ビジネス

2017.10.29

瞑想の「方法」で脳への影響に変化、複数組み合わせが有効か

rdonar / shutterstock.com

脳を実際に変化させるのは、どのような精神活動なのだろうか。この点については、これまでさまざまな議論がなされてきた。過去の研究では、瞑想やマインドフルネスの練習を行うことで実際に脳の構造や機能、さらには行動や「その時々(瞬間ごと)の経験」も変化することが確認されている。

ドイツの学術研究機関、マックス・プランク研究所が10月上旬に米科学誌「サイエンス・アドバンシズ」に発表した研究結果によると、瞑想は行い方の種類によって、それぞれ脳の異なる領域に影響を及ぼしていることが確認できたという。

3種類の瞑想方法

研究チームは調査に協力した20~55歳の参加者たちに、3種類の瞑想を3か月ずつにわたって(合計9か月間)実践してもらった。さらに、それぞれの瞑想の方法による脳の変化を見るため、3か月間ごとに脳のコンピューター断層撮影(CTスキャン)を行った。その結果、職場や学校にとどまらず、私たちの生活の多くの場面で役立つと思われる変化が見られた。

参加者が実践したのは、次の3種類の瞑想だ。

・集中瞑想──呼吸など、今自分が行っていることに意識を向ける。古くから行われてきた瞑想で、最も多くの研究がなされてきたもの。呼吸や体の内側の感覚に集中し、気が散り始めたら再び集中しなおす、ということを繰り返す。

・慈悲の瞑想──自分自身と他の人たち、世界のあらゆるものの幸せを願い、それを念じる。慈愛(慈しみ)の心が養われ、共感力が高まるとされてきた。

・観察瞑想──「マインドフルネス」や「解放観察瞑想」とも呼ばれる。判断や批判をせず自分の思考を観察することに集中する。それにより、他人のものの見方を理解する力が高まるとされている。

研究チームは3つの瞑想の方法について、それぞれが特定の脳の領域に影響を及ぼすと考えていた。そして、脳のCTスキャンの結果を比較したところ、実際に「集中瞑想」では注意力などに関連する脳の前頭前皮質(PFC)や前帯状皮質(ACC)の厚さが増し、集中力が高まっていたことが分かった。

また、「慈悲の瞑想」は共感など社会性に関わる感情と関連している領域に、「観察瞑想」は他人の精神状態を理解することに関連がある領域に変化が見られた。
次ページ > 現代社会に重要な「知性」

編集=木内涼子

タグ:

ForbesBrandVoice

RECOMMENDED

人気記事

瞑想がキャリア向上に役立つ5つの理由

Rido / Shutterstock.com

瞑想(めいそう)は何世紀にもわたり実践され、最古の記録はインドまでさかのぼる。しかし近年は、より厳しさを増す世界で幸福度を上げる方法として、世界中で爆発的に流行している。

通勤途中で瞑想アプリを使うにせよ、早朝に浜辺でヨガをするにせよ、瞑想はこれまでになく身近な存在になっている。瞑想がこうして一般化したのは、その効果が科学的に証明されているからだと言う人もいる。瞑想がストレスや不安、痛みへの対処法として効果的であることが、研究によって示され始めている。

私のクライアントの中にはどういうわけだか、瞑想は自分と違う特殊なタイプの人がするものだと信じて込んでいる人が多い。しかし実際は、瞑想は万人向けのものだ。その理由を、以下に挙げよう。

1. どこでも、いつでもできる

瞑想は、落ち着ける場所であればどこでも行うことができる。自分のスペースが必要で、できれば静かな邪魔されない場所が良い。座っても、歩きながらでも大丈夫だ。

5分でも1時間でも、瞑想の長さを自分で決める。どんな長さでも効果があり、昼の休憩時に10分しか時間を取れなかったとしても問題ない。

1日1分から始めて、慣れてきたら時間を増やし、最終的には1日30分まで延ばすことを勧める。どれほど少ない時間であっても、自分の生活の中に瞑想の時間を設けることが大きな一歩だ。

2. 安価にできる

高いジムの会員費を払ったり、ヨガマットを買ったりする必要がなく、投資対効果が非常に高い。必要なのは自分自身と、学びと成長を望む気持ちだけだ。

また、ただ静かに座って悟りを得るまで待っている必要もない。瞑想初心者だったり、指導役が必要だったりする場合は、やり方を指南してくれる無料アプリが多数ある。

私からは、自分が改善したいことに合わせたガイド付き瞑想動画をユーチューブで検索することを勧める。例えば、心をクリアにする、不安を静める、失恋を癒やす、成功を収めるといった目的に合わせた瞑想動画がある。向上させたい点を支援してくれるものを探してみよう。
次ページ > 瞑想で幸福度と創造性が増す

編集=遠藤宗生

タグ:

ForbesBrandVoice

RECOMMENDED

人気記事