英語、とくに口語のニュアンスって面白いものがあるんだけど、この「Get a Life!」はなかなかオモムキ深い言い回しね。
1. もっとしっかり生きなさい
2. もっと人生を楽しめ
3. いいかげんにしろ
4. ほっておいてくれ
直訳なら「人生を得よ!」になるんだけど、しいて言えば 2. が直訳に近いのかなあ。不定冠詞の a は実質 your だと取るか、a new や an another ととるか、というあたりの面白味ね。
ジャン・モリス「苦悩」のときにも書いたけど、トランスの前半生って、人生との間に何か幕のようなものがかかっていて、人生が自分の人生じゃないような疎外感みたいなものを感じてるようにも思うのよ。そういう意味じゃトランスすることはまさに「Get a life!」なわけで、それなりにの高揚感があるのは事実なのよね。どっちかいうと、私のそういう「Get a life」な瞬間って、ずっと昔だったようにも思うのよ。たとえば、一番最初に女性で外出したときとかかなあ。ほんとこれビクビクものだったんだけど、いざ出てみると、誰も気にしないのね。お店で下着を買おうがスカートを買おうが化粧品を買おうが、レジではまったく気にもしないし、二言三言くらいの会話があっても、何か怪しんでいるような応対はまったくなし。これ90年代初めの話だから、GIDとかそういうのまったく認知されていない時代ですよ。
痴漢じゃないから...えいや!で入った女子トイレだって、行列に並んでも何の問題もなし。個室から出てきた女性は会釈してくれる。お化粧を直す鏡で背後を見ても、誰も気にしてない。ふう、意識のし過ぎね。たしかに鏡に映った私は女性にしか見えない....緊張しているせいか、若干キツくは見えるけどね。
あっけない。やっぱり私は女だったんだ....男をしてたのがまったくムダだったわけ。女性としての生活にリアリティも求めても、いいんだね。女友達とも、今まではヘンに意識して遠慮もあったけど、同性として遊んでもいいんだね....と「Get a life」な瞬間でした。だから、ほっておいてね(苦笑)。
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