「永代地上権」多い富山・滑川市、土地所有者への固定資産税が裁判で認められず徴収難航

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 全国的にもほとんど例がないとされる「永代地上権」が設定された土地が富山県 滑川なめりかわ 市に多数存在し、市が固定資産税の課税に苦慮している。これまでは土地の所有者から徴収してきたが、「地上権者(土地の借り主)に課税するべきだ」との司法判断が4月に確定した。ただ、永代地上権の設定はいずれも100年以上前で、権利放棄や相続の実態が分からないケースが多く、地上権者の特定は難航している。(吉武幸一郎)

永代地上権の設定地が集中している地域。市役所にも近い(8月30日、富山県滑川市常盤町で)
永代地上権の設定地が集中している地域。市役所にも近い(8月30日、富山県滑川市常盤町で)

 地上権は、借りた土地を自由に使える権利で、家を建てたり畑にしたり、また貸しをすることもできる。貸し主と借り主の間で契約期間を永代(永久)としたものが「永代地上権」だ。

 滑川市によると、設定された土地は市内に約600筆あり、海沿いの旧滑川町地域に集中している。江戸時代の大火の後、契約期間を永代とする地域特有の習わしができ、明治に入って次々と登記されたという。郷土史料などをめくっても、なぜなのかは分からない。

 地方税法では、土地の固定資産税の納税義務者を原則、所有者と規定している。このため市は、永代地上権の設定地でも所有者への課税を続けてきた。

 ところが、市内で設定地9筆を所有する東京都内の60歳代男性が2020年7月、「正しい納税義務者は地上権者だ」として、市に課税の取り消しを求める訴訟を富山地裁に起こした。地方税法は納税義務者について、「百年より永い存続期間の定めのある地上権の目的である土地については、その質権者又は地上権者とする」との例外規定を設けており、男性は「永代」が「百年より永い存続期間」に当てはまると主張した。

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