岸田氏は団結誓うけど 偏る意思決定ライン、「はしゃぎすぎ」の声も
90回目となる自民党大会では、岸田文雄首相(総裁)が統一地方選と衆参5補選への「必勝」を掲げ、一致結束を訴えた。党内への配慮から世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題や、意見が割れる「LGBT理解増進法案」には触れないまま。世論と向き合わず、限られた人と方向性を決める政権運営に「国民政党」の看板はかすんでいる。
首相就任から約1年半。「実績」が映し出された大型ビジョンを背景に登場した首相は、約1カ月後に始まる統一地方選と衆参5補欠選挙へ力を込めた。「国民政党、責任政党として、一致結束してこの戦いを勝ち抜いていく」
統一地方選と補選は首相の総裁任期(3年)のほぼ折り返し地点で実施されるため、政権の「中間評価」の意味合いを持つ。補選について首相は「今後の国政にも影響を与えるかもしれない。大変重要な選挙だ」と強調した。菅義偉前首相が2021年4月の衆参三つの補選・再選挙で不戦敗を含めて全敗し、政権運営で大きくつまずいたことが念頭にあり、首相は危機感を隠さなかった。
旧統一教会問題、LGBT法案は触れず
「結党以来、国民政党であることを大切にし、国民と共に歩む自民党」と語った首相。しかし、それとは裏腹に就任直後は再三繰り返した「聞く力」を訴える姿は減り、国民が求める政治とのずれが広がる。その象徴が安倍晋三元首相銃撃事件で露呈した自民と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)をめぐる関係だ。
朝日新聞が1月に実施した世論調査では、統一地方選を前に、都道府県や市区町村の選挙で投票する際に候補者と教団との関係をどの程度考慮するかを聞いた。「考慮する」は「大いに」「ある程度」をあわせて60%で関心は高い。
しかし、首相は春の政治決戦を前に、教団との関係「清算」より、触れない方が得策との思いがにじむ。
かけ声先行 実体が伴わず
今月22日の衆院予算委員会…
- 【視点】
旧統一教会と自民党との関係は、地方議員がポイントだと言われています。国政選に比べ、投票率が低くなりがちな地方選の方が、「組織票」の存在感が高まるためです。首相が本気で「国民の信頼を取り戻す」というのであれば、地方議員の候補者たちに、具体的に