大臣会見大臣会見

斉藤大臣会見要旨

2022年8月26日(金) 10:50 ~ 11:15
国土交通省会見室
斉藤鉄夫 大臣

閣議・閣僚懇

(大臣)本日の閣議案件で、特に私から報告するものはありません。
このほか、私から1点報告があります。
8月3日からの大雨により被災した山形県管理の国道121号の対応についてです。
東北地方を中心とした大雨により、山形県米沢(よねざわ)市と福島県喜多方(きたかた)市を結ぶ唯一の幹線道路である国道121号が被災し、現在も通行止めを余儀なくされています。
被災現場の復旧には高度な技術力が必要であり、8月24日には、吉村(よしむら)山形県知事と内堀(うちぼり)福島県知事から、国の権限代行による応急復旧の御要望を頂いたことも踏まえ、1車線分の走行を確保する応急復旧を、権限代行で実施することといたしました。
8月9日に私も山形県を視察しましたが、その時も吉村知事から山形県の置賜(おきたま)地方と福島県の会津(あいづ)地方は密接に結びついていると。
その唯一の道路である121号が不通になって大変生活に支障が出ていると。
是非という話を聞いたところですが、こういう形で、権限代行による応急復旧という形で実施することとしました。
復旧にあたっては、引き続き地域の皆さまの御協力を頂きながら、国土交通省の現場力を最大限発揮し、総力を挙げて取り組んでまいります。
詳細は後ほど資料を配布します。
私からは以上です。

質疑応答

(問)幹事から2問お願いします。
まず、1点目が、昨日、来年度の予算概算要求が発表されましたが、今回のポイントと大臣の意気込みをお願いします。
(答)令和5年度予算の概算要求については、一般会計で、前年度比1.18倍の6兆9,280億円の要求を行っています。
この他に事項要求として、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策、資材価格の高騰等を踏まえた必要な公共事業量の確保、危機に瀕する交通・観光の確保・維持、新たな「国家安全保障戦略」に係る海上保安体制の強化等について事項要求を行い、予算編成過程で財務当局と協議することとしています。
今回の要求では、特に次の3本柱に重点を置いています。
第一に、「国民の安全・安心の確保」として、激甚化・頻発化する自然災害に対応するための流域治水の本格的実践、線状(せんじょう)降水帯(こうすいたい)等の観測・予測体制の強化、知床遊覧船事故を受けた小型船舶における安全対策、戦略的海上保安体制の強化等を進めてまいります。
第二に、「経済社会活動の確実な回復と経済好循環の加速・拡大」として、ポストコロナを見据えた持続可能性と利便性の高い地域公共交通ネットワークへの再構築や観光立国の復活に取り組んでまいります。
また、グリーン、デジタル等への重点投資を推進します。
第三に、「豊かで活力ある地方創りと分散型国づくり」として、共生社会実現に向けたバリアフリー社会の形成、ニ拠点居住やワーケーション等住生活環境の充実、コンパクトでゆとりとにぎわいのあるまちづくり等を進めてまいります。
特に、防災・減災、国土強靱化を含む社会資本整備は未来への投資であることから、公共事業予算の安定的・持続的な確保を図るとともに、昨今の資材価格の高騰等を踏まえて、必要な事業量を確保する必要があると考えています。
国土交通省としては、国土交通省に与えられた使命を全うするために必要な予算をしっかりと確保できるよう、全力で取り組んでまいります。
(問)2点目ですけれども、名古屋市の名古屋高速道路で、路線バスが横転・炎上して、9人が死傷する事故がありました。
この事故に関する受け止めと国土交通省の対応をお願いします。
(答)8月22日午前10時頃、名古屋市北区の名古屋高速道路豊山(とよやま)(みなみ)出口付近において、乗合バスが横転、炎上する事故が発生し、バスの運転者と乗客とみられる2名がお亡くなりになり、乗客6名と後続の乗用車の運転者の計7名が負傷されたと承知しています。
まずは、今回の事故でお亡くなりになられた方とその御家族の皆さま方に対し、心よりお悔やみを申し上げます。
また、今回の事故に遭遇された方々とその御家族に心からお見舞いを申し上げるとともに、被害に遭われた方の一日も早い回復を願っております。
人命を預かる公共交通機関において、輸送の安全確保はすべてに優先されるべきものであり、今回、このような大変痛ましい事故が生じたことは、誠に遺憾です。
国土交通省においては、事故発生後、ただちに事故対策本部を設置するとともに、事故を起こしたあおい交通株式会社に対する特別監査の実施等の対応を行っているところです。
今後、警察による捜査に協力するとともに、国土交通省としても速やかに事実確認と原因究明を進め、このような悲惨な事故が二度と起きないよう、万全の対策を講じてまいります。
 
(問)近年、管理者が分からなくなっている橋というのが各地で見つかっておりまして、こうした橋梁というのは各地でどの程度存在しているのか。
また国土交通省としてどう対応されていくお考えか、お伺いします。
(答)御指摘のような報道があったことは承知しています。
共同通信さんの記事で承知しています。
国が管理する河川においては、管理者が不明となっている橋はない一方、国土交通省が今年5月に実施した調査では、都道府県等が管理する河川において、約9700カ所の橋で管理者が不明となっていることが分かりました。
この5月に実施した調査は、都道府県及び政令市58団体に調査を依頼して、31団体から返答があり、9697カ所ということで、ほぼ共同通信さんの調査と回答の数や個所数も一致していると、このように思いました。
国土交通省においては、これまで、河川管理者に対して、橋の管理者の把握に努めること等、河川管理上必要な対策を講じるよう周知してきたところです。
今回の調査結果も踏まえて、今後は、都道府県等に対して、管理者不明の状態等の解消が実現した具体的な事例や、解消に向けて必要な手続の進め方を提供するなど、指導、助言を行い、適正な河川管理を支援していきたいと思っています。
これまでもこういう状況の中で、管理者不明の状態等の解消が実現した事例もあります。
そういう事例を水平展開といいますか、情報公開をして管理者不明の橋ができるだけ少なくなるように努力していきたいと思います。
(問)各都道府県の担当者から、撤去する際にはやはり一定の費用を捻出する必要があり、なかなか財政難の折、厳しいという話もありまして、国土交通省として少し財政支援であったりとか、何らかの対応をしていただきたいと求める声もありますが、こうした件についてはいかがでしょうか。
(答)そういう各都道府県、また団体の担当者の方の御意見も聞きながら、国としても所有者不明の橋があるということは安全上問題だと考えていますので、どういう形で解消に向けて協力し合えるのか、先ほどありましたお金の話も含めて、我々も考えていきたいと思っています。
 
(問)予算の関連でお尋ねします。
北海道知床の観光船沈没の事故から23日で4か月となりました。
来年度予算の概算要求では安全対策費など盛り込まれましたが、改めて再発防止に向けてどういったところに力を入れて重点的に取り組んでいくか、大臣のお考えをお聞かせください。
(答)4月23日から4か月が過ぎました。
知床遊覧船事故でお亡くなりになられた方々とその御家族の皆さま方に対し、心よりお悔みを申し上げます。
また、今回の事故に遭遇された方々とその御家族に心からお見舞いを申し上げます。
引き続き、行方不明の方々の捜索や事故原因の究明に全力を尽くしてまいります。
令和5年度予算概算要求においては、7月14日の知床遊覧船事故対策検討委員会による総合的な安全対策の中間とりまとめを踏まえ、小型旅客船等の安全対策として27億円を要求するとともに、63人の増員を要求しており、具体的には、小型旅客船等に対する改良型救命いかだや業務用無線設備等の安全設備の導入促進、運輸局の監査体制の強化等に取り組んでまいります。
また、海上保安庁においても、救助・救急体制の強化として10億円を要求するとともに、29人の増員を要求しており、具体的には、機動救難士の配置、それに伴う資器材の整備、中型ヘリコプター1機の追加配備、それに伴う機体の要員等の配置等に取り組んでいきたいと決意しています。
国土交通省としては、こうした取組みに必要な予算・定員をしっかり確保し、小型旅客船の安全対策や救助・救急体制の強化に万全を期してまいります。
 
(問)県民割の延長と全国旅行支援の関係で1点お尋ねします。
足下で感染者高止まりしている一方で、観光業の人たちからは、全国旅行支援を待ち望む声は大きいなと感じています。
これをどのように進めていくのかというところ、厚生労働省のアドバイザリーボードの関係もあるかと思うのですが、改めて大臣の御所感をお聞かせください。 
(答)昨日、岸田総理とも今後の観光振興について報告をし、議論をしてきたところです。
全国旅行支援については、感染状況が改善されれば、直ちにスタートさせるということで、準備を今していますが、今、感染状況が全国旅行支援を開始する状況ではないという認識で一致しました。
具体的には8月24日の厚生労働省の専門家会議において、「新規感染者数は、全国的にはこれまでの最高値を上回り、最も高い感染レベルが継続している。
早期に感染者数が減少する可能性は低く、医療提供体制の厳しい状況が継続することが予想される。」と分析・評価されており、この認識を共有し、今スタートするところではないとしたところです。
現在行っている、県民割支援については、現在も多くの地域において県民割を実施していただいており、引き続き、感染状況にもしっかりと配慮しつつ、各知事の判断により需要喚起の取組を継続することができるよう、延長することとし、8月末というところを9月末に延長したところです。
したがって全国旅行支援を9月末までしませんと言うことではなく、全国旅行支援が開始される状況になれば、県民割をストップして、全国旅行支援にするということです。
その他、昨日は総理に対して、観光業界から水際対策について緩和してほしいという強い要望があると総理にもお伝えしました。
総理からはそれは理解するという趣旨の発言があったところです。
 
(問)一部報道で国土交通省の予算執行状況について、繰り越しが最近増えていると。
予算をちゃんと消化できていないのではないかという指摘があるのですが、大臣のお考えはいかがでしょうか。
(答)その認識は決して正しくないと言うことをお話しさせていただきます。
公共事業予算の繰越額が増加している要因は、令和2年度補正予算及び令和3年度補正予算に「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」を計上したためであると考えています。
年度末に大型の補正予算が成立した場合、繰越額が多くなる傾向がありますが、5か年加速化対策事業等が速やかに契約されており、当初予算、補正予算ともに、執行が例年に比べて遅れているということはありません。
当初予算の契約率、6月末時点での契約率を、ここ3年追ってみると、令和2年が56.7%、3年が60.2%、そして4年は61.9%と契約率、上がっています。
ちゃんと契約をしています。
また、補正予算の6月末時点での契約率を見てみると、令和1年度が60.9%、令和2年度が66.8%、令和3年度が68.4%とこれも契約率、上昇してきています。
ということで、順調に契約され執行されていると考えています。
また、繰り越した分も含め、ほぼ全額が執行されており、最終的に不用となった金額は、近年1%程度で推移しており、令和1年度は1.4、令和2年度は0.8、令和3年度は1.0。国土交通省関係ですが、執行もちゃんとされています。
いずれにしても、国土交通省としては、引き続き、公共事業予算の迅速かつ適切な執行に取り組んでまいります。
 
(問)旧統一教会の創始者が提唱したとされる日韓トンネル構想についてお伺いします。
国土交通省においてこれまで日韓トンネル構想について、これは旧統一教会との関連の有無に関わらずですが、こういったものについて何らかの検討をしたことはありますでしょうか。
(答)国土形成計画において、日韓海底トンネル構想について検討したことはありません。
(問)大臣御自身は今回のこの安倍元総理の事件でこうしたものが問題になる以前に日韓トンネル構想というものについてお聞きになったりということはありますでしょうか。
(答)そういう構想が存在するということは知っていました。
ただ私自身関わりを持ったことはありません。
(問)御存知だったのはどういう経緯で。
(答)新聞の記事とか、そういう事だったのではないかと思っていますが、そういう構想自体が存在するということは知っていました。
(問)率直にこの構想についてはどのように思われますか。
(答)ある意味で、ちょっと荒唐無稽な構想だと率直に思っています。
 
(問)概算要求の関連で伺うのですけれども、7月に有識者検討会が提言をまとめたローカル鉄道の支援について、事項要求ということですが、具体的にどのような予算を想定するのか改めて教えてください。
また、今後予算編成を進めることになりますが、ローカル鉄道の支援について大臣の思いをお聞かせください。
(答)事項要求として今回概算要求で上げさせていただきました。
しっかり議論して予算を獲得していきたいと思っています。
ローカル鉄道については、どうすれば真に地域の発展に貢献し、将来に亘って利便性が感じられる公共交通になるか、真剣に考えなければならない時期にきています。
政府方針においても本年6月に閣議決定された骨太方針において、持続可能性と利便性の高い地域公共交通ネットワークの再構築にあたっては、従来とは異なる実効性ある支援等を実施するとされたところです。
また、先日、有識者検討会からは、国の役割として、より厳しい状況にあり、広域的調整が必要な線区について、鉄道事業者・沿線自治体間の協議が円滑に進むよう、新たな協議の場を設置すること、鉄道を維持する場合、BRTやバスへ転換する場合のいずれの結論に至った場合においても頑張る地域を応援する等の提言がなされました。
予算の内容については、今後財政当局等と協議にあたってまいりますが、国土交通省としては政府の方針や今回の提言の内容も踏まえ、頑張る地域を応援するために必要な支援を講じてまいります。
今後この有識者検討会の提言に沿って話し合いが持たれるものと思います。
そういう中で是非こういう社会実験をやりたいというような提案も出てくると思います。
そういう社会実験を実行するための予算が必要です。
そういうものをしっかり確保したい。
それから、話し合いの結果、ある方向性が出てきた、地方自治体も頑張る、そういう頑張る地方自治体を応援する予算も当然必要になってまいります。
そこをしっかり、その予算の確保に向けて頑張りたいと思っています。
 
(問)先ほどの件でもう1点お願いします。
大臣御自身は先ほどの日韓トンネル構想ですが、議員の方ですとか、関係の団体ですとか、そういったところから説明を受けたり、要望を受けたりといった御経験はありますでしょうか。
(答)ないと思います。
記憶の限り全くありません。

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