おばさま女装界隈とか縁が切れて長いし、コミュニティ活動も関わってないし...で、半埋没で女性生活をずっと満喫してたせいか、最近の概念にうとくなってたみたいでした。最近ではTVの女装をオートガイネフィリア(略してAG)という概念で説明することが多いようですね。「自己女性化愛好症」というものです。昔はTVの女装をフェティシズムで説明してましたが、モノに向かうフェティシズム(モノを通して女性と..)に対して、女性らしく変容した自身の姿に男性として恋するオートガイネフィリアを分離しよう、という考えだと思うといいようです。
この説明理論はそれなりに実態を反映したものだと見ていいでしょう。おばさまはTVさんの妄想ベースの女装に辟易したものですが、これは男性の性欲がエネルギーとなって女装するところから来ているわけで、決して「男性を辞めたい」と思っているわけじゃないあたりから見ても、結構当たってる概念だと思います。

ただ、そうしてみると、GIDの中でも「女性が好きなMtF」との区別がつきにくくなるわけですね。もちろん、男性が好きなMtFの場合には、AGであることは論理上あり得ません。女性が好きな場合には、「女性になりたい思い」が性自認という意外に主観的であいまいなものから来ているのか、AGから来ているのか、きちんと区別できるか?、あるいはオーバーラップする部分があるのか?、というあたりが結構問題のようにも思うんです。
極端な話、AGの理論だと、男性が好きなMtFでも、オナニーするなら男性に抱かれるのをイメージして...でないとしちゃいけないことになります(苦笑)。でも逆に、純女さんでも、ある意味「女装」するわけですし、その「女装」の中に空想的なナルシズムがふつーに見受けられます。そういうナルシズムを一般的なものと捉えるならば、GIDと「AG&ナルシズム」を排他的に考えるのも、やや問題かなあ、とは思うんですよ。
実際、おばさまだって、オナニーしましたからね。男性に抱かれるネタもあります(というか、初めて見た性夢が不良っぽいサングラスの男性とする夢で、朝起きてショックを受けました...)が、スカートはいて女性になって...という空想もネタでしたもの。それでも勃起するのが嫌でね~オナニーはしたいのに、ペニスはなきゃいいのに、と思ってました。矛盾してますね。ただし、AGの人は自身が恋する「理想の女性像」を実現する、が大目標なので、この「理想の女性像」がなかなかリアルなようです。顔の整形手術を繰り返す人ってGIDというよりも、「理想を追求する」AGらしい行動なのかもしれないですね。
いやおばさま、そんな理想なんてないですって...年齢相応、素材相応にブスでもいいから女になりたいだけですもの。ちゃんとパスして、周囲の女性たちにひどく容姿が劣る、というでもないくらいなら御の字です。セクシー衣装とか関心ないですし、TPOに合わせたおしゃれを楽しみたいだけですよ。あと気になるのは、AGの人の中に、同世代の女性たちの中に女性として溶け込みたい、というような願望が全然ないみたいなんですね。女性のグループの中で、のうのうと女性できて、周囲の女性たちからふつーに女性として隔意なく扱われるのが、おばさまが女性化して一番うれしいことでしたもの。ですから、SRSを受けたのも、そういう周囲の女性たちに対して、負い目を持たないで済むようにしたい...なんて感情が強くありました。う~ん、そうしてみるとおばさまはGID系なんでしょうね。それでもナルシズムはふつーに「女として」ありますからね。

AGとGIDを区別するのには、女性ホルモンを摂取すると、GID は自身が女性化するのがうれしくてたまらないのに対して、AGは女性ホルモンの作用で男性の性欲が大きく減退するために、体が女性化しても逆にうれしくなくなるんだそうですね。「女性化したかったはずなのに、してみると全然つまらなくて、違和感ばっかり...」ということになるらしいです。もちろん、そんな状態でSRSしたりしたら、完璧に後悔するだけのことですね。
でも「女性ホルモン使えば、わかる」というのも、AGさんにとっては大きすぎるリスクがあります。女性ホルモンを使うとと不可逆変化がありますから、男性機能が潰れますし。そうしたら元も子もないでしょう。

いや、なんでAGの件をおばさまが気にするのか、というと、おばさまはGIDの「身体の性別と性自認がずれていて、悩む」という「身体違和」にあまり実感がない、というヘンなところがあるからですね。性自認が女で、身体的な特徴がもともとかなり女性に近かったですから、自分の女性的な体が好きなくらいでしたからね。そうしてみると、女性化が進んだAGと現象的に似通る部分がないわけでもないでしょうけどねえ....ナルシズムでも単純に自己肯定的なものはありますけども、「理想の女性をイメージして、それに変身したいと願う」ような自己否定的なものはあまり感じないです。だから、AGっぽくはならないのかもしれません。

どうせおばさま、いわゆる「男性特権」みたいなものとはほぼ無縁、というかちゃんと男性特権を行使できないくらいでしたから、「男を辞める」のが劣等感からの解放みたいな側面もあって、全然未練なかったです。一度くらいは「勉強」として女性とのSEXを体験してもよかったかな?とも思わなくもないですが、そんな機会も能力もありませんでした。未ホルモン状態でも、ちゃんとできたかどうかもかなり疑問です。SRSをグズグズしてたのは、単純に女性での社会適応に問題がなさ過ぎて、しかも性欲が薄いから結婚したいとも思わないし...というくらいのことでした。ま、グズグズせずに、さっさと切っておけばよかったかな...と思うとなると、どうみてもAGとは無縁のようです。