■韓国をけん制する中国の最近の動き
中国による韓国けん制の動きは韓中外交や韓中日外交でも表面化している。中国政府は5月に入って北京駐在韓国大使との面会日程をはじめとして、韓中日外交当局の部長・局長会議(5月10日)、韓中経済人行事(5月9-11日)などを相次いで一方的にキャンセルした。韓国政府が先月28日に提案した国防政策の実務担当者会議も非協力的な態度を示しているという。韓国政府関係者が伝えた。今月2日に仁川で開催された韓中日財務相・中央銀行総裁会議にも中国の財政部(省に相当、以下同じ)長と人民銀行総裁が突然出席をキャンセルし、財政部の副部長が代理で出席した。ある別の外交筋は「外交の舞台ではカウターパートの格が重要だが、この時は非常に珍しい異常な形だった」と伝えた。
民間交流においても同じような事態が相次いでいる。韓中両国は今年2月、コロナ渦での感染対策の一つとしてそれまで中断してきた相互の短期ビザ発給を再開した。ところが中国が今年1月と3月に団体旅行を認める60以上の国を発表した際、韓国はそのどちらからも除外されていた。1回目と2回目の発表では米国と日本も含まれていなかった。上記の外交筋は「中国は団体旅行を認める国に今後韓国を含めるか今も秤にかけている状態だ」と説明した。中国は韓中の旅客船運航正常化に向けた船舶の安全検査をすでに終えたが、それでも運航再開は先送りしている。
中国政府はこれら一連の動きについてその理由を明らかにしていないが、韓国政府は「韓米同盟や韓米日協力の強化に対するけん制」と見ている。尹大統領は先日の訪米の際に外信とのインタビューなどで「国際社会と共に武力(力)による台湾海峡の現状変更に反対する」との考えを示した。すると中国政府は「不容置喙(口出しは許さない)」と反発し、これに韓国外交部が抗議すると今度は外相自ら「玩火必自焚(火遊びすれば必ず自分自身を燃やす)」と警告した。「力による現状変更反対」という言葉は国連など国際社会が一貫して掲げる原則だ。また前任の文在寅(ムン・ジェイン)政権も2021年5月の韓米首脳会談後の共同声明で「台湾海峡における平和と安定の維持が重要」との考えを表明していた。それでも中国政府は最近になって韓国に対する非難のレベルを高めているのだ。
中国政府だけでなく、2021年の韓米首脳会談で特別な反応を示さなかった環球時報、新華社通信、中国中央テレビ(CCTV)など中国の国営メディアも尹大統領と韓国政府に対して単なる批判にとどまらず、より脅迫的な言動を繰り返している。韓国外国語大学の康埈榮(カン・ジュンヨン)教授は「無礼で脅迫的な言動を前面に出す『戦浪外交』で韓国国内の世論を分裂へと誘導し、また韓国による国際社会での外交活動を見えない形で妨害することで、韓米同盟や韓米日協力に亀裂を生じさせる狙いがある」と指摘した。THAAD(高高度ミサイル防衛システム)配備当時のような直接の報復とは見られない形で韓米日三カ国の協力に亀裂を生じさせるため、韓国たたきに乗り出した側面があるということだ。
上記の韓国政府高官は「中国は昨年の世界貿易機関(WTO)事務局長選挙でも米国をけん制するため韓国人の候補に反対し、ライバルのナイジェリア候補を支持した」とした上で「過去の政府の時は無反応だった事案についても韓国の大統領や政府に言いがかりをつけ、背後では万博誘致妨害を疑わせる動きを続けるなど二重の態度を示している」と批判した。一部外交関係者の間では「中国は2035年の万博誘致を念頭に、2030年の万博は北東アジアではないサウジアラビアを支持しているのでは」との見方も出ている。
盧錫祚(ノ・ソクチョ)記者、キム・ウンジュン記者