公務員から公務員への転職はアリ?成功例や志望動機作成の注意点を紹介
- 2020.12.29
せっかく公務員になったけど、思っていたのとは違うから転職したい。
ただ、やっぱり次も公務員がいい。
だけど、公務員から公務員への転職って、可能なの?採用で不利になるのでは?
こんな不安・疑問をお持ちではありませんか。
本稿では、そんな方のために、実例をまじえつつ、公務員から公務員への転職を成功させるポイントについてお話ししていきたいと思います。
目次
公務員から公務員に転職はできる?
公務員から公務員の転職は全然あり!
結論から申し上げて、公務員から公務員への転職は全くもって可能です。
公務員には他の公務員に転職してはいけないという法令はありませんし、実際に転職した人は決して少なくないからです。
筆者の教え子にも、よくよく話を聞くと、前職が公務員で、他の公務員を目指して勉強中という受講生は少なからずいました。
事例1:前職県警の警察官で地方公務員の事務職志望のAくん
警察官の職務に疲れて退職を考えていた時に決定打となった事件が起きた。ある日、駐禁の取り締まりをしていたところ(違法駐車車両のある道路にチョークで印をつけていた)、ふと気付くと、車の持ち主のヤンキー達に囲まれていた。ボッコボッコにされ、ほうほうの程で逃げた。「公執(公務執行妨害罪のことです)で逮捕する余裕なんかないっすよ〜」で、次は暴力と無縁の地方公務員の事務方にならんと転職を決意。筆者が「国税専門官とかも受ければ?」と聞くと、「いや、もう二度とガサ入れなんかしたくないです」。
→地方公務員に転職!
事例2:東北出身だが関西にある、憧れの土地の市役所に現役合格したBさん
突然実家の父親が倒れ、看病疲れの母親までがダウンしてしまい、実家に戻って両親のケアをすることになった。泣く泣く市役所は退職。一念発起してまたもや講座を受講してくれて、今度は実家の所在地の市役所と裁判所事務官を受験。
→裁判所事務官に転職
事例3:現役時代に公務員試験に3つほど合格したほど優秀なCくん
あれこれ考えた末、仕事の内容よりも残業が少なそうで、ワークライフバランス優先で選んだ北関東にある機関(国家一般職)に就職。ところが、仕事は単調で面白くないし、いたずらに残業が多くて帰宅が深夜になることもしばしば。別の公務員への転職を決意。働きながら勉強を始めたものの、勉強時間を確保できず、不合格に。意を決して転職先が未定のまま退職し、関西の実家に戻り、貯金と失業手当で予備校費用を払い、勉強を継続。
→転職活動二度目のチャレンジで国家一般職に転職
仕事が合わなかったAくん、親の都合で実家に戻らざるを得なかったBさん、仕事内容でなく上司の采配で左右されるような理由で職場を選んでしまったCくん、転職の動機は人それぞれです。
転職のルートには2つある
公務員からに限らず、民間企業から転職する場合も同じですが、公務員へ転職するルートには2つあります。
1 通常の採用枠で受験する
1つ目が、通常の採用枠で受験するルートです。
受験資格である年齢制限に引っかからなければ、再度、通常の採用枠で受験できます。
2 経験者採用枠で受験する
2つ目が、経験者採用枠で受験するルートです。
全国の都道府県・政令指定都市・東京特別区のうち約8割と、国家公務員では、社会人経験を受験資格とする経験者採用枠を設けています。
必要な社会人経験の内容や年数は、職種によって異なりますが、公務員としての勤務年数次第では、経験者採用枠で受験する方法もあります。
ただ、自治体の経験者採用では、経験者年数に公務員を入れないところがあるのに注意が必要です。
受験案内をよくチェックして、公務員の職歴も認めている職種を受験するようにしましょう。
公務員から公務員へ転職の有利な点と不利な点
民間企業からの転職者より有利な点
今仕事をしている公務員を辞めて、他の公務員試験を受けるのは、なんとなく後ろめたい気持ちになるので、不利な面ばかりに目が行きがちですが、あながちそうでもありません。
公務員試験の年齢制限に幅があるのは、新卒採用にこだわってないということです。
つまり、社会人経験のある人の採用も予定しているわけです。
ですが、民間企業と異なり、公務員の仕事は法令に根拠を持たなければならず、独特の文化があります。
この点、公務員経験者は、前職で文化を身につけているので、即戦力になり、大歓迎となりなります。
また、公務員には他の自治体や、国の機関との人事交流があります。
この点、前職が公務員の転職者は、他自治体・他官公庁を知るので、情報を得られるということで重宝がられることが多々あると言えるでしょう。
民間企業からの転職者より不利な点
人事担当者が一番避けたいのは、せっかく採用しても、すぐに辞められてしまうことです。
公務員の職務には、広く深い知識と高度なスキル、人的ネットワークを必要とします。
経験を積むことでこれらを身につけてもらわねばならないので、早々と退職されるのを嫌います。
したがって、公務員から公務員への転職では、「また同じ理由でやめられるのではないか」と疑念を持たれる可能性が高いことが不利な点といえます。
例えば、市役所から市役所への転職の場合、市役所が扱う業務なんてどこでも変わらないのに転職するのは、そう疑われる可能性が大といえます。
最悪のパターンは、「人間関係でこじれて前職を辞める」「とんでもないことを何かやらかして居辛くなって辞める」と思われることです。
どこで働いても、大なり小なり人間関係の難しさは付き物ですから、「また人間関係が原因で辞めるかも」と思われかねません。
それに、「居辛くなるほどとんでもないことをやらかす」人間は、できれば採用したくないですからね。
結局、説得力ある理由が決め手
では、どのようにすれば人事担当者に「また同じ理由でやめられるのではないか」と思われずにすむのでしょうか。
それは結局のところ、面接で説得力ある理由を告げることができるかどうかです。
1番やりがちの失敗パターンは、志望動機で職務内容(やりたいこと)を理由にする時です。
「ぜひ、御市で子育て支援をやりたいと思ったから」
「子育て支援なら今のところでもきるよね」
と論破されてしまえばアウトですよね、
説得力を出すポイントは、
「前職を辞める理由が、転職によって解消する」
「前職には無かったものが、ここにはある」
です。
同じ子育て支援でも、「もっと住民との距離感近く、反応をダイレクトに感じたいので、現職の県庁から市役所に転職したい」と語れば、
「県庁にはない住民との距離感の近さが、ここにはある」
となります。
さらに、如何ともしがたい理由があれば鉄板で、「それはやむを得ないですね」と納得してくれます。
典型的な理由としては
「両親のケアのために、どうしても実家にも戻らねばならない」
「配偶者の仕事の関係で、どうしても移動しなければならない」
といったころでしょうか。
説得力ある理由を用意して「同じ理由でまた辞めてしまうのではないか」と思われないよう、面接対策をしておきましょう。
公務員から公務員へはどうやって転職するの?
転職活動していることが今の職場にバレないか
公務員への転職に限らず、転職活動には準備が必要です。
しかも、転職先からに内定が確定するまでは、秘密裏に準備をする必要があります。
この点、公務員の職務経験が浅い方から
「転職先も公務員だから転職活動はばれないか」という質問が寄せられます。
ですが、しばらく公務員を続けていればご存知のように、採用情報が漏れることはないので、安心して結構です。
公務員は個人情報保護法に従って職務を行わねばならず、採用前(組織外)の個人情報を、おいそれと人事担当者が口外するようことはあり得ません。
ただ、思わぬ落とし穴があります。
転職先から、職歴証明書の提出を、内定が出る前に求められた場合には、内定前に転職活動していることが職場にわかってしまいます。
職歴証明書の提出が内定後かどうかを、採用試験の実施要項でチェックすることを忘れないようにしましょう。
仕事をしながらの勉強はきつい
あたりまえのことですが、公務員に転職するということは、またあの膨大な量の科目の勉強をしなければなりません。
学生の時も、授業、ゼミ、サークル、アルバイトと、忙しい合間をぬって勉強時間を捻出したことでしょう。
とは言え、学生時代と社会人とはフレキシビリティに雲泥の差があります。
職場にいる時間帯は、勉強する余地がありません。
定時に帰宅できても、平日は2時間、頑張っても3時間ほど勉強に充てられれば優秀です。
しかもこんな生活を1年以上続けなければなりません。
計画を立てて、予定通りにこなす強固な意志と、強いモチベーションの維持が必要です。
自分は、なぜ今の職場を辞めて、他の公務員へ転職しようするのか、面接で語る内容ではありません。
自分に正直に問うことです。
もっとモテるようになりたいとか、好きな人の職場に転職したいとか、そんな不純な動機で構いません。
それどころか、往々にして動機は不純なほど、物事は成功するものです。
最後に
最後まで読んでくださって、ありがとうございます。
少し大変ですけど、次の職場への希望を抱いて、転職を成功させてください。
本稿が、多少なりとも転職活動のお役に立てたならば、幸いです。
公務員から公務員へ転職の決意した場合には、働きながらの受験となりますので、公務員試験の学習経験がある方にとっても負担の大きいチャレンジになります。
そのため、モチベーションを保ちながら、かつ、効率よく学習を進めていく必要があります。
アガルートアカデミーでは、過去問等を徹底的に分析した上で、公務員試験対策カリキュラムをご用意しております。
公務員から公務員への転職を目指される方はぜひご検討ください。