人体をパーツ単位で見たときに「手」の持つ表現力というのは侮れないものがあります。ということはそこには当然「個性」もあるので、より完璧なお着替えを追求するなら手パーツの移植はやっておくべきですよね!特に女性は男性の「手」に魅力を感じる方が多いらしいので重要ですよね!っていう駄文を書いてたら文字数制限に
この文章は、Mskさま制作の「Msk式燭台切光忠」に、ES(嘆きの舞P)さま制作の「vd_スーツ2.0」を着てもらい、その上でMsk式燭台切さんの手パーツを後から移植したときの作業メモです。
あ、あと前提としてスーツ燭台切さんは腕捩り・手捩り系のボーンを削除したままの状態なので注意してください。それでは作業を始めます。
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①:手パーツのモデルを作る
・PMXEを起動して「Msk式燭台切光忠_内番インナー.pmx」を新規で読み込みます。
・手パーツ以外の不要な材質を削除します。
・PmxViewの選択:「頂」、範囲:「δ」にしたら、胸と腰パーツのあたりを囲んで範囲選択します。いい感じなら Shift + Delete で削除します。
・Pmx編集のメニュー「編集」→「プラグイン」→「User」→「闇鍋プラグイン」→「BONE」と進んで「[BONE] ウェイトの設定されたボーンリストの取得」を選びます
。腕捩り・手捩り系のボーンがあることが確認できたので対策します。それとこのモデルには「ひじ補助」ボーンが実装されていたので、「ひじ補助+」のウェイトは「ひじ」に集約させます。
・先ほどと同じ手順で左腕全体を頂点選択します。Pmx編集のメニュー「編集」→「プラグイン」→「User」→「闇鍋プラグイン」→「VERTEX」と進んで「[VERTEX] 選択した頂点のウェイトボーンを置き換える」を選びます。
・まずは「変更先ボーン名」を「左腕」に、「変更元ボーン名」を「左腕捩」にして、「置換実行」のボタンを押します。
・同じように「変更元ボーン名」を「左腕捩1」「左腕捩2」「左腕捩3」と変更して、それぞれ「置換実行」します。
・つぎはひじです。「変更先ボーン名」を「左ひじ」に、「変更元ボーン名」を「左ひじ補助+」にして、「置換実行」のボタンを押します。
・あとは同じように「変更元ボーン名」を「左手捩」「左手捩1」「左手捩2」「左手捩3」と変更して、それぞれ「置換実行」します。
・ここで一度PmxViewに戻って、今度は右腕全体を頂点選択します。あとは左腕のときと同じようにウェイトを転送してあげます。
・一通り終わったらウェイト設定を確認してみます。PmxViewウィンドウ下部の「mode」を「Weight」にしたら、Pmx編集の「ボーン」タブのリストでまずは「左腕」を選択します。上腕部が全体的に赤く染まっていれば成功です。続いて「左腕捩」「左腕捩1~3」をそれぞれ選択して、腕が赤くならないことを確認します。これは腕捩り系のウェイトが正しく腕ボーンに集約されたかどうかの確認作業です。同じように左前腕部、右腕についても確認しておいてください。
・ウェイトの確認が終わったら、画像を参考にして不要なボーンを削除します。「全ての親」「腕」「ひじ」と手のひら関連のボーンを温存させます。
・Pmx編集の「モーフ」タブで不要なものを削除します。手パーツに関係ない「ガニ股」を選択したら、その下にある「X」ボタンで削除します。
・Pmx編集の「剛体」タブで不要なものを削除します。「左手首」「右手首」だけ温存させて、それ以外のすべての剛体を削除します。
・Pmx編集の「ジョイント」タブで全てのジョイントを削除します。
・Pmx編集のメニュー「ファイル」から「名前を付けて保存」します。てきとーに「Msk式燭台切さん 手だけー.pmx」としました。
②:手パーツの位置を検討するための基準になるモデルを作る
・PMXEに「Msk式燭台切さん スーツ(捩りなし).pmx」を新規で読み込みます。
・PmxViewの小窓:「絞」で材質「体」を削除します。
・PmxViewの選択:「骨」、範囲:「δ」、左下のアイコンは「ボーン(青い二重丸)」「非表示ボーン(グレーの二重丸)」を選択状態にして、「手首」ボーンを含む、手のひらに関するすべてのボーンを範囲選択して、キーボードのDelete で削除します。
・Pmx編集のメニュー「ファイル」から「名前を付けて保存」します。てきとーに「Msk式燭台切さん スーツ 手の位置測定用.pmx」としました。
③:手パーツの位置を決める
・PMXEに「Msk式燭台切さん 手だけー.pmx」を新規で読み込んだら、PmxViewの選択:「頂」、範囲:「□」でモデル全体を頂点選択します。
・PmxViewの小窓:「動」でオブジェクト操作のウィンドウを出したら、とりあえず「選択オブジェクトの記憶」のところにある「MS」の「1」をクリックして、現在の選択状態を記憶させます。これでこのあと誤って選択解除しちゃう場面に遭遇しても、「MR」の「1」を押すことで即座に選択状態が復活するので安心です。
・PMXEに「Msk式燭台切さん スーツ 手の位置測定用.pmx」を「追加」で読み込みます。
・PmxView左下アイコンの「選択頂点(オレンジのつぶつぶ)」を選択解除すれば見やすくなります。とりあえず今回は左腕に注目してやってみます。
・オブジェクト操作のウィンドウで「値指定」タブを開いたら、「移動」の下にある3つの数値欄のうち、Y軸(上から2番め)のところに「-0.2」と入力して「移動」ボタンを押します。これで手パーツがちょっと下に移動しました。
・つぎは手パーツを横方向にずらします。先ほどのY軸を「0」に戻したら、X軸に「0.5」と入力して「移動」ボタンを押します。ちょっとやりすぎな感じだから Ctrl + Z で巻き戻します。今度はX軸に「0.4」と入力して「移動」ボタンを押します。これでいい感じになりました。
・うーん、でももうちょっと手パーツを露出させたい感じなので、X軸を「0.1」、Y軸を「-0.1」と入力して「移動」ボタンを押します。これでいい感じになりました。
・つぎは奥行きを調整します。PmxViewの視点を調整してモデルを横向きにします。
・X軸とY軸の欄を「0」にしてから、Z軸に「-0.45」と入力して「移動」ボタンを押したらいい感じになりました。PmxViewの視点を操作してモデルをいろんな角度から眺めてみます。大丈夫そうなら移動量が確定したことになります。
・X軸は 0.4 + 0.1=0.5、Y軸は -0.2 - 0.1=-0.3、Z軸は -0.45、まとめると「X:0.5、Y:-0.3、Z:-0.45」になります。これは左腕の移動量です。
・右腕はX軸だけ正負反転して「X:-0.5、Y:-0.3、Z:-0.45」ということになります。
④:手パーツの移動
・PMXEに「Msk式燭台切さん 手だけー.pmx」を新規で読み込みます。
・PmxViewの選択:「頂」「骨」「剛」「J」、範囲「δ」、左下アイコンは「ボーン(青い二重丸)」「非表示ボーン(グレーの二重丸)」「剛体(水色の棒)」「ジョイント(黄色い箱)」を選択状態にして、左腕全体を範囲選択します。このときモデルを構成するすべての要素が選択できているか、よく確認してください。特に「非表示ボーン」については忘れやすいので要注意です。
・小窓:「動」でオブジェクト操作のウィンドウを出して「値指定」タブを開いたら、先ほど確定した移動量(X:0.5、Y:-0.3、Z:-0.45)を入力して「移動」ボタンを押します。
・次は右腕全体を範囲選択して、X軸の数値に「-」(マイナス)を付けたら「移動」ボタンを押します。
・これで位置はいい感じになったので、次は余分なところを削除します。衣装がスーツなので、ひじから肩側は不要だと思います。
・PmxView右下の「mode」を「Wire+」にしたら、選択:「頂」、範囲:「δ」にしてざっくり頂点選択します。画像を参考にしてもらうと目安になると思います。
・Shift + Delete で削除したら、Pmx編集のメニュー「ファイル」から「名前を付けて保存」します。てきとーに「Msk式燭台切さん 手だけー合体直前.pmx」としました。
⑤:合体のための準備
・PMXEに「Msk式燭台切さん スーツ(捩りなし).pmx」を新規で読み込みます。
・PmxViewの小窓:「絞」で材質「体」を削除します。
・Pmx編集のメニュー「編集」→「プラグイン」→「User」→「闇鍋プラグイン」→「BONE」と進んで「[BONE] ウェイトの設定されたボーンリストの取得」を選びます。指関連のボーンが含まれていないか確認します。大丈夫でした。
・Pmx編集の「ボーン」タブにて、指に関連するボーンを削除します。
・モーフ・剛体・ジョイントについては、今回は指に関連するものがなかったのでスルーしました。
・つぎは移植する手パーツ付近のウェイトを転送するための準備をします。PmxViewの選択:「頂」、範囲:「δ」にして、前腕部のあたり(ひじから先)をざっくり頂点選択します。
・Pmx編集のメニュー「編集」→「プラグイン」→「User」→「ウェイト保存・転送」と進んで「ウェイト保存(PMX)」を選びます。てきとーに「スーツ前腕部のウェイト.txt」としました。
・Pmx編集のメニュー「ファイル」から「名前を付けて保存」します。てきとーに「Msk式燭台切さん スーツ 手合体直前.pmx」としました。
⑥:合体
・PMXEに「Msk式燭台切さん スーツ 手合体直前.pmx」を新規で読み込みます。
・つづいて「Msk式燭台切さん 手だけー合体直前.pmx」を、「追加」で読み込みます。
・Pmx編集のメニュー「ファイル」から「PMXデータの状態検証」を選びます。Filter:の「○」をクリックして選択解除するとそれ以外、つまり「△」と「X」の項目だけがピックアップされます。今回は3件見つかりました。これらをひとつずつ潰していきます。
・「単独(面非参照)頂点」については、Pmx編集のメニュー「編集」→「頂点」→「単独(面非参照)頂点を選択」を選んだあと、PmxViewのウィンドウタイトルをクリックして操作フォーカスをそちらに移してから Shift + Delete で削除します。
・「材質名重複」は名前がカブってるものを変更してあげるだけです。Pmx編集の「材質」タブにて50番のものを見ると「体1」だったので、てきとーに「手」などにリネームします。
・「未登録モーフ」については、これは体型調整のときに実装したA2T、T2Aモーフです。もう不要なので削除します。Pmx編集の「モーフ」タブにて削除します。
・ふたたびPmx編集のメニュー「ファイル」から「PMXデータの状態検証」を選んでFilter:の「○」をクリックして選択解除します。なにも表示されないということは、すべての項目がクリアーということです。
・ここで一度保存しておきます。Pmx編集のメニュー「ファイル」から「名前を付けて保存」します。てきとーに「Msk式燭台切さん スーツ 手移植01.pmx」としました。
・つぎは移植した手パーツのスーツに隠れる部分に、スーツのウェイト情報を転送します。
・PmxViewの小窓:「絞」で末尾4つの材質(手パーツ)だけを表示させたら、選択:「頂」、範囲:「□」で手パーツ全体を頂点選択します。
・頂点/材質マスキングを「全表示」にしたら、PmxViewの範囲:「○」にして
Ctrl を押しながら、手パーツの「スーツから出ている部分」をぐりぐりして選択解除します。
・モデルをいろんな角度から眺めて、手パーツのうち、スーツに隠れてる部分だけが頂点選択されていることを確認したら、Pmx編集のメニュー「編集」→「プラグイン」→「User」→「ウェイト保存・転送」と進んで「ウェイト読込/設定(PMX)」を選びます。先ほどの「スーツ前腕部のウェイト.txt」を指定します。
・Pmx編集のメニュー「ファイル」から「名前を付けて保存」します。てきとーに「Msk式燭台切さん スーツ 手移植02.pmx」としました。
・そういえば腕捩り・手捩り系ボーンを削除したままだったので実装してあげます。Pmx編集のメニュー「編集」→「プラグイン」→「User」→「準標準ボーン追加」と進んで「準標準ボーン追加(PMX)」を選びます。画像を参考に、てきとーにボーンを追加します。
[追記] すみませんひとつ忘れてました!Msk式燭台切さんの手パーツは指の関節がSDEFなので、Pmx編集のメニュー「編集」→「頂点」→「SDEF-C値の正規化」をしておいてください。[追記ここまで]
・Pmx編集のメニュー「ファイル」から「名前を付けて保存」します。てきとーに「Msk式燭台切さん スーツ 手移植03.pmx」としました。
・MMDに「Msk式燭台切さん スーツ 手移植03.pmx」を読み込んだら、てきとーなモーションを流し込んで動作確認します。
・いい感じだったら「Msk式燭台切さん スーツ 手移植03.pmx」をてきとーに「Msk式燭台切さん スーツ衣装+.pmx」とリネームして完了です。
ここまでおつかれさまでした!