[9.15 J1第27節 浦和 0-0 京都 埼玉]

 湘南ベルマーレに所属していた2013年5月18日の大宮戦でJ1デビューを果たしてから10年、浦和レッズのMF岩尾憲が、京都サンガF.C.戦で35歳にしてJ1通算100試合出場を達成した。

 Jリーグ30年の歴史でJ1通算100試合以上は846人いるが、その大半が20代で100試合の節目を通過している。岩尾自身が「何も考えていない。35歳だからどうこうとは思っていないし、100試合出たからどうこうというのもない」と素っ気ないのは、つねに上だけを見続けるプロ選手として自然なことだが、100試合中93試合が既に30代に突入していた2021年以降に重ねてきた数字であることを鑑みると、常識を覆すようなキャリア地図だ。

 今季もここまで27試合すべてに出場し、中盤の底でゲームをコントロールしている。高校生年代からプロのピッチに立つ選手が脚光を浴びるのと同様に、岩尾のような歩みもまた称賛されるべきだろう。

 奇しくもこの日の相手である京都のチョウ・キジェ監督は、岩尾がJ1デビューを飾った時の湘南の監督。この日の試合は決定機を決められずに0-0のスコアレスドローに終わったが、後半30分には自陣から正確無比なロングフィードをFWブライアン・リンセンに送るなど、安定感のあるプレーを見せた。

「今週、ラファ(ラファル・ジャナス)コーチから個人的に呼ばれて『憲には素晴らしいフィードがある。1本のパスで決定機を演出できる』と言われた。人からアプローチしてもらうことによって、こういったことも出来るということを見せられたシーンだった」と胸を張る。

 今季は7月1日の第19節鳥栖戦でハーフウェーライン付近から50m超のロングシュートを決めて7月のJリーグベストゴールにも選ばれた。運動量や技術と同時に、敵の虚を突く洞察力にも優れていることを示すスーパーゴールだった。

「自分より若い選手と比べても僕のほうが走行距離が長いということも含めて、年齢はただの数字。若くなければ走れないわけでもない。(J1で)成長している部分も感じるし、適応している部分も感じる」

 今季のJ1は残り7試合で浦和は首位の神戸と暫定で勝ち点6差の4位。20日にはACLのグループステージも始まる。岩尾は今季もまだまだ走り続ける。

(取材・文 矢内由美子)

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サガン鳥栖下部組織出身であり、バイエルン・ミュンヘンのセカンドチームに所属するU20日本代表MF福井太智が、今月15日のブンデスリーガ(ドイツ1部)第4節バイエル・レバークーゼン戦でベンチ入り。現地メディアが同選手ベンチ入りの背景を伝えている。

福井は2021年3月、16歳7か月という若さで鳥栖のトップチームデビュー。昨年3月にプロ契約を締結すると、今年1月にバイエルンへ完全移籍することが昨年8月に正式決定している。ただバイエルン加入後はセカンドチームに帯同。2022/23シーズンはドイツ4部リーグ12試合でプレーしたほか、今季もここまで7試合に出場。中盤センターでの先発出場が続いているが、ゴール、アシストは記録していない。

それでも福井はレバークーゼン戦で急遽トップチームに招集。出番こそなかったが、移籍後初めてベンチからブンデスリーガの戦いを見つめている。

ドイツメディア『シュポルト1』は、「バイエルンのベンチメンバーに意外な名前がある。多くのファンは、福井の名前を聞いて驚いたかもしれない」と、福井のベンチ入りについてリポート。

「これまでセカンドチームでしかプレーしたことがない」と同選手の実績に触れるとともに、中盤でプレーするMFヨシュア・キミッヒが筋肉系の問題を抱えながらスタメン出場したほか、MFジャマル・ムシアラもコンディションに不安を抱えながら途中出場したことを伝えている。

なおバイエルンは後半アディショナルタイムにPKから失点し、2-2の引き分けで終了。UEFAチャンピオンズリーグ・グループステージ開幕前に勝ち点を落としたほか、中盤でプレーする複数選手の状態が心配される。

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