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2023/08/26 14:48

やれマルケスがホンダを抜けるだファビオがヤマハに最後通牒だと、レース本編よりもライダーの移籍市場の方が盛り上がりを見せているMotoGPだが、これは状況としてはSBKも同様。MotoGPではドカのペッコが独走態勢を作りつつあるところ、SBKではMotoGP以上のドカ圧勝。パニガーレを駆るバウティスタが異次元の速さで他を圧倒しているため、観客の興味はもはやレースを離れてしまっているのだ。


SBKでは少し前に、ヤマハのトプラクがまさかのBMW移籍を決め、これ以上の騒動は起こりそうもないと思われたが、これはただの始まりに過ぎなかった。

カワサキで6連覇を達成したあと、ヤマハのトプラクやドゥカティに戻ったバウティスタにけちょんけちょんにやりこめられているジョナサン・レイは、一向にレースへの関与を高めないカワサキと、戦闘力が停滞したままのZX-10RRに業を煮やし、すでにBMWへの移籍を決めているトプラクのシートを求め、ヤマハに移籍するという話が先月くらいから急激に盛り上がってきたのだ。

(司会は巨泉、野球は巨人、カワサキといえばジョナサン・レイ。というくらい、カワサキのイメージを背負って走ってきたジョナサン・レイがヤマハへ移籍する?そんな誰もが予想さえもしなかったことが起こるのがいまのレースの世界…。:写真はジョナサン・レイのインスタグラムより)

カワサキといえばジョナサン、ジョナサンといえばカワサキというくらい、すっかりライムグリーンの人となったジョナサン・レイがまさかカワサキを離脱するなどあり得ないだろう!と最初はその話を誰も真剣に取り合わなかった。いくらレースが盛り上がらないからと、適当な話をでっち上げるのもいい加減にしろと。

しかし事態は誰もが思いもしなかった方向に転がりだす。

本件に関し、最初こそだんまりを決め込んでいだジョナサンだったが、移籍の噂が出た後も日本のカワサキからの反応が薄かったせいか、徐々にカワサキへの不満をこぼすようになり「このままでは勝てない」「いまの10RRは勝てるマシンではない」と、まるでMotoGPでマルケスがホンダに対してこぼしているのと同じような愚痴をメディアに吐露するようになった。

それでもジョナサンはカワサキを辞める、移籍するとはひとことも言わず、自分の将来に関しては「SBKの夏休みとなる(8月の)一ヶ月の間に、家族とよく相談してから決めるよ」と言うのみ。しかしこの言葉は、来年2024年までの契約がカワサキとの間に存在しているジョナサンが言うのは不自然。本来なら「自分にはカワサキとの契約がある。来年もカワサキで走るよ」と「嘘でも」言って然るべきなのだ。これが7月末のこと。

そして以降日を追うごとに、ジョナサン、ヤマハに移籍の話は現実味を帯びていく。

詳細については当然明らかにはされないものの、ジョナサン側がトプラクが抜け空席ができたヤマハに対しアプローチを仕掛けているということは徐々に既成事実化され、ヤマハの側も露骨にその事実を認めるコメントを出し始めた。SBKヤマハを取り仕切るポールデニングは「ジョナサンがヤマハに来るとしても、カワサキとの間にある契約をどうするのかという問題がある。契約途中でヤマハを辞めるとなれば違約金の問題も発生するし、そこにヤマハとしては首を突っ込みたくはない」と、ジョナサン移籍の現実化に関わる具体的な障壁を口にし始めた。これはすなわちジョナサンとヤマハとの間で、なんらかの折衝(その鳥羽口)が行われただろうことを暗に匂わせている。

こうした動きがあったのが8月の初旬。それからしばらく何の動きもなく、もしかしたらこの話は立ち消えになったのか?と思われた8月の下旬になり、イタリアのGPONEでは、ジョナサンのヤマハ移籍に関連しての「何らかの発表」を近日中に行うだろうと報じた。また、ジョナサンとカワサキの関係がすでに暗礁に乗り上げていることは確実であり、当初はジョナサン以外のライダーを起用することなど考えられない、我々にプランBなどないと言っていたカワサキ側にも遂にジョナサンに代わるライダーの選抜に入った動きが見受けられることを合わせて報じている。

ジョナサン・レイがヤマハに行く。もろもろの情勢から見て、これはほぼ確実となりそう。そしてもしそうなった場合、代わりにカワサキに加入するライダーは誰なのか。

パドックの噂で真っ先に名前が上がっていたのはBMWのスコット・レディングだ。レディングは昨年ドカからBMWに移籍して以降、まったく成績が低迷し、セッティングは決まらない、走ればトラブルだらけのBMWに愛想をつかして今季限りで離脱すると言われ続けてきた。そこに降って湧いたジョナサンのヤマハ移籍の話だ。SBKではトップファクトリーチームであるカワサキに入れるまたとないチャンスにレディングもさぞ乗り気だろう、、、と思われたのだが、こちらも状況は急転直下。来季ヤマハからSBKのスーパースターであるトプラクを迎え入れるBMWは現在、マシンの開発やチームの運用体制を刷新すべく大なたを振るっており、テストチームにはEWCヨシムラからシルバン・ギュントーリを引き抜く等際立った動きを見せている。これを見てレディングは「これならやれる!」と心変わりし、BMWでの残留を決めたのではないかと見られている。

しかしこうなると困るのはカワサキの側。現在カワサキでは、SBKの新星として注目されているアクセル・バッサーニに目をつけており、バッサーニの側でもあのジョナサン・レイが乗っていたマシンに乗れるなら本望(ドカ系列に居残ってもファクトリーチームには入れないから)と、双方の距離は急速に近付いてきているようだ。※バッサーニには体制強化を目論むSBKホンダも目をつけているようだが、ホンダはMotoGP側での移籍市場のごたつき(マルケスかミア、あるいは両方がともにチームを離脱しかねない状況にある)から、現ライダーであるレクオナとビエルへの処遇さえも決めきれない状況にあり、完全に出遅れている。

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MotoGPにしろSBKにしろ、昨今ここまで移籍話のあれこれで盛り上がったのはあまり記憶にない。あえて言うならロッシの引退がそれであったが、あの出来事は異次元で、しかし事情は移籍ではなく引退だ。

なんでこんなに移籍の話ばかりが次々と出てくるのか。そのいちばんの理由は、MotoGP/SBKのカテゴリを問わず、日本メーカーが低迷していることだろう。かつては世界を席巻していたホンダにヤマハ、そしてカワサキ(にスズキ)。そのいずれもがいまは見るも無惨、語るも涙の状況に置かれている。レースは勝ってナンボ。しかも日進月歩で進化していく世界において、いったいなにをどうしたことか、日本メーカーはドゥカティをはじめとする欧州メーカーに対し、マシン開発で完全に立ち遅れてしまった。ライダーがいくらがんばって走っても勝てない。勝てないマシンに乗り続けても意味はないと、ライダーたちが沈みゆく泥舟から我先にと逃げ出して行っているのがいまの状況なのである。

加えてレースでは、シーズン半ばを待たずして、すでにタイトル争いには決着がついてしまったかのような雰囲気が漂うところ、レースの勝ち負けよりもライダーの移籍の方にメディア報道のウェイト(それはすなわち観客の興味)が移ってしまっているのである。これは本来歓迎されざる状況であるが、事実そうなってしまっているのだから仕方がない。

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もはやライダーがメーカーの威信と看板を背負って走る時代ではなくなった。マルケスがホンダ離脱を考える、ジョナサンがカワサキをやめるという事態が、それを如実に表している。メーカーとライダーは一蓮托生。そんな昭和気質の浪花節ではいまの変化の激しいレースの世界は語れない。悲しいけど、これが現実なのよね!

…というわけで、ジョナサン・レイのカワサキ離脱、ヤマハ移籍は時間の問題となりましたというお話でした。早ければおそらく来週(9月の第一週)のアタマには、この件に関する何らかの公式発表が行われると思われる。週末に入るとMotoGPが始まってしまうし、翌週にはSBKも後半戦がスタートするからね。このてのリリースを行うにはイベントかぶりを避けるのが鉄則。そうしないとニュースバリューがなくなってしまうからだ。

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