北京五輪、残した希望と影 「平和の祭典」見えた現実
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過去最多のメダルを獲得し日本選手団が躍動した北京冬季五輪は20日、幕を下ろした。新型コロナウイルス下の厳しい運営で選手らの負担も増すなど課題を残した。中国が抱える人権問題や緊迫化したウクライナ情勢が影を落とした「平和の祭典」。大会の現実をどう見たか。元代表選手や識者に聞いた。
元スピードスケート女子選手 大菅小百合さん 「選手目線で負担軽減を」
大会中、親しい日本人選手に連絡を取ったところ、「毎日のPCR検査で、感染が判明したらどうしよう」と怖がっていた。選手村の自室を出る際、消毒液を持ち歩き、人が集まる時間帯に食堂に行かないなど、気を抜けない日々だったと聞く。
感染対策を徹底する運営は理解できるが、選手目線で言えば、競技以外で気を使わなければならない要素が増え、メンタルの維持が大変だった。
ノルディックスキー・ジャンプ混合団体でスーツを巡り失格が相次いだ問題や、フィギュアスケート女子のドーピング疑惑など、競技内容と異なる面で注目を集めたのは残念だった。
選手らは競技に集中していたが、選手の努力を無駄にしない仕組みづくりが今後の課題となった。一過性の問題にせず、改善に向け真剣に向き合わなければならない。選手ファーストで検討してほしい。
北京と日本の時差は1時間。リアルタイムで観戦できた子どもは多い。私も娘に様々な競技を見せた。五輪を身近に感じ、夢から目標に変える契機にしてほしい。
ただ冬季競技の場合、気軽に始めるにはスケート靴やスキー板など一定の道具代がかかる。負担が懸念され、私の地元、北海道でもスケートの競技人口は減りつつある。今大会、日本選手団は歴代最多のメダルを獲得した。選手らの活躍を未来につなぐためには練習環境の整備を進めるなど、裾野の拡大に努める必要がある。...
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