フランス、いじめ厳罰化「加害者を転校させる」背景 今年9月に施行、2022年にはいじめを犯罪化

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今年5月12日、フランス北部パ・ド・カレー県ヴァンダン=ル=ヴィエイユの中学に通う女子生徒が、8カ月にわたるいじめやネットでの嫌がらせを苦に自殺した。

この事件はいじめとの戦いが2023学年度の開始に向けた「絶対的な優先事項」(エヌディアイ前教育相)になることにつながった。10代の若者が被害者となるいじめに関する議論が再燃する中、学校やネット上では、いじめ被害者を保護するための解決策が何度も提案された一方、導入されているものは少なすぎるという議論が高まっていた。

生徒の10人に1人がいじめ被害に遭っている

2013年に13歳の娘マリオンさんをいじめによる自殺で失ったノラ・フレイズ氏が設立したいじめ撲滅運動協会「マリオン・ラ・マン・タンデュ」は2021年1月、イル=ド=フランス(パリ首都圏)とともに調査会社Ifopに教師と生徒を対象にした調査を依頼した。

その結果によると、少なくとも41%が「反復的かつ継続的な言葉や身体的、心理的暴力の被害の経験がある」と答えている。そのうち54%が中学校のとき、23%が小学校のときだった。

いじめ厳罰化を報じるフランスの公共ラジオ局のニュースサイト(編集部撮影)

しかも全体の80%が3カ月以上、38%が1年以上にわたり続いたと答えた。さらに、いじめ被害は高額所得層では32%、最貧層では49%で、性的マイノリティ―(LGBT)の生徒の被害数が多いことも判明した。

国民教育省によると、近年、学校側に確認されているだけでも毎年約70万人、全生徒の約10人に1人が学校でいじめ被害に遭っているとされる。

また、子どもの2人に1人が7歳までに、青少年の4人に1人が18歳までにいじめ被害に遭っているというフランス・ユニセフの調査結果もある。フランス・ユネスコは2019年、フランスの初等・中等教育生徒の22%がいじめの影響を受けていると推定している。

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