ロシア軍が多数の民間人を虐殺したウクライナ・ブチャ市。ここでは今、再生可能エネルギーを活用する復興計画の検討が進んでいる。復興を目指すブチャ市がエネルギーを備蓄するための手法として注目するのが、日本のアンモニア合成技術だ。

2022年4月のウクライナ・ブチャの様子。ロシア軍の戦闘車両と共に、多数の民間人の遺体が発見された(写真:ロイター)
2022年4月のウクライナ・ブチャの様子。ロシア軍の戦闘車両と共に、多数の民間人の遺体が発見された(写真:ロイター)

 2022年4月、ウクライナ軍が首都キーウ(キエフ)近郊のロシア軍占領地域を奪還した。ロシア軍が去った街に広がっていたのは、惨殺された市民らの遺体がブチャの路上で無造作に転がる光景。「虐殺の街ブチャ」の惨状は、現地からの報道などを通じて世界に伝えられた。

 そのブチャ市の復興に向けて今、進むのが「グリーン・インダストリアル・ゾーン」というプロジェクトだ。太陽光や風力といった再生可能エネルギーで発電し、余剰分の電力を使って水素やアンモニアを製造してエネルギー源として備蓄する。

 そのプロジェクトで核となる技術を供与するのが、味の素や三菱ケミカルなどが出資する東京工業大学発スタートアップのつばめBHB(東京・中央)。同社は5月にプロジェクトへの参画を発表した。アンモニアを低コストで製造する独自技術をブチャの地で生かす。ポーランドで水素関連のシステム設計を行うハインフラ社、ウクライナのエンジニアリング企業であるUTEM社と協力して検討を進める。

 「このような環境技術を利用したプロジェクトはウクライナでも初めてとなる」。5月に日本の経済産業省などとオンラインで開催されたセレモニーで、ブチャのアナトリー・フェドルク市長はこう歓迎した。

オンラインでの式典には、在ウクライナ日本大使館や在ポーランド日本大使館、経済産業省などの代表者も出席した
オンラインでの式典には、在ウクライナ日本大使館や在ポーランド日本大使館、経済産業省などの代表者も出席した

 つばめBHBとハインフラ社によるとプロジェクトの資本的支出(CAPEX)は全体で3億~5億ドル(約420億~700億円)を見込み、日本政府や欧州連合(EU)に支援を訴えていくという。27年ごろに工事を開始し、まずはプロジェクト面積全体の3000ヘクタールのうち300ヘクタールを使って250メガワットの太陽光発電を先行して用意する計画だ。

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