今回は、サントリーの中で最も安い「ジャパニーズウイスキー」であるサントリーオールドを、現行のものと1980年代後半に出されたものとで比較しようと思います。

白州モルトが加わった「新オールド」

現行品との比較対象は、1980年代後半に発売されたボトルになります。
このボトルは、当時の白州東蒸留所、現在の白州蒸留所のモルトがプラスされた初めてのものになります。

白州蒸留所は1973年に建設されました。

しかし当初できあがったモルト原酒には個性が薄かったため、より個性的な原酒を造れるようポットスチルを新たに設置するなどして、別の蒸留所として白州東蒸留所が1980年に作られました。

従来の蒸留所は白州西蒸留所と言われ、現在は稼働が止まっています。

そして昭和末期、1988年に発売されたのが、白州東蒸留所のモルトが加わった新オールドでした。
後にこのボトルはリッチ&メローというサブネームがつけられ、新たに発売されたマイルド&スムーズと併売されました。


個人的にコレクションしていたボトルを整理している中で、まだこのオールドが残っていたので、最近になって2000円強に値上がりした現行オールドと飲み比べようと思います。
また今回は、じっくり飲むことがメインということもあり、ストレートとロックで比較をします。
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テイスティング

グラスからの香り、液色

旧ボトルは、ラムレーズン、リンゴの香りがメインに感じられます。
液色は若干赤みがかった琥珀色です。

現行ボトルでは、バニラとカラメルの甘い香りが中心に感じられます。
液色は旧ボトルよりも黄色みが強めの琥珀色になります。

ストレート

旧ボトルでは、レーズンとともにバター、カカオ、リンゴの香りが続きます。
味わいは、アルコールからの辛みが比較的強く、後から酸味、渋みが広がります。

現行ボトルはリンゴ、バニラ、カラメル、バター、シナモンの香りが得られます。
味わいは、アルコールからの辛みが少なめで、甘みの後に柔らかい酸味が続きます。

柔らかさ、飲みやすさでは現行ボトルが上ですが、香りの強さは旧ボトルが上回ります。

ロック

旧ボトルの場合、リンゴの香りが先立ち、レーズン、シナモンの香りが続きます。
味わいは、酸味が感じられた後、甘みが広がっていきます。

現行ボトルでは、バニラの香りが一気に広がり、ラムレーズン、バナナの後に軽くスモーキーさが得られます。
味わいは、多少の苦みを伴いつつも甘さが全体を支配します。

方向性の異なる両者

新旧ともに性格が異なる印象でした。
旧ボトルは白州モルトの持つフルーティさを強調した印象で、シェリー樽原酒の甘く柔らかい香りから変えてきた印象があります。

一方で現行ボトルは、シェリー樽原酒を使っているものの、それを強調するのではなく、バーボン樽原酒の持つ甘い香り、味わいを強めた印象です。

飲みやすさにおいては現行の方が上ですが、ある程度飲んできてウイスキーの良さを理解してきた人にとっては、1988年のブレンドの方が好きだと感じられるかもしれません。

現行のブレンドになって15年、その間にウイスキー人気が高まって多くの人が飲むようになっている状況でもまだ変更をしていないところをみると、比較的万人受けすることに自信を持っているのかもしれません。

様々な要因で現行のオールドの値段は2000円を突破してしまいましたが、1988年発売時のオールドは2500円ほど、その後2370円に値下がりしたことを考えると、それほど悲観するほどではないかもしれません。