名古屋大学情報学部編入試験 数学 2023

名古屋大学情報学部編入試験 数学 2023

2022年度実施、1 時間

問題1

  1. 次の積分値を求めよ。011x2+1dx
    : 011x2+1dx=arctan1arctan0=π4

  2. x4(x1)4+4=(x2+1)p(x) となるような多項式 p(x) を求めよ。

    解1: x4(x1)4+4=x84x7+6x64x5+x4+4=(x2+1)(x64x5+5x44x2+4) より、p(x)=x64x5+5x44x2+4

    解2(どうしても多項式除算したくない場合): x4(x1)4+4=x4{(x2+1)2x}2+4=x4(x2+1){(x2+1)4x}+4x6+4=x4(x2+1)(x24x+1)+4(x2+1)(x4x2+1)=(x2+1)(x64x5+5x44x2+4) より、p(x)=x64x5+5x44x2+4

  3. 01x4(x1)4x2+1dx>0 であることを利用して、π<3.143 であることを示せ。

    : x4(x1)4x2+1=(x2+1)p(x)4x2+1=p(x)4x2+1 より 01x4(x1)4x2+1dx=01{p(x)4x2+1}dx=1746+5543+44π4=227π>0 より π<227=3.1428<3.143

問題2

3×3 行列 A=(33622a+3a+125) を考える。

  1. A が正則でないとき、a として可能な値をすべて求めよ。

    : |A|=|33622a+3a+125|=|03002a1a121|(列基本変形)=3(a1)(a1)=0 より、a=1,1

    1. でさらに A1 を固有値にもつとき、a の値を求めよ。

    : 3 次の単位行列を E とすると |AE|=|43621a+3a+124|=|030231a+1a5320|(列基本変形)=3(a+1)(a53)=0 と 1. より、a=1

    1. のとき、A の固有値をすべて求め、A の各固有値に属する固有ベクトルをすべて求めよ。

    : 固有値を λ とすると |AλE|=|3λ3622λ2225λ|=|3λ361λ1λ4225λ|(行基本変形)=|λ3601λ4025λ|(列基本変形)=λ{(1λ)(5λ)+8}=λ(34λ+λ2)=λ(1λ)(3λ) より、λ=0,1,3 である。それぞれ対応する固有ベクトルを x1,x2,x3 とすると Ax1=(336222225)x1=0(AE)x2=(436212224)x2=0(A3E)x3=(636212222)x3=0 より、c1,c2,c3 をそれぞれ 0 でない任意の実数として x1=c1(110),x2=c2(021),x3=c3(101) である。

問題3

(著作権が存在しないとも言い切れない気がしたため、ストーリーを改変)

正十二面体 D があり、そのある面を A とし、反対側の面を B とする。時刻を非負整数で表すものとする。時刻 0 において、コマが A に隣接する面に置かれている。時刻が 1 増えるごとに、コマのある面に隣接する面のうち、A を除くいずれかを等確率で選んで、その面にコマを移動させる。時刻 n において、コマが B にある確率を pn とする。

  1. p2,p3 を求めよ。

    : A に隣接する面を高さ 1B に隣接する面を高さ 2B を高さ 3 とする。
    p2 は、高さ 123 と移動する確率であるから p2=24×15=110 p3 は、高さ 1233 または 1223 または 1123 と移動する確率であるから p3=24×15×1+24×25×15+24×24×15=19100

  2. 時刻 n (n=0,1,2,3,) にコマが A に隣接するいずれかの面にある確率を rnB に隣接するいずれかの面にある確率を qn でそれぞれ表すとき、pn+1,qn+1,rn+1 をそれぞれ pn,qn,rn を用いて表せ。

    : 時刻 n に高さ 3,2,1 の面の中心にいる確率がそれぞれ pn,qn,rn である。pn+1=pn+15qnqn+1=25qn+24rnrn+1=25qn+24rn

  3. pn (n=0,1,2,3,) を求めよ。

    解1: q1=r1=12 であることと、漸化式から、n1 のとき qn=rn である。ゆえ、n1 のとき qn+1=910qn であって、qn=(910)n1q1=12(910)n1 となる。また、p1=0 と、漸化式から、 n1 のとき pn=k=1n115qk=110k=1n1(910)k1=1101(910)n11910=1(910)n1 である。すなわち pn={0(n=0)1(910)n1(n>0) である。

    解2(普通はこっちかも): P=110(1020045045) とおくと (pn+1qn+1rn+1)=P(pnqnrn) であるから (pnqnrn)=Pn(p0q0r0)=Pn(001) が成り立つ。
    ここで、P の固有値を λ10 とすると |Pλ10E|=0 より |10PλE|=|10λ2004λ5045λ|=(10λ){(4λ)(5λ)20}=λ(10λ)(9+λ)=0 すなわち λ10=0,910,1 である。対応する固有ベクトルをひとつずつとって x1,x2,x3 とすると 10Px1=(1020045045)x1=0(10P9E)x2=(120055044)x2=0(10P10E)x3=(020065045)x3=0 より x1=(154),x2=(211),x3=(100) とできる。ここで M=(x1x2x3)=(121510410) とおくと M1PM=(00009100001) である。 y=M1(001) とおくと My=(121510410)y=(001) であるから、これを解いて y=19(159) を得る。ゆえに、00=1 の仮定のもと (pnqnrn)=M(M1PM)nM1(001)=19M(0n000(910)n0001)(159)=19(121510410)(0n5(910)n9) すなわち pn=0n9+1(910)n1={0(n=0)1(910)n1(n>0) である。

全部見るトップへ戻る底へ移る