いつ「性転換」したいと思ったのか?とガモン病院の面接で聞かれました。そうしてみるとね....それはたぶん「性転換」という概念が一般に広まったまさにその時だと思うんです。もちろんそれはカルーセル麻紀さんの帰国ですね。これを調べたら1973年です。私は小学4年生か。当時もちろん話題になりましてね「こんなことがあるんだ!」と転がっていた女性誌のインタビュー記事を読んだ記憶が鮮明にあります。

モロッコで手術したこと、腸捻転を起こしかけて死にかけたこと、病室仲間に「大女」がいたこと、術後のおしっこが変な方向に飛ぶこと....

やだなんだ、今でも覚えているものですね。それだけ鮮明なショックを小学生に与えたわけです。私も将来女性に変わりたい!ってね。
あと変な話で、よく覚えていること。70年代初めの児童書ってアナーキーでした。いい加減というか見世物小屋テイストというか、「世界の怪奇・驚異」に子供は飛びつくんですよ。駄菓子感覚ですね。そんな中で中岡俊哉ブランド、ってのはありました。心霊写真とかこっくりさんとか、TVの企画もあれば、本もあれば...で、やっぱりみんな読んでるのですよ。

で、そんな中岡俊哉の本の中(たぶん『怪奇スリラー全集③世界のウルトラ怪事件』秋田書店/1968)の記事で、

タイの奥地に住むタンパニという仙人が、卵に秘術を施すと赤い卵になって、これを20代なら20個、30代なら30個食べると、男が女に変身する

という一節を覚えてます。固有名詞まで記憶しているんですね。子供心にいかにタイに行って女の子になりたかったか....タイには行きましたが、タンパニの卵のかわりにガモン先生、なんですかね(苦笑)。きっとカトゥーイの話を聞いて、中岡センセがでっち上げた記事なんでしょうね。


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追記。タンパニの話は微妙に違って、秋田書店「世界怪奇スリラー全集①世界の魔術・妖術」でした。さて答え合わせ。

タイの妖術師タンパニもそのひとりだ。タンパニは、そのあやしい術を、ニワトリかアヒルの卵にかけるのだ。あやしげな粉を呪文とともに卵にふりかけると、卵はそとがわのからまでまっ赤になる。
そして、タンパニの術のかかった卵を十代の人なら五つ、二十代の人なら十五、三十代の人なら二十たべると、男の人が、女の人にかわってしまうのだ。
タンパニの卵をたべて、男から女にかわった人は、この十年間に十二人もおり、そのうち五人はちゃんと赤ちゃんまで生んでいるのだ。(前掲書 p155~156)

タイ○、タンパニ○、卵○、赤くなる○、年齢別個数○、具体的個数×、赤ちゃん×。
さすがの記憶力。大筋は外れてないですね。大人になったタイ行くんだ!なんて子供心に思ってましたもの。