サムライは出てきません



遠い昔か、はるかな未来かも定かではない時代のこと。
暗黒の司祭ソロンが、その巨大な力で世界を闇に包もうとしていた。
ソロンを倒すべく、数多の勇者が立ち向かったが、ことごとく敗れ去り、闇の力に対抗した、光の魔法使いたちも僅かな生き残りを残すのみとなった。



そして、一人の戦士がついに立ち上がった!

その名はウタ。
今まさにソロンと対決しようとしていた、その時!


巨大な闇のオーラが、ソロンの身体から迫ってくる!



ソロンのオーラの力でウタは弾き飛ばされた。



「愚か者め。己の無力を知れ!」
ウタはすさまじい勢いで地面にたたきつけられた。



「だめだ…勝てない」
その時、威厳のある声が響いた。
「炎の心を持つ戦士よ。お前をまだ死なせるわけにはゆかぬ」



ウタは薄れゆく意識の中、自分の身体がすごい勢いで飛ばされるのを感じた。
「まずは光の魔法使いを探すがよい」




気が付くとウタは森の中にいた。
この森はどこまで続くのだろう。



しばらく森の中を進むと一軒の建物が見えてきた。
そこは酒場だった。



酒場の主人は言った。
「森の奥に怪物が住んでいる洞窟がある。うかつに近づかないほうがいい」と。



そして、森の妖精たちは酒好きだということも教えてくれた。
ウタは酒を一瓶購入し、酒場を後にする。



ウタは森の中で酒を差し出し呼びかけた。
「妖精よ、酒はいらないか」
「おくれおくれ」
その呼びかけに妖精が答えた。



妖精は言う。
「光の魔法使いでサリアという女の子が、この森に住んでるんだけど…」



「いたずら好きのサリアは魔法で僕らの長老を隠してしまったんだ」
そういうと、妖精たちは再び姿を消した。



ウタは長老を探すため、再び森の中をさまよった。
すると一本の木にあけられた鳥の巣穴の中に閉じ込められていた長老を発見する。



長老を助けてくれたお礼にと、妖精たちはウタに『見破りのオーブ』を差し出す。



オーブを携え森をゆくウタ。
しばらくゆくとレンガ造りの家があった。
家の前には老人が立っており、居丈高にどなってきた。
「なんじゃお前は。わしの家に何か用か!」



ウタは妖精に言われた通り、オーブを覗き込んだ。
そこに映っていたのは老人ではなく少女の姿だった。



「お前はもしや魔法使いのサリアでは。光の魔法使いなら、ソロンと戦う力を貸してくれ」
ウタはそう申し入れた。
「いやよ。どうして私が」
そうサリアは言い、話を聞こうともしなかった。



その時、何かがサリアの横をすり抜けていった。
「あ、私の呪文書が。きっとあの妖精が…呪文書を取り返すのを手伝ってよ」
しょうがなくウタは協力することになった。



すぐに妖精は見つかった。
しかし呪文書は、洞窟に住むリザードビートルに取られてしまったという。
酒場の主人の言っていた、怪物の住む洞窟とはここのことなのだろう。



洞窟に入るとすぐにリザードビートルが現れた。



ウタは剣で切りかかる。
ガキッ!
しかしその硬い甲羅に阻まれ、剣は折れてしまった。
このままではだめだ。
体制を立て直すべく、二人は洞窟を後にする。



酒場の裏にやってきた二人は、そこで一振りの斧を見つけた。
しかし勝手に持っていくわけにはいかない。



「私に任せて」
サリアはそう言うと瓶を取り出した。
すると瓶から眠気を催す霧が立ち上り、酒場のほうへ流れていった。



酒場の主人が眠っているうちに、ウタはまんまと斧を手に入れることができたのだ。



洞窟に戻ってきた二人。
またリザードビートルが現れる。



しかし今度は剣よりも強靭な刃を持つ斧がある。
バキバキッ!
振り下ろした斧は、リザードビートルの甲羅を突き破った。



そこへサリアのイナズマの魔法が炸裂。
リザードビートルはついに倒れた。



ウタがリザードビートルのいた場所を調べると、そこにサリアの呪文書はあった。



「さあ、これで力をかしてくれるな」
ウタは光の魔法使いを仲間にすることができたのだ。





森を抜けると、そこには荒野が果てしなく広がっている。



サリアは言った。
千年前、ここには魔法の都が栄えていたこと。
戦争があり都は滅んでしまったこと。
滅びた人々の無念の想いが、鳴き声のような風の音を生んでいるとも。



ソロンの闇の神殿に行くには、この嘆きの荒野を越えなけらばいけないらしい。



しばらく進むと、一人の旅人が倒れていた。
かすかに息はあるようだ。



ウタは旅人に水筒の水を与えた。



息を吹き返した旅人は言った。
ソロンを倒すためサムライソードを探していたと。
そして、手掛かりを求めて大賢者を訪ねたが、『渇きのゴーレム』と『アンデッド』に阻まれてしまったと。
「ソロンを倒すため、私に代わってサムライソードを!」
そう言うと旅人は息を引き取った。



大賢者を探し先へと進む二人。
その時、アンデッドが現れた。



一刀のもとに切り伏せるウタ。



しかし、アンデッドは平然と起き上がってきた。



そればかりかアンデッドの吐いた酸の息で、ウタの斧(正確には酒場の主人の斧)は錆びてしまった。



旅人のもとまで逃げ帰ってきた二人。
旅人が何か持っていないかと懐を探る。
すると剣と、レンズが出てきた。
当然のようにそれらを持ち去るウタ。



アンデッドに出会わないように気を付けて進むと、二人の前に奇妙な形をした岩が現れた。
その岩には丸いくぼみがある。



何かに気が付いたサリアは、岩のくぼみにレンズをはめ込んだ。



レンズは太陽の光を反射し、地面の一点を指し示すと、そこに大きな穴が現れたのだった。



穴の下は地下室だった。
そこの壁には魔法の文字が彫り込まれている。



『遺跡に入らんとする者に、渇きのゴーレムの災いあれ』



すると突然、石像が動き始めた。
渇きのゴーレムだ!



ゴーレムは全身から熱を発している。
「急激に冷やしたらどう?」
そういうサリア。



ウタは持っていた水筒を投げつけた。
しかし、浴びせた部分から湯気が立っただけだ。



だがよく見ると胸の部分にひびが入っている。
どうやら急激に冷やしたためらしい。



ウタが力をこめ胸を打つとゴーレムはその場に崩れ落ちていった。



するとウタたちの前に大賢者をなのる一人の老人が現れた。



「その声は…。もしやあなたは」
ウタがそう問いかけると大賢者は言った。
「おぬしの危機を救い、妖精の森に運んだのはワシじゃ」と。



サムライソードを使いこなせるのはウタだけだとも言う。
そういうと大賢者の姿は消えた。



大賢者の消えた後、そこに一本の巻物があった。
それを手にしたサリアは読み始めた。



巻物にはこう書かれている。
『サムライソードは世界最強の武器で、偉大な力を持っているが、本当は闇を打ち破り、浄化するために作られたものだ。』



『炎の心を持つ者だけがサムライソードを使いこなせるだろう』
そう読み終わると巻物は跡形もなく崩れ落ち、サリアの手に宝石のようなものが残った。



サリアが宝石を手にしたとき、再び大賢者が現れた。
大賢者は言った。
その宝石は『光の雫』といい、必ずおぬしらの救いになるだろうと。



そして大賢者はウタの剣を手にすると、アンデッドを打ち破る力を宿らせるのだった。



ウタたちが地下室から地上に戻ると、急にアンデッドが襲ってきた。
どうやら待ち構えていたようだ。



しかし、今度は大賢者によって力を込められた剣がある。
ウタが切りつけると、アンデッドは跡形もなく消えてしまった。



突然あたりが暗闇に包まれた。
「ああっ、助けて」
サリアの声が暗闇の中に響く。
その時、大地の底から声が響いた。



「われはソロン。光の魔法使いはわれが封印する」
そういうと声は消えた。
サリアとともに。



サリアのいた場所に、光の雫が落ちていた。
それを拾い上げたとき、大賢者がウタの前に現れた。



大賢者は言う。
「荒野を越え、科学の都へ行け。サリアを救い、ソロンを倒すのはそれからじゃ」と。



そしてウタは一枚のカードのようなものを渡されるのだった。



サリアの行方は?
サムライソードはどこにあるのか?
物語は【第2夜】へと続く。

 

 

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