「全方位信仰」が当たり前の世界にいた猪木氏
先ほど触れた「猪木スキャンダル」を告発した元秘書・佐藤久美子氏は『議員秘書、捨身の告白―永田町のアブナイ常識』(講談社)で、猪木氏の無節操ともいうべき「全方位信仰」を明かしている。
「崇教真光にも入っていますし、平成2年(90年)9月にイラクに行った時にはイスラム教にも入信し、最近ではキリスト教にも凝っています」
猪木ファンからすれば、崇教真光に帰依していたのは有名な話だ。ブラジルへ移民した際に一家で入信したとされており、『現代のこころ 崇教真光』(旺文社)には、アントニオ猪木名義で信仰心について寄稿もしていた。19年10月には、崇教真光の三代教え主・岡田晃弥氏とともに、ブラジルのジャイール・ボルソナーロ大統領と面会もしている。
ちなみに、崇教真光は、安倍晋三元首相も信仰していたと「FRIDAY」が報じている。実際、広報誌「崇教真光」(平成二十一年十二月号)の中で、安倍元首相自身もこう述べているからだ。
「FRIDAY」によれば、ここに出てくる「神組み手」とは信徒のこと指すという。ただ、これは永田町ではそれほど驚くような話ではない。政治家は「選挙対策」として複数の宗教を掛け持ちで「入信」をすることが多いからだ。その事実を知っても、宗教側から「二股がけやがって」という文句はこない。彼らも布教の際に、「実は××議員はウチの信者でして」と利用できるのでウィンウィンの関係なのだ。
このような「選挙のためには信者にもなる」が当たり前の政治の世界に身を投じていた猪木氏が、旧統一教会のイベントに参加したのである。単なるギャラ目当てではなく、政界復帰を見据えた「統一教会票」の確保という狙いもあったのでないか。