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名刺データを管理するシステムのIDとパスワードを転職先の会社に不正に提供したとして、警視庁は15日、埼玉県川口市、会社員の男(43)を個人情報保護法違反(個人情報データベース提供)容疑などで逮捕したと発表した。警視庁は、数万人分の名刺情報が漏えいし、転職先の営業活動に使われたとみている。
同法は、名刺の情報を検索できるように入力・整理している場合は「個人情報データベース」に該当すると規定。外部に不正提供した場合、1年以下の懲役または50万円以下の罰金を科す。警視庁によると、個人情報データベース提供罪の適用は全国で初めて。
発表によると、男は東京都千代田区の人材派遣会社に勤務していた2021年6月、同社の名刺データ管理システムにログインできる同僚社員のIDとパスワードを、同業他社の社員に伝えるなどした疑い。逮捕は14日。
男は翌7月、この同業他社に転職していた。調べに容疑を認め、「転職後に営業で使えると思った」と供述している。男は、転職前の会社ではシステム担当の課長職で、パソコンの保守管理を担当。同僚社員の社有パソコンのログインIDなどから、名刺データ管理システム用のIDとパスワードを推測して特定していたという。
同システムには数万人分に上る営業先の情報が保管されていた。転職先の会社は、実際にIDとパスワードを使ってデータベースの情報を閲覧し、営業活動に利用していたという。
同法のデータベース提供罪は、14年に起きた教育事業大手の顧客情報流出事件でデータベースの情報が持ち出されたことを受け、17年5月施行の改正個人情報保護法で新設された。