動機が釈然としない事件、向き合い方は 映画監督・森達也さんに聞く
聞き手・伊藤和行
安倍晋三元首相への銃撃事件で、容疑者は「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)への恨みを供述しているとされる。その動機と衝撃的な結果の落差をどう受け止めればいいのか。オウム真理教の信者の日常を描いたドキュメンタリー映画で知られる映画監督の森達也さん(66)に聞いた。
――事件をどう受け止めていますか。
「選挙中に起きたこともあり、多くのメディアが事件を『民主主義への挑戦』と報じましたが、厳密に言えばテロではないです。ただ、容疑者にその意図はなくてもメディアが『疑似のテロ』にしてしまったと思います」
――どういうことですか。
オウム真理教による地下鉄サリン事件や相模原市の障害者施設殺傷事件など、加害者側の取材をしてきた森達也さん。今回はテロなのか否か、供述したとされる動機に対する受け止め方などについて、じっくり聞きました。
「テロの目的は、暴力によっ…
- 【視点】
共感する部分と、違和感を覚える部分がある。 まず前者から。 「裁判がもっと報道されやすい仕組みにする」という提案には大賛成だ。 同時に、裁判に人がもっとアクセスしやすい仕組みも大事だ。法廷の座席数には限りがあり、社会的耳目を集め
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