2023/09/08(金) - 23:38
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ツール・ド・北海道第1ステージは、レース中に起きた事故のため中断され、以降のレースはキャンセルとされた。また、第2、第3ステージもキャンセルとなった。事故までの経緯をレポートし、ツール・ド・北海道の交通規制について解説する。
第1ステージ 事故が起きるまでの経緯
ツール・ド・北海道第1ステージは、旭川市から新得町までの174km。午前9時30分、旭川市総合防災センターをパレードスタートし、3kmほど進んだところでリアルスタートが切られた。序盤の平坦区間でのアタック合戦ではレースの流れが決まらず、30kmを過ぎても逃げが容認されない状況が続いた。
大きな動きがあったのは、57km地点に設定された最初の山岳賞ポイント。金子宗平(東京大学)が単独先行して先頭通過し、留目夕陽(EFエデュケーション・NIPPOデヴェロップメントチーム)が続いた。この動きで後方集団は分裂。金子に留目が合流して後続に50秒から1分差をつけて先行する。
69.8km地点、十勝岳に設定された2回目の山岳賞は、金子、留目の順に通過。約1分遅れて4名の第2集団、さらに1分遅れて20名ほどの第3集団が通過。そして先頭から5分ほど遅れて第4集団が通過した。事故はその下りで起きた。
午前11時30分過ぎ、73km地点付近の右へ回り込むカーブで、第4集団の選手が対向車線の自動車と正面衝突。それを避けようとした選手1名が落車した。自動車と衝突した選手は意識不明の重体となり、病院に搬送された。
先行していた金子と留目が96km地点に差し掛かったところでレースが止められ、以降のレースはキャンセル。第2、第3ステージもキャンセルとなり、レースが止められた時点での順位でリザルトが出されることになった。
ツール・ド・北海道独自の交通規制方法
現時点では警察の事故調査中のため、事故の詳細について正確な状況は明らかにされていない。直後に現場を通過した状況を見る限り、下りの右コーナーで視界が遮られた先に車が停まっており、対向車線に出た自転車が衝突してしまったと予想される。
一部報道で、事故が起きた区間が規制がされていなかったとの記述があるが、これは正しい表現ではない。ツール・ド・北海道では、レースに使用する片側車線のみ規制し、対向車線は一般通行可とする条件で北海道警察から道路使用許可を得ている。対向車線を通過する車やバイクなどに対しては、レースの隊列に先行して走るエスコートバイクが注意喚起を行い、減速や停止を求めていた。事前の監督会議でも、警察から選手たちに対し左側通行を厳守するよう通達があった。
例外として、リアルスタート直後の数km、フィニッシュ前、山岳賞、ホットスポットが設定された地点の前後、補給地点前後などは、1kmほどの距離が対向車線も含め規制され、道幅の狭い区間(センターラインのない道など)も全面規制される。
事故があった地点は2回目の山岳賞ポイントから4kmほど下ったところで片側規制の区間とされていたが、ツール・ド・北海道大会実行委員の高松泰副委員長はNHKの取材に対し「対向車線の侵入を一応規制させていただいた区間での事故」と話し、事故当時は両車線の規制が行われていたとしている。
片側規制は今回に限ったことではなく、ツール・ド・北海道独自の運営方法として続けられてきた。国内レースでは数少ないラインレースを開催するため、コースとなる自治体やコース沿い住民の了解を得るために片側規制という方法が取られてきた経緯がある。今回のような事故が起きたのはツール・ド・北海道史上初めてのことだ。高松副委員長は、「今回の事故について非常に重く受け止め、我々が取った安全対策にズレが無かったかを検証し、今後に活かしたい」と語った。
一方で、「以前は対向車が端に寄って止まるか減速してくれることが多かったが、最近は減速すらしない対向車が多くなったと感じる」という大会関係者の声も聞かれた。地元の方からは「ツール・ド」と略して親しまれてきた大会だが、レースを取り巻く環境が変化してきているようにも感じられ、運営方法を再考する時期に来ているように思える。
事故に遭われた選手の1日も早い回復をお祈りします。
text&photo:Satou Kato
第1ステージ 事故が起きるまでの経緯
ツール・ド・北海道第1ステージは、旭川市から新得町までの174km。午前9時30分、旭川市総合防災センターをパレードスタートし、3kmほど進んだところでリアルスタートが切られた。序盤の平坦区間でのアタック合戦ではレースの流れが決まらず、30kmを過ぎても逃げが容認されない状況が続いた。
大きな動きがあったのは、57km地点に設定された最初の山岳賞ポイント。金子宗平(東京大学)が単独先行して先頭通過し、留目夕陽(EFエデュケーション・NIPPOデヴェロップメントチーム)が続いた。この動きで後方集団は分裂。金子に留目が合流して後続に50秒から1分差をつけて先行する。
69.8km地点、十勝岳に設定された2回目の山岳賞は、金子、留目の順に通過。約1分遅れて4名の第2集団、さらに1分遅れて20名ほどの第3集団が通過。そして先頭から5分ほど遅れて第4集団が通過した。事故はその下りで起きた。
午前11時30分過ぎ、73km地点付近の右へ回り込むカーブで、第4集団の選手が対向車線の自動車と正面衝突。それを避けようとした選手1名が落車した。自動車と衝突した選手は意識不明の重体となり、病院に搬送された。
先行していた金子と留目が96km地点に差し掛かったところでレースが止められ、以降のレースはキャンセル。第2、第3ステージもキャンセルとなり、レースが止められた時点での順位でリザルトが出されることになった。
ツール・ド・北海道独自の交通規制方法
現時点では警察の事故調査中のため、事故の詳細について正確な状況は明らかにされていない。直後に現場を通過した状況を見る限り、下りの右コーナーで視界が遮られた先に車が停まっており、対向車線に出た自転車が衝突してしまったと予想される。
一部報道で、事故が起きた区間が規制がされていなかったとの記述があるが、これは正しい表現ではない。ツール・ド・北海道では、レースに使用する片側車線のみ規制し、対向車線は一般通行可とする条件で北海道警察から道路使用許可を得ている。対向車線を通過する車やバイクなどに対しては、レースの隊列に先行して走るエスコートバイクが注意喚起を行い、減速や停止を求めていた。事前の監督会議でも、警察から選手たちに対し左側通行を厳守するよう通達があった。
例外として、リアルスタート直後の数km、フィニッシュ前、山岳賞、ホットスポットが設定された地点の前後、補給地点前後などは、1kmほどの距離が対向車線も含め規制され、道幅の狭い区間(センターラインのない道など)も全面規制される。
事故があった地点は2回目の山岳賞ポイントから4kmほど下ったところで片側規制の区間とされていたが、ツール・ド・北海道大会実行委員の高松泰副委員長はNHKの取材に対し「対向車線の侵入を一応規制させていただいた区間での事故」と話し、事故当時は両車線の規制が行われていたとしている。
片側規制は今回に限ったことではなく、ツール・ド・北海道独自の運営方法として続けられてきた。国内レースでは数少ないラインレースを開催するため、コースとなる自治体やコース沿い住民の了解を得るために片側規制という方法が取られてきた経緯がある。今回のような事故が起きたのはツール・ド・北海道史上初めてのことだ。高松副委員長は、「今回の事故について非常に重く受け止め、我々が取った安全対策にズレが無かったかを検証し、今後に活かしたい」と語った。
一方で、「以前は対向車が端に寄って止まるか減速してくれることが多かったが、最近は減速すらしない対向車が多くなったと感じる」という大会関係者の声も聞かれた。地元の方からは「ツール・ド」と略して親しまれてきた大会だが、レースを取り巻く環境が変化してきているようにも感じられ、運営方法を再考する時期に来ているように思える。
事故に遭われた選手の1日も早い回復をお祈りします。
text&photo:Satou Kato
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