株トークin 大阪 初心者セミナーのレポ(3/3) 市場参加者の心理の「偏り」(バイアス)を知って上手に活用する
これでセミナーの内容紹介の最後です。
簡単に「その2」までのお浚いをしておきます。
①東証には「初心者向け市場」というものは存在しない ・初心者はまずローリスクローリターンなETF(インデックス投資)から始め
初心者向けの方法があるだけ。「お手軽に大儲け」なんて方法は存在しない。中級者になりかけの頃が一番負けやすいという現実がある。なのでたーちゃんさんは以下のような道筋を示してくれています。
・さらなるパフォーマンスを求める人だけ次に進みローリスクミドルリターンなバリュー投資をめざそう。
・ハイリスクハイリターンな短期投資や成長株投資やテクニカルを駆使したトレードといった上級者向けコースはそれからでも遅くない。
②バリュー投資まではあまりチャートやテクニカルは必要ない
それよりもBSを分析して会社の価値(解散価値+将来の収益)を知り、
価値よりも安い価格でその企業の株を買うことを重視しよう。
詳しく知りたい人はこの本に書かれてますが、たーちゃんさんはこの本に書かれてる内容から特に本質的なところを説明してくれています。
③株価の構成要素にはもう一つ「バイアス」がある
このバイアスを知って、バイアスがマイナスに傾いているときに買い、バブルの時に売れば少しでも安全に立ち回りつつ利益を伸ばせるようになる。
ということで。
最後はこのバイアスを知りましょう、という話になります。
*バイアスを正確に理解するためにはプロスペクト理論などの行動経済学の勉強などが必要になりそうだけれどバリュー投資をやるだけなら難しい話は必要ない
このバイアスは「値動き」や「需給の偏り」が生み出すものです。
これはたーちゃんさんのセミナーではもちろん言及されていない話なのですが、ぜひみなさん「FX戦士くるみちゃん」(作者であるでむにゃん様はnoteもやっておられます)というマンガを読んでほしいです。この漫画はプロスペクト理論などを取り上げながら、FX取引をしている人がトレードにおいてどれだけ心を揺さぶられ判断をゆがめられるか、を描いていて読みごたえがあります。
この漫画の中に「人の認識は値動きによって無自覚のうちに変化させられる」という描写があります。毎日株価とにらめっこしていると、知らないうちに認識がずれてくるので、最初はむしろ毎日近視眼的にならないように、引いた視点から投資と向き合えるようになることを目指したいです。
*「恐怖がマックスになったところで買い、楽観が行き過ぎになれば売る」ことにだけ集中する
基本はその1のETFの売買と同じです。細かい値動きに囚われずに大局を外さないようにする。 【買いのタイミング=この条件を満たしたら底打ちとみなして買い始める】
①松井証券で公表されている「信用評価損益率」が-15%以下
②東証の騰落レシオが60以下
③暴落銘柄(25日線乖離率が-25%以上)が50銘柄以上。
(④アメリカSP500のVIX指数が40以上)
ただし、流動性が高いETFと違ってバリュー株は流動性が乏しいものが多く、暴落時は一番下げやすいため、たーちゃんさんは株を売買するときはさらに細かく条件を設定されているようです。
・例えば①について、市場が上げ相場であればマイナス10%~12%でも底になりうる。一方下げ相場ではマイナス10%でも天井になりえるし、底は-18%くらいまで様子を見る。
・また一度「下げ相場」(月足でトレンドラインが崩れる)になると、信用取引で損をしている人は徐々に資産状況が悪化していくのですが、信用取引で損をしている人が破産するか退場するまでには約2年ほどかかるため、「下げ相場は2年続く」という前提で見たほうが良いそうです。
また、これらのテクニカル指標以外にも「カクテルパーティー理論」や「メガボトム」の考え方を組み合わせて十分に底を確認してから買う必要があるとしています。他にも仮想通貨バブルの時を振り返りながら、いろんな兆候を指摘されていました。
*資金管理をしっかりして「損切りをしないでも勝てる」投資を目指すことでバイアスから距離を取れるように
実際の投資になると、タイミングに加えて資金管理も重要になってきます。
たーちゃんさんは12月の下落においては、短期的な底ではあるものの長期的な下落トレンドにおいてまだまだ下はありうる、という判断だったそうです。
そのため 12月段階では本当に狙っている資産バリュー株にはまだ手を出さなかった。ここで買ってしまうと最終的な下落において大きなマイナスをつかんでしまうということですね。そのため、東証一部の大型株の中で下げすぎ、割安のものを逆張りで買ったといっていました(ある程度のリバウンドが終わったら売る)
また、資金管理については下落の段階に応じて6段階ほど設定しており、信用買いは5段階目までは行わないそうです。12月の下落でさえその段階ではないと判断してほとんど信用買いはなかったとのこと。また、当然ですがバリュー株は長期投資前提のため現物買いのみになります。
ここまで徹底する必要はないにせよ、信用買いで勝負するときとそうでない時の参考にはなるのではないでしょうか?
*チャートやテクニカルに左右されず、自分なりの投資の軸を持ちそれを日々改善していくことが重要
以上でセミナーの内容は終わりになります。
チャートやテクニカルの話はほとんど出てきませんでしたが、たーちゃんさんは実際に通常は75日線とか出来高をチェックするくらいなのだそうです。そのくらい、バリュー投資においては細かいチャートやテクニカルはあまり重要でないということですね。
たーちゃんさんはとにかく 「自分なりの投資の軸をもつ」ことの重要性を語っておられました。これがないと他の人のパフォーマンス自慢やら株の煽りやらに揺さぶられてしまうため、セミナーの内容をもとに自分なりの投資の軸を作って欲しいという話でした。
「資産と収益をアクルーアルを同時に評価している唯一の指標だからです」
「時価総額と企業価値を比較してます。指標でいえばEV/FCF倍率が一番近いという話しです。 」
*これから先の投資姿勢について =毎日相場を見る必要はなく「貯蓄」や「定期積み建て」を堅実に行いつつ、チャンスの際に投資したい株を買える準備をしよう
セミナーの順番では途中に紹介されていたものですが、本多静六の投資哲学をラストに紹介してまとめを終わりにします 貯蓄生活を続けて行く上に、一番の障りになるものは虚栄心である。いたずらに家柄を誇ったり、いままでのしきたりや習慣にとらわれることなく、一切の見栄さえなくせば四分の一天引き生活(収入の25%を強制的に貯金する)くらいは誰でもできるものだ。 とにかく金というものは雪だるまのようなもので、はじめはほんの小さな玉でも、その中心になる玉ができるとあとは面白いように大きくなってくる。少なくとも四分の一天引き貯金ではじめた私の場合はそうであった。だから私は確信を持って人にも勧めてきた。どんなにつらい思いをしても、まずは千円をお貯めなさい。
これを一行にまとめるとこの計算式になります。
(資産)={(収入)-(支出)}×(利回り)
というわけで。
不要な売買を減らして損失を減らしたり、日常生活においても不要な出費は減らして一定額を積み立てる。これだって立派な資産形成です。トレードで勝つことだけが投資ではありません。
私が尊敬してる人(ドーベルマン?)は、「優待投資」で日々の支出を減らしたりして日々のCFを改善し貯蓄率を高めるだけでも長期的に差があるといっています。無理に毎日トレードする必要はありません。状況に応じて相応しい投資行動を継続し、しっかり資産を築いていきたいですね。
というわけでこれでレポ終わります。
たーちゃんさん、それから株トークの皆様。本当に素晴らしいセミナーでした。ありがとうございました。