つづき。前編はニューハーフの近藤とし恵さんのインタビュー記事でしたが、後編はエリザベスの常連さんたちによる「女装という人生を生きる」。おばさま一番最初にフル女装したのは、東京に遊びに行ったときに当時小川町にあったエリザベスで...だったし、その後一年ばかり東京に住んでいたことがあって、亀戸に移転したエリザベスに遊びに行ったことがありますね。まあ月一くらいかしら。この本と時期が近いこともあって、座談会出席者もサキさんと亜里沙さん会ったことありますね。当時はあと三橋順子さんが常連でしたが...どうもあの人苦手。本とか買ってるんだけどね。
基本、エリザベスはおじさんたちが女装して遊ぶクラブですからね、私は「女にしか見えない3人」のうちの一人にカウントされていたからこそなんだろうけど、「性転換して幸せになれるかというとそんなもんじゃないよ」というお説教をされることもありましたね。というそういう場所だと思った方がいいんでしょう。なんとなくですけども、ホルモンも禁止(というか使っても公言してはいけない?)ような「紳士の秘密のお遊び」で、あまりマジになっちゃいけない。そういう「ゆるい」場だから「女装になにを求めるか?」が人によって結構違う。これがこの座談会に出ているのが面白いあたり。
桐子:俺の場合、女そのものになりたいとはいまだに思っていない。女に化けて、男をたぶらかしたら面白い、と思うのはあるけどね。だから、自分では自分の土台を生かして、どこまでエロティックになれるかなんだよ。
(セックスの話を聞いて)
北原童夢:これはすごいなぁ。ナナエさんも亜里沙さんも、おふたりとも、ほとんど童貞だってことでしょ。童貞の女装者ってのは驚きだなあ。
(性転換して、女性になっても支障がないという前提なら)
亜里沙:それだったら、やるかもしれません。
久美:私は絶対やりませんね。男のおいしいところもありますから。
桐子:俺もそうだな。性転換したい、というのは、女に生まれたかった、ということで、女装にはならなくなる。
この座談会でもサキさん・亜里沙さんが事情が許せば性転換したい派で、桐子さん・久美さんは「男性の女装」に独自の意味付けをもって「女装家」として女装する、という考えですね。とはいえサキさんだと「男のおいしいところ」はわかってるし、今から女になっても「女のおいしいところ」は無理、というある意味諦念というか打算的というか現実的な部分が出ている...そんな座談会の印象です。
桐子:女装は知られたら怖いなぁ、というそのギリギリのところが、快楽なんですよ。そこそこの社会的地位や家庭生活があったほうが、女装生活は楽しいわけです。その危険がネガティブなものだけに楽しい。解放されちゃったら、快楽は減りますよ。
とこの桐子さんの感覚が「女装家」としてのアイデンティティになり、女装クラブ「エリザべス」の「イデオロギー」なわけですね。まあわたしがあまりなじめなくて...は当然か。
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