だれでも
プリキュアオールスターズFについてちょっとだけ感想を書くけど、キュアシュプリームとプーカが劇場版のオリジナルプリキュアとマスコットか〜と思っていたら「オラより強えやつに会いに行く」という戦闘狂と哀しき世界破壊獣だったことに驚いた

今回改めて問いかけられる「プリキュアとは何か?」の答えは、誰かを大切に思う心とそこから生まれる絆の力を持つものということだけど(だから誰でもプリキュアになりうるしプリキュアは強い)、プリムがプーカに授けた力が「触れるものを全て破壊する」=「他者との繋がりを拒絶・断絶する」というあまりにエグいもので辛い。さらにプリムから「人と話す力」を与えられていないのでコミュニケーションも円滑に取れない。辛い。しかもプーカ自身は妖精として作られた故に優しい心を持っていて、「他者と繋がりたい」と思っているからより辛い。辛すぎ三重苦太郎。気になったからプーカの名前についてちょっとググってみたけど、
“プカ(puka)はハワイ語で穴、プカプカとダブルにしたら穴だらけという意味”
らしく、世界に穴を開けてしまう存在であることを考えるとプーカハワイ人説を推していきたい。自身の能力を忌み嫌っていたプーカがプリキュアたちとの絆を得る(グレートだぜ…のどか!)ことでキュアプーカとして存分に力を発揮する展開は激アツ。
そしてキュアシュプリーム。今回のプリキュアは初登場場面で本名、プリキュア名、登場シリーズ名が出るんだけど、キュアシュプリームが登場する時のロゴは「プリキュア」以外は全く読めない文字化けのようになっていてあまりに不気味なところがゾクゾクした。
“Supreme” という至高の存在であり、一度は勝利しながらも最終的にシュプリームが敗北を喫してしまうのは、「プリキュア」という存在に憧れつつもその本質を理解できなかった事に尽きる。ソラたちを観察しても「ただ笑い合ってるだけで無意味」としか思えなかった。ソラ、ゆい、まなつという底無し鬼フィジカル陽キャたちのあの仲の良さを見てその波動にやられなかったのはまっこと天晴れ強者なりそちに褒美として100万石を授けよう、キュアシュプリーム。しかしそれは間違った強さだった。
ひろプリでは「ヒーロー」という概念を扱っている訳だけど、今回の劇場版でその答えの一つを与えた感じで、泣いてる子供を見捨てず、常に笑顔を絶やさず、いま一番大事なことをする。それがヒーローでありプリキュアであると明確にイコールで繋げていると思う(だから「ヒーローの出番」ではなく「プリキュアの出番」と口上が変わっている)。要は「汝隣人を愛せ」ということで、プリムにとっては無意味にしか見えなかったこと、つまり目の前の友達や日常を守るために力を発揮できる存在がプリキュア。
一方で、強くて孤独なものという一つのヒーロー解釈にプリムは合致しているけど、空洞の、まるで筒のような足音や身振りの音が示唆しているように、プリムは強さ以外求めない空っぽで空虚な存在だった(逆にプーカの足音も異質だけど、「中身が入ってる」ような音)。プリムがプリキュアを理解できる訳がなかった。
今回の「F」には色々な意味が込められてるけど、最後にプリムとプーカがFriendになるのは素晴らしかった。プーカ、そしてプリキュアという友達がプリムにできるラストでは、あの空虚な音はもうしない。こんな綺麗なエンディングが他にあるか?いやない。
ちなみにハワイ語の話に戻ると、puka には「ドア」とか「入り口」という意味もあるらしく、プリムはプーカが「入り口」になってプリキュアという友達がたくさん出来たと考えるとやっぱりプーカはハワイに土着の妖精なんじゃないかな。知らんけど。
シュプリームはとにかく目をつけた相手が「プリキュア」だったのが運が無かった。自らがプリキュアを模倣してしまったがためにプリキュアの概念に飲み込まれるという、圧倒的上位存在の傲慢さが招いた敗北、そしてそんなニセモノが最後はホンモノになるという展開。最高ですよ。あと被造物と造物主のこじれた関係大好き侍としてはSSSS.GRIDMANの味がちょっとしたのもよかった。グリユニのアカネちゃんみたいにキュアシュプリームが今後の劇場版で再登場したら確実に泣いてしまう。
まぁ結論は一つで、東映はキュアシュプリームとキュアプーカのツインアクスタを早く発売しろということ。
ここまで読んだ人で未見の人はいないと思うけど、オススメはBESTIA enhanced みたいなグレードが一つ上の音響による上映です。最初の変身バンクから泣けるので。

1週間は長いなーと感じるけど、1ヶ月はすごく早く感じる……