「ひのくに号ってどんな列車だろう」。1989年の正月、熊本の知人を訪ねたときの帰路、特急「有明」が満席だったため聞き慣れない臨時急行に乗ることになりました。

 


れきてつ
ひのくに8号の急行券


 

多彩な車両が使われる繁忙期。期待と不安が交錯する中、現れたのは普通列車用の715系。しかも割り当てられた自席は、なんとロングシートの部分。急行料金を払ってこれでは、たまったものではありません。博多までの苦痛は今も鮮明に覚えています。


れきてつ
乗車当日に撮っていた715系。普通列車「タウンシャトル」のヘッドマークの下にこっそり?「急行」表示。おそらくこれが「ひのくに」だったと思われます(乗った列車はショックで?撮影していませんでした)。

 


れきてつ
博多寄りの「食パン」先頭車クハ715 100番台は、おでこに「急行」表示がありました。


 

715系ほど波乱に満ちた鉄道車両も珍しいです。581系として登場以来、昼夜兼用の花形特急として活躍しましたが、80年代には一変、寝台列車削減の波を受けてリストラされる身に…。715系に格下げ改造後は、九州や東北で黙々とローカル運用をこなしていました。


 

そうした歴史を振り返ると、急行ひのくには、715系にとって581系時代以来の晴れ舞台だったことでしょう。鉄道ファンとしても、普通車化改造の象徴ともいえるロングシートでその走りを体感できたことは、むしろ光栄だったのではないか―。


 

ボッタクリに思えた「遜色急行」の苦い記憶は、今では貴重な思い出となっています。

 

 

 

 

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