において生活保護行政や医療機関・福祉が「必要悪」としてこの病院を利用してきた背景構造には、それを可能にする法律の「抜け穴」がありました。
障害者虐待防止法だけではなく、生活保護法、医療法、もちろん精神保健福祉法、他にもさまざまな法律に「抜け穴」が存在し、貧困ビジネスとして成立させています。
社会から排除されている人を精神科病院に強制入院させ、人権無視と根拠のない医療によって診療報酬を不正に受け取る。このビジネスモデルは新しいものではなく1993年の大和川病院事件は、とても似た構造をもっており、大和川病院の廃院で終結しました。

私たちは、差別や偏見を内包して作られている法律が、人間の尊厳をないがしろにする「人権侵害」を許している事実を発信し、法律や政策に抜本的な改革が必要であることを大きな声で伝えていきます。

連日報道される精神科の虐待事件

法律の作りが差別的であり、グレー対応・ブラック対応が平然と行われるのですから、虐待防止をスタッフ個人の人格や熱意だけに期待しても難しいのです。経営者に悪意があれば、閉鎖的で密室的な組織の中で倫理のギャップを埋めるために「こころ」や「理想」「オモイ」「希望」を抑圧して適応するのは、入院者も職員も同じです。人間ですから。生きるために。
東京だけでなく、静岡県沼津市、静岡県南伊豆町、北海道新ひだか町と虐待事件の報道が絶えません。ほぼ全国的に虐待事件は発生しており、滝山病院だけがレアケースではないということです。
兵庫県の神出病院事件も記憶に新しく、被害者への謝罪はいまだにありません。事件は終っていないのです。
神出病院事件を追及している兵庫県精神医療センターでは、今回の滝山病院事件で入院中の方をサポートしている相原弁護士をお招きして講演会を開催します。

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『滝山病院事件等を通じて考える精神科医療・福祉・ 行政の現状と課題』  

講師:弁護士 相原啓介氏(滝山病院事件患者代理人)

<プロフィール>
国立精神保健研究所等において心理職として主に精神科デイケアの仕事に従事。その後、精神保健福祉士、弁護士の資格を取得。現在は東京都日野市所在の高幡門前法律事務所所属(第二東京弁護士会)。

日時:7 月2日(日) 14 時 10 分開場/14時30分開始/16時30分終了  この講演会は終了しました。
会場:中央区文化センター 1001・1002会議室
神戸市中央区東町115(旧市役所 3 号館跡地)
定員:80名(先着順)
*定員になり次第募集を締め切らせていただきます

一 般│1,000円    
障害者・同行ヘルパ―│500円
一 般+500円(人権センターの活動を応援する)│1,500円 



依然としてなくならない精神病院職員による患者への暴行・虐待。

2020年には神戸市西区の神出病院での集団虐待暴行事件が発覚しました。
そして今年2月、東京都八王子市の滝山病院において、看護職員による患者への暴行・虐待があったことが報じられました。
これまでに看護師・准看護師の4名が暴行容疑で立件されています。

本講演では滝山病院の患者の代理人として支援をされている相原啓介弁護士を講師にお招きし、事件から浮かび上がる精神科医療・福祉・行政の実態や、課題についてお話しいただきます。

「自分や自分の大切な家族がこのような被害を受けたなら・・・」

「自分に何ができるのだろうか・・・」


そんな風に想像力を働かせながら、自分ごととして共に考えたいと思います。

どなたでも参加できますので事前にお申込みのうえご来場ください。

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チラシのダウンロードは下記より
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認定NPO法人大阪精神医療人権センター

認定NPO法人大阪精神医療人権センターの活動は、みなさまのご支援によって支えられています。 サポートは精神科病院に入院中の方の権利擁護活動のために有効に活用させて頂きます。例えば2000円で面会ボランティア1名を派遣することができます。

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精神医療および社会生活における精神障害者の人権を擁護する活動を行い、精神障害者に対する社会の理解を促進し、障害の有無にかかわらず、人間が安心して暮らせる社会に一歩でも前進させるべく貢献することを目的としています。https://www.psy-jinken-osaka.org/
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