新型コロナウイルスは瞬く間に世界に広がり、各地で独自の変異を繰り返した結果、世界中から様々な変異株が報告されています。現在新型コロナウイルスの遺伝子情報は主にGISAID Initiativeに登録され、そのデータは迅速に公開され誰でも自由に利用することが可能となっています。
この表は2023年8月5日から9月5日の間における各国のゲノム登録数の多い順になっています。流行中の亜型について最も多いものから順にそれぞれ主系統、第2系統、第3系統として掲載しました。 各国の新型コロナウイルスの流行状況を比較する事はできませんが、各国で流行している変異株の動向の、より精度の高い情報提供を行いたいと思います。(covSPECTRUMのデータにより作成)
・東京都は5月8日より定点医療機関当たりの患者報告数になりました。 (東京都感染症週報) ・東京都福祉保健局 感染情報 最新のモニタリング項目の分析について 【令和5年8月17日 】 関連資料 ・新型コロナウイルス論文を含む研究年報第73号(2022)の一部が先行公開されました ・当所における新型コロナウイルス変異株の検査体制について(BQ.1.1,XBB等への対応) ・新型コロナウイルスの電子顕微鏡写真 (オミクロン株の電子顕微鏡写真追加) ・VeroE6/TMPRSS2細胞を使用したデルタ株の分離培養について ・主な亜系統の一覧表(BA.2.75、BA5、XBB等)世界規模の流行に伴い新型コロナウイルスの変異株の種類が増加し、病原性、感染性、ワクチンおよび治療法の効果等の観点から、VOC(懸念される変異株)、VOI(注目すべき変異株)、VUM(監視中の変異株)等のクラス分けが行われてきましたが、2023年3月15日WHO(世界保健機構)は声明を出し、オミクロン亜系統全てを独立した系統として評価し、VUM、VOI、またはVOCの指定対象としました。(変異株追跡ページ参照)
今回新たに追加されたEG.5系統(主にEG.5.1)はXBB.1.9.2 系統の子孫株です。 ( XBB.1.5 の最新のリスク評価、XBB.1.16の最新リスク評価 ,EG5の初期リスク評価)
最近XBB.1.9.2の子孫株であるEG.5(XBB.1.9.2.5)系統の世界的流行に注目が集まっています。実際に流行しているのはEG.5.1で、これはEG.5遺伝子のS領域の52番目のアミノ酸であるグルタミンがヒスチジンに変異した系統です。(S:Q52H)
また新たにEG.5.1の遺伝子のorf1b部位の54番目のアミノ酸であるフェニルアラニンがアスパラギンに置換(orf1b:D54N)されたEG.5.1.1系統が6月に認定されています。covSPECTRUM
*6月21日に EG.5.1.1が定義されていましたがその後も様々な亜型が発見され、また系統名の数字が3桁を超えた場合、名前(アルファベット)を付け直すというパンゴ命名規則よってHK、HVなどの子孫系統が生まれています。
cov-lineages/pango-designationより
オミクロン株は現在も変異を続け、異なる変異を持つ子孫系統(亜型)を増やしており、その中の特定の系統が公衆衛生上のリスクを獲得する可能性も考えられます。その様な事態に対応するため監視中の亜系統(VUM)を追加し下記の亜型を指定しました。
*BA.2.86は8月17日の指定時点で3株が確認されただけでしたが、30か所を超えるスパイク変異を持つ事を重く捉え今後の動向を注視する必要があると判断され監視対象に認定されました。9月14日GISAIDには8か国から32株が登録されています。検出地域は、南アフリカ17株、デンマーク2株、イスラエル3株、英国1株、米国2株、カナダ1株、フランス1株、タイ5株となっています。離れた地域から検出されており未だ疫学的関連性が不明である事、変異部位の多さによる免疫回避能力の点において今後の動向に注意が必要です。(タイは下水からの検出です)
GISAIDのTracking of hCoV-19 VariantsにBA.2.86.1 が表示されました。この系統はGIT-Hub上のパンゴ命名会議室のRapid identification of BA.2.86 branches (=/>2seqs)(tracking issue) #2236に分類が指定されています。9月14日時点でGISAID上に13か国から81されています。検出地域は、英国39株、デンマーク11株、スウェーデン6株フランス6株、米国6株、スペイン4株、カナダ1株、オーストラリア1株、ドイツ1株、イスラエル1株、日本2株、韓国1株でした。
日本の1株は東京の医療機関においてPCR検査を行った検体で、患者は軽症と報告されています。
*BA.2.86.1の指定によって以前BA.2.86として登録されていた検体がBA.2.86.1として再登録されている場合があります。
現在、BA.2.86および子孫ウイルスの感染力の強さや重症度等についてはまだ情報が少なく、今後の研究が待たれるところです。
今年に入ってから快適にコロナウイルス患者は減少傾向にありました。日本でも入院患者数は減少し続けていましたが、4月の上旬から徐々に増加し8月の時点で2万人を超えています。
*ジョンホプキンス大学で行われていた世界の新型コロナウイルス患者の集計が3月で終了する事を受けてOur World in Data はWHOのデータに基づいた集計を行います。
出典:ourworldindata.org/covid-cases・2021年11月24日:新型コロナウイルス変異株の命名組織の一つであるパンゴ委員会はトーマス・ピーコック博士による提案#343「南アフリカに関連するスパイク蛋白変異を有するB.1.1系統株」について検討した結果、この株をB.1.1.529と命名し、同日WHOはこの株をVUM(監視中の変異株)に指定しました。
・11月26日:WHOはB.1.1.529株をVOC(懸念される変異株)に再指定しオミクロンと命名。
・12月7日:にパンゴ委員会に提案された「新たに特性解析された兄弟系統を組み込むためのB.1.1 .529の分割案#361」により亜型BA.1・BA.2が指定されました。
・12月9日:PangoNetworkに公開された「オミクロン系統B.1.1.529の更新」により、パンゴ委員会が世界中から集められたオミクロンと思われる遺伝子の解析結果から、これらに共通する先祖株をB.1.1.529系統と定め、子孫系統にあたるWHOのオミクロンに指定された系統を BA.1、それ以外の集団をBA.2と再定義しました。
参考:当所における新型コロナウイルス変異株の検査について(BA.2系統への対応)
・12月12日:提案された「B.1.1.529(オミクロン関連)の3番目の亜系統#367」について審議し、12月14日にBA.1にもBA.2にも当てはまらない株としてBA.3が定義されました。
・12月16日:パンゴ委員会、CDCではB.1.1.529と全てのBA系統(BA.1、BA.2、BA.3)を含めてオミクロン株とし、WHOもVOC指定株については全て子孫系統までを指定対象として定義しました。
・2022年1月8日:パンゴ委員会に提案された「潜在的に有益な突然変異を伴うオミクロン亜系統S:346K #360」により、アミノ酸変異S:R346Kを指標とする亜系統B.1.1が追加されました。
・2022年9月18日:提案された「S1領域に組換部位を持つBJ.1/BM.1.1.1 組換え株」について審議され、これはXBBとして定義されました。
以降の系統の認定情報についてはpango-designation/releases をご覧ください。