北海道のニュースHokkaido News
「ツール・ド・北海道」死亡事故から1週間、後ろで衝突を目の当たりの選手「皆で『車が来るぞー』などの声かけも…規制コースに対向車来る発想なかった」
2023年09月15日(金) 07時37分 更新
自転車ロードレース「ツール・ド・北海道」の死亡事故は、15日で、発生から1週間…亡くなった大学生の後ろを走行し、事故を目の当たりにした選手が当時の状況、レース中の選手心理などを証言しました。
8日午前11時37分ごろ、上富良野町の道道で、自転車ロードレース「ツール・ド・北海道」に出場していた東京都の中央大学の4年生、五十嵐洸太(いからし・こうた)さん21歳が反対車線の乗用車と正面衝突し、死亡しました。
現場は、カーブが連続する片側1車線の山間路で、警察によりますと、自転車の走行車線は富良野署が公式に規制、乗用車が走行の反対車線は、大会側で警備、規制していたということです。五十嵐選手の自転車と衝突、63歳の男性運転の乗用車
また、大会の運営団体は、現場のコースについて「自転車のはみ出しを禁止していた上、反対車線の車両の通行を規制していた」と説明しています。
現場のコースの通行規制は、午前10時40分~午前11時45分の予定でしたが、その後の警察の調べで、事故は、通行規制の時間内だったものの、規制終了が迫る中で発生していたことが特定されました。
・警察への通報 午前11時51分
・消防への通報 午前11時43分
・事故発生 午前11時37分上富良野町の事故現場は、カーブが連続する山間路
こうした中、事故発生時、五十嵐選手と同じ集団内で走行し、衝突を目の当たりにした選手が当時の状況を証言しました。
Q.スタート前の雰囲気などは?
「天気も良くて、気持ち的に選手全員、アグレッシブな感じがあったかもしれない」
Q.選手の中で、この大会の位置づけは?
「国内では最高峰のレースで、UCI=国際自転車競技連合公認でポイントももらえる」
「国内で公道を封鎖してのレースは、なかなかないので、気合が入っていた」
Q.反対車線の走行について、事前に注意喚起などは?
「特に監督から指示は受けなかったが、自分は何度も出場していたし、知っていた」
「知らない人もいたかもしれないが、自分は、基本的に反対車線への進入は避けるべきという認識だった」スタート前の選手(運営団体のインスタグラムより)
大会初日の8日は、北部の旭川市をスタート、十勝岳を上り下りする山間路などを経て、東部の新得町までの174キロでしたが、途中、車両の通行規制があるところ、ないところが交互しています。
Q.実際に走行していて、危ないなと思う場面は?
「事故が起きたコースより手前の片側規制のコースでは、一般車両やトラックがビュンビュン、反対車線を来ていた」
「左端をキープさえしていれば危ないとは思わないが、実際、集団で走っていると、どうしても狭いので(規制がないのに)横に広がって反対車線を走っていた選手もいた」
「反対車線から車が来たら、集団に戻るような形でかわしていた」
「選手皆で『車が来るぞー!』など、声かけもしあってた」事故現場を含むコースは、カーブが連続する山間路
そして、五十嵐選手らの20人くらいの集団は、事故が発生した反対車線も通行規制されていたコースに入ります。
Q.当時の集団の様子、五十嵐選手との位置関係などは?
「20人くらいの集団でした」
「五十嵐選手が先頭から3番目、自分が5番目あたりだったので、すぐ後ろです」
事故が発生したのは、反対車線の通行規制が終了する「8分前」でした。
Q.事故が起きたときの状況は?
「右カーブに差しかかる際、五十嵐選手が勝負を仕かけにインサイドに入ったように見えた」
「操作ミスではなく、自らの操作でインを突いていったように見えた」
「その瞬間に対向車が来て、衝突した」
「あまりに一瞬の出来事で、走り抜けてしまったので、自分たちは、そのまま走り続けることしかできなかった…」
「事故直後、選手間で『注意しろ!』との声かけもあった…」
Q.今、あらためて思い起こすレース中の選手心理みたいなものは?
「そもそも、反対車線に対向車が来るという発想が無かった」
「自分も、通行規制コースを走るときは『対向車が来るかも』と思って走ってはいない」スタート前の選手(運営団体のインスタグラムより)
大会の運営団体は「通行規制のコース内で、車の合流、進入の可能性のある道路が、どこに、いくつあるのかは、こちらで全て網羅しているわけではなく、そうした可能性のある全ての地点に警備員がついていたわけではない」としています。
また、運営団体から委託され、警備員を配置、通行規制の実務を担っていた会社は、下記のように説明しています。
・第1回から警備を受注し、関わっている
・毎年、一般車両が入るなどのトラブルはあるが、各所の警備や、先導車両の誘導もあり、接触事故などはなかった
・原則、信号機設置場所、大きな枝道、車が入ってきそうな箇所、トンネル等に警備員を配置
・警備の場所、人数は、運営団体から配置図をもらって決める
・今回のコースは一部、過去にも使っていた事がある
・無線でやり取りをしているが、全員が無線を持っているわけではない
・事故現場付近では、2キロ手前に2人配置
・十勝岳温泉の突き当りにも複数名配置
・規制中に車両が入るのは考えにくい
・当日「事故車両が通り抜けていった」という報告は、どこからもなかった
その上で、警備会社の担当者は「通行規制中に事故車両が入るのは考えにくい。規制前、すでに、どこからか入っていて、レース中かどうかわからず、動いてしまったのではないか」としています。五十嵐選手の自転車と衝突、63歳の男性運転の乗用車
一方、乗用車を運転していたのは、63歳の男性でしたが、警察の調べに対しては「吹上温泉に向かうため、規制前だったので、そのまま通行した。現場近くの駐車場で、レースを見た」などと話しているということです。五十嵐選手の自転車
事故発生から15日で1週間…警察は今後、道路診断なども行い、安全管理の問題、事故の実態解明をすすめる方針ですが、幹部は「かなり時間がかかる」などの認識を示しています。
|
|
- 「1塁側入口で、暴行容疑」ファイターズの試合中、案内のアルバイト学生に…その場で逮捕、酒を飲んでいた57歳「押したことは間違いない」HBC NEWS2023.09.14
- 約1000万本のコスモスが見ごろ、10ヘクタールの広場は20年前から町民ボランティアが整備 北海道遠軽町HBC NEWS2023.09.19
- スノーボードで札幌中心部を舞う「SNOW SMASH」開催 オリンピアン濱田海人選手「競技の熱さを感じてほしい」HBC NEWS2023.09.18
- 警備員が犯行を目撃し取り押さえる 炭酸飲料を盗んだ61歳介護職員の男「お金を使うのがもったいなかった」HBC NEWS2023.09.17
- 「直前まで気がつかなかった」逮捕のトラック運転手が供述 信号待ちのバイクに追突、41歳男性死亡 北海道石狩市HBC NEWS2023.09.19
- 沢登り中に20代男性が滑落、同行者が通報し翌朝ヘリで救助されるも死亡 北海道カムイエクウチカウシ山HBC NEWS2023.09.21
- 「自分たちはこの社会で生きていていいだ」満島てる子さん 性の多様性を認め合う社会を さっぽろレインボープライド開催HBC NEWS2023.09.18
- 「送ってあげる」とタクシー待ちの20代女性に声かけ、車内で…防カメ映像などで約1か月後に逮捕、27歳の男「下心が出て、わいせつなことをした」HBC NEWS2023.09.19
- アメリカがウクライナに供与、ロケット砲「HIMARS」日米共同訓練で射撃公開 陸上幕僚長「わが国の防衛力も抜本的に強化」HBC NEWS2023.09.20
- ツール・ド・北海道死亡事故、協会が会見 片側1車線の使用は「監督通じて伝えている」今後は第三者交えて安全対策検討HBC NEWS2023.09.19
- 能取湖のサンゴ草、赤く色づく…猛暑などの影響で、見ごろは9月下旬 北海道網走市HBC NEWS2023.09.16
- 札幌中心部で暴走、乗用車に衝突後、飲酒隠すため逃走の男に懲役2年6か月「見舞金の支払いを踏まえても結果は相応に重い」地裁判決HBC NEWS2023.09.20
- 「女性が帰らないので、警察が対応して欲しい」旭川地裁に4時間半余り、居座り続けた82歳の女を逮捕「裁判所の処分に納得がいかない」HBC NEWS2023.09.15