編集済み
だれでも
メタ的な話、七海、物語を進めるのにマジで滅茶苦茶便利なキャラである、ということが今回改めて凄くよく出てたと思う。何であんな序盤で死んだ?というくらいマジで便利だと思う

※七海推しの感想です。

五条が夏油に語ったこと、ぶっちゃけ物語を俯瞰的に見ている我々からしたら「いやその感想でいいんかい!?」みたいなとこはあるじゃないですか。

何ですくな側に気持ち寄せてる!?遺されてるお前の生徒達は!?独り遺された硝子ちゃんは!?若人の青春を守るんじゃなかったのか!?なんで遺された人間達に思いを馳せない!?て。

で、夏油も夏油で「妬けるねえ、でも君が満足したならよかったよ」って、全肯定じゃないですか。もうお前親友のこと全肯定botかいって。妬けるねえ、じゃない。夏油も別種の屑だと硝子ちゃんに言われていた所以が全部出てる!そういうとこ!受け入れるな!受け入れる癖に……離反すな!!!!(号泣)

っていう、我々読者側の気持ちを「まとも常識枠」として代弁できるのが七海なんですよね。

凄いじゃん今回。この五条に対してまず「気色悪い」で一刀両断。流石にこっちも気色悪いまでは思ってなかった。多分。そこまで思う前に七海が言ったからですけど。
で、何で気色悪いかをちゃんと説明してくれる。「発想が現代人じゃない。戦国時代のそれ」ってこと。で、そう言われると、五条の言動に「いやその感想でいいんか!?」と思ってた我々も「あーね、戦国時代の武将ならね」みたいになる。ぜんっぜん理解できないけど、でも戦国時代の武将なら、「強敵と戦い己の全力をもって挑むことこそ誉!」みたいなね。あるかもね。ここ令和だけど五条のメンタルがそうなら、そうね。てなる。

ここで一端我々の「どうした五条!?」が、ツッコミと解説を経て、ちょっと五条への理解に寄る。

で、こっから畳みかけるように「五条は自分の力を人を守るためじゃなく自分が満足する為に使う変態」って。
凄いよ。そこまで言っちゃうの凄い。夏油は理解した上で「君が満足なら」ですませちゃう所を、わざわざ解説しながら、読者の分までツッコミという毒を吐いておける。解説役兼読者の代弁役として優秀すぎる。ちょっと優秀すぎて毒が強くないか?大丈夫か?

我々も薄々分かっていたじゃないですか五条のそういう質は。五条が今ノブレスオブリージュ的な、「強い者は弱い者を守るべき」、「強くて聡い仲間を作ってこの世界を良くする」という動きをしてるのは元々は夏油の思想で、五条本人は戦闘ジャンキーというか、まあつまり発想が戦国時代の武将ってことなんですけど……。
最強として覚醒した時とか、今回の観戦中の一ちゃんの発言とかで、「何かの為でなく自分の為の戦い」っていうのはちょこちょこ示されてたよなって。

それをね、「ぱっと見まるくなったように見えても本質的に五条はそういう変態」て、改めて言語化してバッサリするのが七海。薄々思ってたことの完全言語化。
ていうかそのバッサリを彼は高専時代にやっており(タイミング、最悪すぎるが)、その時から五条のことそう思ってたということも明らかなりましたね。
私、出戻った七海はかつてそう言ったことを後悔してるかな?と思ってたんですが、これ読む限り全然後悔してなさそう。だって五条が死んだタイミングでわざわざ掘り返すくらいだし。正直死んだ人間にそこまでバッサバッサと袈裟切りするか?の勢い。読者である我々、流石になんかこのへんで「まあ五条もそんな変態性を隠して頑張ってたし……」みたいな気持ちにも若干なる。

若干なった所で、とどめの「肯定はしませんが同情はします」だよ。ヤバない?ヤバい。七海という男、物語を綺麗に着地させるのにあまりに適しすぎている。
我々がちょっと理解できない五条の思想を解説し、バッサバッサと袈裟切りにし(読者の代弁)、その上で「肯定しない」。
誰かの為でなく自分の満足の為だけに力を行使することを、後に遺された者ではなく、戦った相手の孤高を思うことを「肯定しない」。明確にそう言った上で、「同情する」。
我々読者も、「五条をおかしいと思っていい」「イカれてる変態だと思っていい」「現代の思想としておかしい」と思っていい。
だけど、その上で、そんな風にしか生きられなかったことを、そんな風にしか生きられないのに必死に唯一の親友の思想を守り続けたことを、生まれる時代を間違えたことを、彼の孤高を「同情していい」。

五条の姿を、高専からずっと、夏油がいなくなってからも、死んでからも、ずっと見ていた男がそう言うことで、読者である我々も、そう思える。

最初は「いや五条それでいいんか!?」と思ってた我々が、「良くはないけど、五条という男は昔からそういう男で、それを肯定しなくていいけど、同情したっていい」という気持ちにまで持っていける。

七海建人という男が2頁でやってのけたことです。
凄いって。凄いよ。マジでメタ的な意味で、滅茶苦茶に、便利なキャラなんだなって思う。

物語をうまく進めるのに、読者の気持ちを寄り添わせるのに、あまりに適したキャラクター。トチ狂った中でも常識まとも一般人大人枠(七海が真実そうであるかは論を別にします)として存在する男の力。死んでなお回想シーンで解説役に使われる男。

七海という男、最後までキッチリ彼の仕事をこなしていきました。ありがとう。

※11:45追記
あくまでも七海推しのオタクが色眼鏡をかけた上でメタ的な役割としての七海の話をしています。私個人は五条に対して気色悪いだとか変態だとか、或いは無責任すぎる、というような感触はあまりなく、彼もまた青い春を喪わざるを得なかった人間の子供の一人であり、或いは人を愛して人を模した龍であり、彼の最後は、彼が教師として為したことや人を助けてきた行為の価値を損なうものでは無いと思っています。なお最初から最後までこれは全て私の妄言です。最後まで妄言たっぷりだね。南無。

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