さて、これは本当にタブーだったのですけどもね。
半年ほど前まで、一旦トランスした人が後悔して、元に戻す(デトランス:脱トランス)話というのはあまり表に出ていなかったのです。それでも私は関心を持って調べていました。半年ほど前でも、国内でも訴訟で戸籍を戻した件が1件(2018)、TVのドキュメンタリで取り上げられたのが1件(2020)、そして映画のテーマになった人の話(本人はデトランスを否定して「ゼロに戻した」と言っていますが、デトランスしているようにしか見えないです)1件(2020)...2件知っているブログ(2013,2015)がありました。
そりゃさあ、当事者団体とかタイ旅行の参加者を見てみても、「この方、大丈夫かしら?」と思う人が結構いるのですよ。本人は何か盛り上がっているのですが、それに水を差すのはどうか?とも思って口出ししていなかったのですけどもね。
今や、もうタブーはなくなったようです。まとめサイトなどでも普通に取り上げられていますね。海外のデトランス情報が結構入ってきています。訴訟で医療施設が負けたケースも取り上げられていますからね。特に、未成年者の FtM で医療機関の責任が問われることが多いようです。
こういうまとめサイトに寄せられたコメントを見ても、「それみたことか!」という論調が普通です。世論ではもはや、安易な性別移行にかなり厳しい目が向けられていることが、よくわかります。TRA(Trans Right Activist:トランス人権活動家)の主張はもはや世界的にボロがでまくっている....そういう理解なのですよ。
そりゃさあ、思春期の女子といえば、体の変化が大きくてそれに戸惑うし、月イチの生理は面倒だし、「女だから」で差別を受けることも多いし、男性からの性的視線への嫌悪、あるいは性的暴力への恐怖など、「女なんて、イヤ」という感情を持つのはそうそう不思議なことでもないわけです。そういう「思春期の危機」に、「女なんてイヤ、男になりたい...」とポロっと言ったことで、リベラルな教師やら「専門医」やらが寄ってたかって、「じゃあ、男になろう!」と理解者ぶって提案する....
いやいや、気の毒を絵にかいたようです。それに乗せられて舞い上がるのも、子供だから仕方がないことなのでしょうね。ここで明白なのは、「専門医」ですら、「性同一性障害」をしっかり判定できない、「性自認がどちらか」を客観的に判定することができない、ということなのですよ。この件は日本の専門家である針間克己医師でさえ、認めていますね。トランスジェンダリズムが主張する「性自認至上主義」には医学的・客観的な根拠がない、は明白なのですが...
ですから、前から私が言っているように、診断書の意味は単に、
その性別移行が、医師の管理下にあること
の証明でしかありません。トランスして「幸せになれる」ことをまったく保証してくれないのです。
そこで医師による意図的な誘導があれば、成人でも大きな問題です。さらに未成年者の場合、その判断力の未熟さを考慮すれば、やはり一律に不可逆な医学的処置を禁止するのもやむを得ないことのように思われます。
私は特例法の成立後&施行前のあたりてジェンダークリニックを受診しに行ったのですが、その時点でも思春期の女子が多かったでね....報道などで「性同一性障害」が取り上げられて、「自分もそうじゃないか?」とノセられた女の子たち....こんな人たちが続々と後悔していると考えたら、ぞっとするものがありますよ。
いやもちろん、私は「性同一性障害」なんてない、という立場ではありません。トランスして後悔なんて、まったくありません。逆に、男をしていた時でも全然「男性らしさ」がなくて、ツライ思いをした、という経験がありますから、こういう「トランスして後悔した」FtM さんたちの気持ちもわかるのですよ。
男になっては見たけども、男というのもなかなかツライものだ。男性社会に馴染むのは絶対無理...
男社会は「序列」ですからね。この序列の中で、FtM はよっぽどの「オトコとしての適性」、あるいは無視できない才能などなければ、底辺でしかないのです。無能だと疎外される、という面では女性よりもよっぽど過酷なところがありますからね。そういえば、昔 FtM さんで、「男としての価値」を示すために暴力沙汰を繰り返した人の話を見たことがありますよ。その人なら「男としての適性」があった方なのでしょうけどもね。でも腕力でしか「オトコとしての自己主張」ができないのならば、そんな人生、幸せとは言えないでしょうね。
だったらデトランス。女性ホルモンを摂取して、女性らしい体を取り戻す....でもね、これは MtF と課題が共通するのです。一旦男性ホルモンの影響を受けると、その影響が戻らないのですよ。たとえば声帯は男性ホルモンへの感受性が高いので、すぐに伸びて大きくなり、声が低くなります。そこで男性ホルモンを止めて女性ホルモンを取ったところで、一旦大きくなった声帯は戻りません。また、子宮・卵巣を摘出していれば、子供は産めません。頑張ってジムに通うなどしていたら、骨格も影響を受けているかもしれません。
デトランスには限界があります。カラダは戻りませんし、再度の医学的処置による健康上の影響はあります。また、社会的キャリアを積むべき時期を、トランスで無駄にしたわけですし、性ホルモンの精神的影響を考慮したら精神的に不安定になるのも不思議ではないです。SRSしたことを後悔しない人でも、ホルモンバランスの崩れで体調をおかしくする人がいるくらいですからね....デトランスなんて、ホルモンバランスから見たら自殺行為に近いわけです。
そして、そういう人たちがSRSに一方的な敵意を持つのなら....いやいや、SRSが役に立つ人たち、というのは本当にいるのです。自分の浅はかな判断を後悔するのではなくて、自分の体験だけで「SRSは不要だ!」と主張する人たち....はっきり言って、SRSが本当に必要な人にとっては、迷惑でしかないのです。いかにブームというものが、恐ろしいものなのか!
やはり、未成年者の性別移行は、少なくとも非可逆の医学的処置は禁止すべきでしょう。これは、SRSが本当に役立つトランスセクシュアルにとっても、未成年者のトランス失敗で「SRS否定論」が強まるのを考慮に入れたら、利益の方が大きいと思います。
(MtF の場合は、女装してもパス度が低すぎて満足できないから、手術したら「もっと女らしくなれる?」という甘い期待を抱いてSRSするけど、全然変わらない....というので後悔するケースが多いようです。私の経験で言っても、SRSがパス度を上げるのはちょっぴりだけです。ホルモン使ってもパスしない人が、SRSを受けてパス度が劇的に向上する、というのはありえません。オートガイネフィリアの場合には、女装が全然楽しくなくなりますからね。「トランスすることにリスクがない」と言えるのは、ノンホルの女装で社会生活が成立する人くらいです)
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