参院選で当選確実となった自民党公認候補者の名前にバラを付ける岸田首相=7月10日、自民党本部(撮影・山崎亮)

 岸田文雄首相(広島1区)の政権が安定から苦境に陥った。7月の参院選で自民党が大勝。しかし、首相が決断した安倍晋三元首相の国葬が批判を招く。さらに世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と自民党との関係が表面化し、内閣支持率は急落した。衆院小選挙区を「10増10減」する改正公選法が成立し、与野党は次期衆院選へ候補者調整を急ぐ。中国地方の議員を軸に2022年の政界を振り返る。

「政治とカネ」や旧統一教会…閣僚更迭相次ぐ

 就任から半年余り高い支持率を維持した岸田首相の政権運営は、7月の参院選を機に暗転した。選挙中に銃撃され死去した安倍元首相の国葬決断後、多額の献金などが問題視される旧統一教会と自民党議員との関係が続々と判明。逆風下のかじ取りを強いられた。

 反転攻勢を狙った8月の内閣改造。同じ広島選出の寺田稔氏(広島5区)を総務相として初入閣させ、斉藤鉄夫国土交通相(広島3区)林芳正外相(山口3区)は再任。加藤勝信氏(岡山5区)を2度目の厚生労働相に起用し、岸信夫氏(山口2区)を防衛相から首相補佐官、小島敏文氏(比例中国)を復興副大臣とした。

 畦元将吾氏(比例中国)が厚労政務官に就任。小野田紀美氏(参院岡山)は防衛、高見康裕氏(島根2区)は法務の政務官に就いた。10月開会の臨時国会で橋本岳氏(岡山4区)が衆院地方創生特別委員長に選ばれた。

 党総裁としては宮沢洋一税調会長(参院広島)を再任。内閣府デジタル副大臣の小林史明氏(広島7区)を副幹事長に起用した。昨秋の総裁選から掲げる自民党改革は、党改革実行本部事務局長の山下貴司氏(岡山2区)らに託した。

 寺田氏は10~11月に自身の「政治とカネ」問題が次々と発覚。首相は山際大志郎前経済再生担当相、葉梨康弘前法相も含む3閣僚を1カ月足らずで更迭する事態となった。寺田氏は党広島県連会長も辞め、平口洋氏(広島2区)に譲った。