「いつかは転職しよう!でも、いまはまだ時期じゃない……」。そうやって後回しにしていても何も変わらないことに、たいがいの人は気づいているはずだ。これまで9回の転職と3回の起業を経験したという、キャリアコンサルタントの河原哲史が考える「すぐ行動する」ためのポイントとは――。本書は『読むだけで人生が変わる「すぐやる」思考術』(白夜書房)の一部を抜粋・編集したものです。
人生を変えた
1通の突撃メール
最近のお笑い芸人の多くは芸人養成学校経由でデビューしていますが、かつては大物芸人に弟子入りするというのが主流でした。
たけし軍団のラッシャー板前さんは、雑誌に載っていたビートたけしさんのマンションの写真から住所を特定し、「弟子入りしたい」と押しかけたそうです。インターネットがない時代ですから、これはものすごい執念の行動です。
浅草キッドの水道橋博士さんは、7カ月間もビートたけしさんの収録現場に通い詰めて弟子入りを許されました。ほとんどストーカーです。
今やベテランになった芸人の多くは、師匠に突撃して弟子入りを志願し、デビューのきっかけをつかみました。
私も、同じような経験があります。とはいえ、ターゲットはもちろん芸人ではありません。私が突撃した先は、居酒屋や宅食を手がけるワタミグループ創業者の渡邉美樹さんです。
私は渡邉さんの著書『夢に日付を!』などを読んで、実際に話を聞いてみたいと思いました。地元の商工会議所に友人がいたので、渡邉さんを講演に呼んでもらうように働きかけてみました。ところが、いろんな事情で断念せざるをえませんでした。
あきらめ切れなかった私は、渡邉さんが代表を務める公益団体の代表アドレスに「渡邉様の社会貢献活動で、私に何か手伝いできることはありませんか?」といった趣旨のメールを送りました。
すると、「東京に来る機会があったら、連絡をください」と渡邉さんの秘書から返信があったのです。
私は東京出張に合わせてワタミ本社に出向きました。私と会ってくださった秘書の方から「近々大阪でシンポジウムがあるから、ボランティアスタッフとして来ませんか?」と打診されました。
私はもちろんシンポジウムに足を運びました。その打ち上げのときのこと。私が少し遅れてお店に到着すると、空いている席は渡邉さんの隣の隣だけ。そこに座ると、渡邉さんの隣に座っていた人がたまたま中座しました。私はすかさず渡邉さんの隣に席をスライドさせました。
きっと渡邉さんは「何だこいつは?」と思ったことでしょう。それでも、熱心に話しかける見ず知らずの私に、起業や経営についていろいろなアドバイスを送ってくれました。厚かましいことに、そのとき、渡邉さんとのツーショット写真も撮りました。