ゲイと呼ばれる人々って、アートに強くて、繊細で、ちょっと意地悪。彼らと話すと、とっても気持ちがなごむのはナゼ?ストレートの退屈な男とでは味わえないフリーな感覚。”女を超えた男たち”からの過激なメッセージはけっこう深い。
これが惹え句。今となっては伝説的な雑誌特集ですね。やっぱねえ、おばさまもリアルタイムで買いましたよ。実際「雑誌が面白い」時代でしたから、特集としてはリキが入ってます。総200ページ中、この特集で47ページを使ってます。200ページには広告も含みますから、読んだ印象ではほぼ半分の記事がこの特集、という感じ。
時代背景では、エイズの流行もあってことさらにゲイがクローズアップされたこともあり、逆に「ゲイの方がセイファーセックスに熱心」とか、独自にカルチャー的な面も注目されてきたあたりでの、この特集でした。もちろん801も初期ですね。
女性誌です。ですから女性目線で「おしゃれなゲイ」の像を作り上げちゃった...という功罪はともかく、社会的な認知、という面で「ゲイという生き方」を知らしめたインパクトは十分な特集です。
「エグゼ・ゲイの優雅にして禁欲的な生活」ってね、要するにこういうノリ。だから「ゲイとの快適生活をめざす女たち」という、「目標」が掲げられるわけです。まあこれをゲイの現実とかけ離れた、BL風のファッションと捉えるのも無理はない話なんですけどね....ゲイの座談会&アンケートとか、オネエ満開トークとか、美川憲一+デヴィ夫人のおしゃべりなど、読者にとって「未知の世界を覗き込む」ような内容は豊富ですが、それでもやはり橋本治はよくわかっていて、そういう女性読者に一本釘を刺しているのがさすがです。
今の女の内実はゲイとおんなじだよ。だって、男に依存してないってことを前提にして、しかも恋愛なり性交渉の相手は男なんだから、ゲイの男とおんなじでしょ?その昔、女ってものは男に依存することをその前提にして家の中にいた。それから女が家庭の外で職業を持つことが当たり前になって、この前提が崩れた。これがどういうことを意味するかよく分かってない人ばっかりみたいだけどさ、これはゲイの男として社会の中に存在するということなんだよ。
凄いね、ぴたっと「読者がなぜこの特集に喰いつくか?」を指しています。降参です。だから、
男の論理でいえば、セクシュアリティを持った男はゲイだけなんだから。女がゲイを好きだっていうのは、女の論理で男を見ちゃうからだよね。女の論理でいけば、すべての男はゲイになるはずなんだから。でも現実はそうじゃないでしょ。現実にはまずゲイなんて属性は存在しないもんなんだから。女は女の論理でものを見たがって、でも現実という男の論理と寝ちゃうから、ゲイの男は好きだけど、現実問題として自分の男がゲイになると激怒するということになるんだよな。
ほぼこの特集の射程と内実を完璧にサマライズしています。これに付け加える言葉は、おばさまもありませんね。
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