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ナショジオクイズ

Q:モザンビークのヤオ族は、鳥と協力しながら蜂蜜を採っています。それはどのような方法でしょうか。

  • ハチの巣があるバオバブを登るルートを先に飛んで教えてくれる
  • ハチに刺されないようハチの巣からハチを追い払ってくれる
  • 人と音を掛け合いながら鳥がハチの巣まで案内してくれる

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特集

羽はどうやって
できたのか?

FEBRUARY 2011

文=カール・ジンマー 写真=ロバート・クラーク イラスト=シンリーター

の翼に生えた羽毛はいつ誕生し、どのように変わってきたのか。最新の発掘調査や研究から、羽毛の進化の歴史がわかってきた。

 自然界には、生物進化が生んだ傑作が数々あるが、それに出合える機会はまれだ。たとえば、ダイオウイカの目玉。バスケットボールほどの大きさがあるというが、実際に目にすることなどまずない。

 けれども一つだけ、家から一歩出るだけで出合える自然の驚異がある。それは羽をもち、空を飛ぶ恐竜、すなわち鳥である。

 私たちは、鳥が恐竜から進化したことも、羽という独創的な発明品をもっていることも、当たり前すぎて、改めて考えてみようともしない。だが実際は、飛ぶための羽である風切羽(かざきりばね)は、風圧に耐えられるよう左右が非対称になっているし、翼はちょっと傾けるだけで、その上と下で空気の流れが変わり、宙に浮くことができる。

 飛行機の翼も、これと同じ仕組みを利用しているが、鳥の翼のほうがはるかに精巧だ。木の幹から大きな枝が出て、さらに細い枝が伸びているように、羽には中央に羽軸(うじく)があり、そこから羽枝(うし)がはえ、さらに細い小羽枝がはえている。小羽枝の先端には小さなフックがついていて、これが隣の小羽枝のフックとかみ合うことで、軽くて強靭(きょうじん)な一枚の羽弁(うべん)ができる。

 こうした驚異的な羽の仕組みは、どうやって形づくられたのだろう。この謎は、生物進化をめぐる様々な謎の中でも、最も長く議論されてきたテーマの一つだ。

 ダーウィンが『種の起源』を刊行した2年後の1861年、ドイツの採石場でカラスくらいの大きさの、とても興味深い鳥の化石が見つかった。アーケオプテリクス(始祖鳥)と命名されたこの鳥は、およそ1億5000万年前に生息し、羽をもつなど現在の鳥の特徴を備えつつも、爬虫類の痕跡もとどめていた。口には歯があること、前肢にかぎ爪がついていること、骨でできた長い尾をもつことなどだ。

 そのためこの化石は、進化の決定的瞬間、鳥類が爬虫類から枝分かれした時期の化石であると考えられた。「私の理論を裏づける非常に有力な証拠だ」。ダーウィンは、友人にあてた手紙にその心の内を明かしている。

もっと古い年代の、もっと原始的な羽をもつ化石が見つかれば、進化論を裏づけるさらに有力な証拠となっただろう。以後150年、古生物学者たちはそうした化石を必死で探したが、見つかることはなかった。

 一方で、爬虫類の鱗(うろこ)を調べて、羽の起源を探る試みも進められた。鳥の祖先がもっていた鱗が、世代を重ねるうちにしだいに伸びて、やがて縁が裂けて羽が誕生した―そんなシナリオが考えられたのだ。

 鱗が羽になったのは、飛ぶためだと考えればつじつまが合う。鳥の祖先が、鱗に覆われた小型の爬虫類で、樹上生活をしていたと仮定してみよう。鱗が長くなれば、枝から枝に跳び移るときに、より遠くまで滑空できる。まず滑空の段階を経て、やがて前肢が翼に進化し、羽ばたきができるようになって、自力飛行ができるようになったのではないか……。

 つまり、羽の進化は飛行能力の進化とともに起きた、という筋書きが考えられたのである。

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