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3度目の正直となるか 大阪市“最後の負の遺産”「海の時空館」 事業者の公募開始09月02日 09:12

利用者の低迷などで10年前に閉館した「海の時空館」という施設をご存じでしょうか。

大阪最後の負の遺産とも呼ばれているこの施設の活用を巡り、9月1日から事業者の公募がはじまりました。

今、その場所は一体どうなっているのか。坂元龍斗フィールドキャスターが現地から解説します。
【坂元龍斗フィールドキャスター】
「今回、なぜ公募に至ったかという背景には高額な維持費があります。10年間で7000万円ほどかかっているということです。この費用は税金ですので、この施設を何とか生かしてくれる事業者の募集ということを、今まで2回してきたのですが、成立せず、今回3回目を迎えました。どういった経緯があるのかまとめました」

■”海の時空間”の開業から閉鎖まで
2000年に開業した「なにわの海の時空館」。大阪市の海の交流の歴史を伝えるために、磯村市長の時代にオープンしました。
目玉はガラス張りのドーム型の建物で、建設費は176憶円。

そしてその中にある高さ30メートルの「菱垣廻船(ひがきかいせん)」という江戸時代の木造船を復元したもので、その製作費はなんと10億円でした。
しかし、入館者数は右肩下がりで、毎年2億円から3億円の大赤字が続き、橋下徹市長の時代には議会の全会一致で施設の廃止が決まりました。

【大阪市 橋下徹市長(当時)】
「こんなバカげた計画がどうして進んでいったのか確認して、公にする必要があるんじゃないかなと思う」


■閉館後の問題
しかし2013年に閉鎖してからも、維持管理の費用が発生し続けました。

【大阪港湾局事業戦略課 石田圭担当係長】
「主には電気代がかかっております。海に浮かぶ構造上、海水なども進入してくることもありますので、湧水ポンプであったり、必要最小限の設備関係を動かす動力として電気が必要になってきますので(閉館以降の)10年間で約7000万円となっております」

そしてもうひとつ問題となったのは、菱垣廻船をどうするか。

【坂元龍斗フィールドキャスター(2016年)】
「これだけ立派な船を他の場所で展示できないのかと思うが、動かすのが無理。複雑な作りなので解体すると元に戻すのが難しく、切り刻んでも難しいので、屋根を外して外に出すのもできなくないが、数億円かかるのでこの場所に置いておくしかない」

それ以外にも建物の中には数多くの展示物が残されたままになっています。

■3度目の正直となるか
大阪市はこれまでに活用してくれる業者を探すため2回の入札を行いましたが、いずれも成立しなかったため9月1日、3度目となる入札の受付けが始まりました。

2025年の大阪・関西万博の会場、夢洲のすぐ隣、咲洲にあるこの建物。大阪市はなんとしてもチャンスを逃がしたくないと意気込みます。

【大阪港湾局事業戦略課 石田圭担当係長】
「負の遺産と呼ばれている建物を、周辺の地区全体の活性化につながるように事業展開していきたいというのが、我々大阪市の長年の悲願です。3度目の正直で」

果たして、元「海の時空館」は有効活用の道が見つけられるのでしょうか。
【坂元龍斗フィールドキャスター】
「実はこの建物ですが、陸地側にエントランスがあり、エレベーターに乗って地下2階まで降りて、この海の中を通って、ドームの中に入っていくという壮大な建物なんですね。
経緯をお伝えしますと、2013年に1回目の公募があって、この時はこの建物の形を活かしてほしいという思いで賃貸契約での公募だったそうです。そういったこともあって応募がありませんでした。そして2回目は2020年でコロナ禍だったので、 どうしても事業者側も先行きが不透明の中で手を上げるのが難しかったんだと思います。こちらも応募が0で不成立だったということです。
今回3回目になるんですけれども、ちょっといい条件がそろっているのかなというのが(工期の遅れも心配されてますが)万博の会場がすぐそこにあって、IR の建設予定地でもあります。そういった意味ではにぎわいスポットとして、前回よりは条件がいいことがそろってるのかなという感じはします。市としては、今回そもそも公募の形として、このドームは生かした形にしてくださいねと言っているようなので、中の船をどうするのか。あるいは他の展示物をどうするのかなどは、その事業者に任されるそうです」
【坂元龍斗フィールドキャスター】
「すでに5つの事業者がもう見学に来ているということなので、前向きに検討していらっしゃるかもしれません。建物のエントランス側には緑の芝生が広がっていて、そのエリアは新しい建物を建ててもいいそうなので、何かにぎわいスポットに変わってくれたらいいなと思います」
3度目の公募への大阪市の思いについて関西テレビ神崎報道デスクはこのように話します。

【関西テレビ 神崎報道デスク】
「実は大阪市は他にもいっぱい“負の遺産”というのを抱えていました。それを維新の橋下市長とか吉村市長、松井市長が順番に清算していって、今、現状で維持費がかかって残っているのが、この“海の時空館”だけになっています。維新系の市長としては、何とかして、この最後の1つを片を付けたいという思いがあるので、ここを強力に推し進めているということです」

3度目の正直で公募に手をあげる事業者は現れるのか、注目されます。

(関西てれび「newsランナー」2023年9月1日放送)

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