ド直球で問いましょう。まあ今は「性別不合」ではありますが。

意外なくらいに、ゆりちゃんも能町みね子さんも、病気、という意識はありませんね。私もそうです。

でも、医学的なサポートは必要です。ホルモンやらSRSは勝手にできることではありませんし、性ホルモン投与でも肝障害などの可能性がありますから、念のために血液検査をしつつ....はした方がいいです。また健康保険が使えるのならば、費用面でずいぶんと助かります。医療サポートが必要かどうか、でこの問題は他のセクシャル・マイノリティの問題とは大きく異なります。

だったら「よりよい」医療サポートを要求して、何が悪いのでしょうか?

この点で、「脱医療化」を叫ぶトランスジェンダーとは、相いれませんね。彼らが「脱医療」を主張するのはご自由に。要するに、問題が別なのです。これを「同じものだ」と誤解させるのが、TRA(Trans Right Acitvist:トランス人権活動家)のやり口なので、それに私は激怒しているのですよ。

医療を要求しない人々が、医療から問題を切り離すのはご自由に。しかし、私たちには医療が必要ですし、現在の医療水準はまったく要求レベルに達していません。なので、問題を混同しないでください。

私たちトランスセクシュアルの要求は、LGBTやトランスジェンダーの要求とは無関係です。

....しかし、トランスジェンダー派が自分たちの要求を無理の通すために、それを医学的な色彩で粉飾するのは許しがたいことです。もちろん、トランスセクシュアルでなくても、思春期のジェンダーの問題で悩むことは大いにあることです。TRAはそれをヘンにトランスジェンダリズムに関係づけるために、トランスセクシュアルだと誤解した人々が非可逆の処置を受けて、それを後悔することも問題になっています。

私ら、ハヤリモノじゃ、ありません。

こういうことを言うと、厳しすぎるかもしれませんが、未成年者の非可逆の性別移行サポートには、慎重さが必要です。18歳未満の医療サポートはしない方がいいのかもしれません。
いや、そういうと思春期のカラダの変化によって、性別移行が難しくなる...という反論があるのかもしれません。しかし、思春期の少女が自分に割り当てられたジェンダーに対する不満から、トランスを試みて後悔する例が、国内でさえも何人も問題になったわけです。ボーイズラブに憧れてトランスするなんて、本末転倒もいいところでしょう?人間の愚かしさは底なし、と切って捨てたくなるような話も聞きますよ。

私もそうですが、ゆりちゃんも能町さんも、男性としての二次性徴が微弱なタイプのようです。逆に言えば、

カラダが男らしくなると、トランスができなくなるので困る

じゃなくて、

思春期になってもカラダが全然男らしくならないから、そもそも男なんて、絶対できない

という方のが、実感なのですよ。だったら、急いで未成年のうちに医療を求める、というのは考えモノなのではないのでしょうか?

ですから、思春期の性の悩みを短絡的に「トランスジェンダリズム」に結び付けるのではなくて、そういう性の揺らぎを真摯に受け止めて、よりよい生き方を探っていく「カウンセリング」が求められているのではないのでしょうか? 体の変化に戸惑ったり、ジェンダーロールの押し付けに悩んだり、というのは、誰もが通る道なのに「性別を変更する人もいる」という情報に飛びついて解決だと誤解する....医者がそれを止めずに後押ししてしまう「受容的カウンセリング」というものが、本当に良いことだとはまったく思えないのですよ。生き方を急いで決める必要なんて、まったくありません。

私の経験で言うと、ジェンダークリニックのカウンセリングって本当に名ばかりでしたね。15分くらいの診察の時間に、こちらの状況を一方的にまくし立ててそれで時間が終わる、ということが普通でした。しかも診察は半年に一回くらい。カウンセリングなんて、マトモにやったことがあるのでしょうかね?それで専門医、ということになっているのですよ。

さらに問題なのはいわゆる「即日診断」です。モラルを欠いた医者が、いるんですね。ロクに診察もしないのに、「信念」とか言っちゃって「患者」のイイナリで「性同一性障害」の診断書を書く医者。しかし、その即日診断の医者と、「まとも」なジェンダークリニックと、どれほどの差があるのでしょうかね。

トランスジェンダリズムだったら、本質的に「自己申告」な病気、ということになるのでしょうが、そうだとしたら、性同一性障害(性別不合)の診断書などというものに、医学的な根拠があるわけでもないことになってしまいます。しいて言えば、

その人の性別移行が、医学的な管理の下にある、ということを保証する

程度の意味しかない、ということです。これは医学でしょうか?

いや「医学的な管理の下にある」というのを保証するのならば、その責任を医者が持つべきでしょう。

やっぱり、性別を変えたいわけではない

という結論になった場合に、医者が誤った誘導をしているのなら、医療過誤として損害賠償の責任を負うべきなのでしょうし、その診断を悪用して性犯罪を犯すようなことがあれば、それを見抜けない診断の責任を追及されるべきです。

医療であり専門家である、というのはそういう責任を果たすことだ

と私は考えるのです。

今のジェンダークリニックの医療は、医療の名に値しているか....

どうでしょう? 現状では

・診断結果を真に受けるかどうかは、自己責任
・性別移行のいろいろな問題について、医者がノウハウがあるわけでもなんでもない
・健康保険の適用がいろいろ難しい
・タイと比べてSRSができる医師は少ないし、技量も劣る

と、特例法以降の20年を経過して、少しも状況が改善していないどころか、取り残されている状況だというのに危機感を持った方がいいくらいでしょう。

現状では、ジェンダークリニックよりも、タイアテンド会社の方がずっと頼りになるというものです。